元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「吸血少女対少女フランケン」

2009-10-20 06:19:09 | 映画の感想(か行)

 ゲテモノとして割り切って楽しめば良いのだろうが、どうにも不満である。それはグロテスク描写以外に何も見るべきものがないからだ。

 東京タワーに隣接する高校(そんなところに学校があるのかどうか知らないが ^^;)に転校生としてやってきた女生徒・もなみ。彼女からバレンタインデーにチョコを渡されたクラスきっての二枚目野郎は、それを食べると突如として吸血衝動が巻き起こる。彼女は数百年間生きてきたヴァンパイアで、彼を仲間に引き入れようとしてチョコの中に自分の血を挿入したのだ。

 彼に勝手に想いを寄せているクラスのボスみたいな女子・けい子は“転校生が横恋慕している”と勘違いして二人の間に割って入るが、誤って校舎の屋上から転落して死亡。ところが高校の理科教師でありマッド・サイエンティストの父親にフランケンシュタインの怪物として復活させられ、もなみとのモンスター決戦へと突入する。

 冒頭のバトルシーンからして、噴出する血の量は私がこれまで観た映画の中では5本の指に入る。さらに出てくる臓物や千切れた手足の数は圧倒的。もちろん、マジにやっているのではなくギャグ仕立てにしているので気色悪さよりも笑いが先に来る(爆)。吸血鬼少女の外見的特徴としては“マントがないと空を飛べない”という程度で大したことはないが、少女フランケンの造型はなかなか工夫されている。いろいろなアタッチメント(武器)を腕に装着できるのは序の口で、足を切り取って頭の上にセットし、タケコプターよろしく空中を移動するというのはアイデア賞ものだ。

 しかし、それだけでは面白くないのである。致命的なのは彼女たちにまったく愛嬌がないことだ。当然の事ながら色気も皆無。もなみに扮する川村ゆきえに必死にブリッ子演技をさせているが、まるでサマになっていない。けい子役の乙黒えりも全然可愛さが出ておらず、クンフーが得意だという彼女の資質もまったくアクションシーンに活かされていない。この作者(友松直之と西村喜廣の共同監督)は肉体損壊にしか興味がないらしく、それが演出タッチの一本調子に繋がり、観ている間に面倒臭くなってくる。主人公(一応)の斎藤工も激しくデクノボーで話にならない。

 なお、キャストで唯一目立っていたのがキチ○イ科学者の津田寛治。まさかの歌舞伎役者メイクで“勘定奉行にお任せあれ~!”というセリフと共に悪ノリの限りを尽くす。演じている方もさぞや楽しかっただろう(笑)。なお、Blood-Stained Fellowによる音楽はけっこう快調。特に解剖シーンのバックに流れるキャッチーなナンバーは聴き応えがあった。
コメント
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