増村保造監督による昭和41年作品。谷崎潤一郎の同名の原作を、新藤兼人が脚色したもの。何度も映画化されたこの題材の、代表作の一つとされているものだ。
手代の新助と駈け落ちした質屋の娘お艶は、店に出入りする遊び人の権次夫婦の元に身を寄せる。ところが権次は札付きの悪党だった。お艶は麻薬をかがされ気を失った隙に、その白い肌一面に巨大な女郎蜘蛛の刺青をほどこされてしまう。ところがこの事がきっかけで彼女は妖しい血に目覚め、芸者として奔放な魅力を振りまいてゆく。
宮川一夫御大のカメラワークは素晴らしく、主演の若尾文子も美しい。でも、ラストが“あらずもがな”の図式に落ち着いてしまうのは気にくわない。結局、彼女が破滅させた男はほんの数人ではないか。攻撃目標を広範囲に定めて、もっと過激にもっと残虐に、彼女の行くところ死屍累々の阿鼻叫喚地獄になるように仕向ければ大傑作になっただろう。
そして何百人もの悪党どもの生き血をすすり、ますます女郎蜘蛛は妖艶に輝くのであった・・・・なんて結末だったらシビれただろうな(おい、そりゃあ石井輝男監督の世界だろうが ^^;)。
この原作の映画化作品をすべて観ているわけではないが、他に印象に残ったものに曽根中生監督版がある(84年製作)。舞台は現代でヒロインは売り出し中の歌手という設定だったが、展開が一捻りしていて楽しめた。
手代の新助と駈け落ちした質屋の娘お艶は、店に出入りする遊び人の権次夫婦の元に身を寄せる。ところが権次は札付きの悪党だった。お艶は麻薬をかがされ気を失った隙に、その白い肌一面に巨大な女郎蜘蛛の刺青をほどこされてしまう。ところがこの事がきっかけで彼女は妖しい血に目覚め、芸者として奔放な魅力を振りまいてゆく。
宮川一夫御大のカメラワークは素晴らしく、主演の若尾文子も美しい。でも、ラストが“あらずもがな”の図式に落ち着いてしまうのは気にくわない。結局、彼女が破滅させた男はほんの数人ではないか。攻撃目標を広範囲に定めて、もっと過激にもっと残虐に、彼女の行くところ死屍累々の阿鼻叫喚地獄になるように仕向ければ大傑作になっただろう。
そして何百人もの悪党どもの生き血をすすり、ますます女郎蜘蛛は妖艶に輝くのであった・・・・なんて結末だったらシビれただろうな(おい、そりゃあ石井輝男監督の世界だろうが ^^;)。
この原作の映画化作品をすべて観ているわけではないが、他に印象に残ったものに曽根中生監督版がある(84年製作)。舞台は現代でヒロインは売り出し中の歌手という設定だったが、展開が一捻りしていて楽しめた。