元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

映画産業を助成すべきだ。

2008-12-03 06:35:53 | 映画周辺のネタ
 一時期、韓国映画の総体的なレベルが日本映画をも凌ぐようになった・・・・と思われたのは、政府が映画産業を大々的に助成しているからである。私は日本もそうするべきだと思う。

 ・・・・こんなことを書くと決まって返ってくるのが「それは芸術表現活動に対する国家介入を呼び込むものだ」という物言いである。何かのテレビ番組で江川なんとかっていう漫画家も同じようなことを言っていた。「漫画にしろ音楽(ニューウェーヴやヒップホップ等)にしろ、ドン底で生きるハングリーな奴らが勃興を担っていたのだ。お上の助成など百害あって一利無し」とかなんとか・・・・。しかし、映画は漫画や音楽や文学とは違うのである。漫画は一人でも描ける。音楽も一人で歌って演奏できる。対して映画はそうじゃない。監督がいて俳優がいて、プロデューサーがいてカメラマンもいる。チームを組まなければ作れない「総合芸術」なのだ。だからカネがかかる。才能があるのに資金を調達できないばかりに埋もれてゆく人材を掘り起こすためにも援助が必要だ。

 「芸術に対する国家干渉」を必要以上に危険視するのも的はずれである。イラン映画や少し前の中国映画を見てみればいい。当局側の規制などものともせずに、それらを巧妙に潜り抜けて作家性豊かな映画を作り上げているではないか。「規制があるから出来ない」なんてのは、才能のない奴のエクスキューズに過ぎない。

 そもそも、人材というものは「カネのあるところ」に集まるのである。「いい企画や脚本を持っていけば、国がカネを出してくれる」という構図が認知できれば、才能はもっと集まってくるはずだ。しかも、日本映画はかつて世界最高のレベルを誇っていたのだ。これを助成して何が悪かろう。意味のない銀行への公的資金投入や為替市場介入に莫大なカネを使うより、こうした有意義な方策に資金を向けるべきだと思う。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする