元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

Nmodeのアンプ類を試聴してみた。

2008-12-29 06:45:46 | プア・オーディオへの招待

 Nmode製品の試聴会に行ってきた。Nmode(エヌモード)とは聞き慣れない名前だが、それもそのはず、出来たのは今年(2008年)である。SHARPで1ビットのデジタルアンプを展開していた主任技術者が定年退職後に立ち上げたブランドだ。第一弾としてリリースされたのはプリメインアンプのX-PM1とCDプレーヤーのX-CD1である。

 X-PM1は1ビット方式ではないが、やはりデジタルアンプの形式を取っている。X-CD1はSACD対応を見送り通常CDの再生に特化した製品。見た目は(以前紹介した)SOULNOTEの製品と似ているが、聞けば筐体はSOULNOTEと共用とか。もちろん、中身は独自の設計ノウハウが取り入れられている。

 出てきた音の印象だが、もう見事なほどのフラット指向である。SOULNOTEのアンプを最初に耳にしたときに“フラットを基本にしている”と思ったものだが、Nmodeのアンプはさらにフラットだ。ただし、決して面白味のない製品ではない。色付けがない代わりに、駆動力に関しては端倪すべからざる実力を秘めている。試聴に使われたのはDynaudioの新製品Focus360と、Consensus AudioのLightning SE。Focus360は定価が約80万円。Lightning SEに至っては予価230万円という高級品で、いずれにしろ定価14万円弱のNmode製品とはアンバランスながら、両機とも違和感なく鳴らしていたのには舌を巻いた。

 特に興味を引いたのがFocus360で、このメーカーらしい音場の広さと微粒子状に降り注ぐ高分解能の明るい中高音が印象的。これで80万円とは、ひょっとして安いかもしれない(爆)。Nmodeのように駆動力とスピード性を身上としたアンプとの相性が良いようだ。最近発売されたスピーカーなのでエージング(鳴らし込み)が進んでおらず音は硬かったが、時間が経つと良い案配に仕上がってくると思わせる。対してLightning SEは過不足無く鳴るものの、やはり14万円弱のアンプでは幾分フットワークが重くてプラスアルファの魅力を出すには至っていない。McIntoshとかKRELLあたりの既存の高級アンプメーカーの製品を持ってきてケレン味たっぷりにドライヴした方が楽しいスピーカーだと思った。 

 いずれにしろ今回のNmode製品は、価格面で釣り合う20万円までのスピーカーならば、たぶん何の心配もなく持ち味を十分に出してくれるだろうし、30万円のスピーカーでもイイ線行けると予想する。私が知る限り、10万円台のアンプ類ではベストバイだ。同席していた設計者によると、X-PM1は、音質面に限って言えばかつてSHARPが出していたデジタルアンプSM-SX10(定価約25万円)とほぼ同等だそうだ。それを14万円で出せるのはガレージメーカーとしてのメリットだという。

 考えてみればおかしなことだ。商品というのは大量生産すれば安くなるはず。しかし、ピュア・オーディオ製品に関してはそれが通用しない。ただ、X-PM1とSM-SX10とを並べて見比べてみると、その理由が分かるような気がする。それは外観だ。見た目の店頭効果が高く、所有欲をそそるような出で立ちをしているのが大手メーカー品のようである。対してNmode製品はお世辞にも高級感があるとは言えない。実用一点張りだ。しかし、逆に言えば実用に即して商品を作れば、リーズナブルな価格で良い物が出来上がる。ガレージメーカーならばそれが可能だという事実は、ピュア・オーディオの将来を考える上で、何とも複雑な気分になってくるのは仕方がない。
コメント (8)
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