元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「バック・ビート」

2007-11-18 10:46:00 | 映画の感想(は行)
 (原題:Back Beat )94年作品。デビュー前、ハンブルグで演奏活動を行なっていたビートルズに在籍したベーシスト、スチュアート・サトクリフと写真家アストリッド・キルヒャーとの恋と悲しい別れを描くイアン・ソフトリー監督作品。

 ジョン・レノンを演じるイアン・ハートがよかった。サトクリフの親友で、才気ほとばしる激しい性格は、実際のレノンはこういう人だったのだろうと観客を納得させるだけの存在感があった。あと、ポール・マッカートニー役の俳優が本人とソックリなのには笑った。

 さて、それ以外はどうでもいい映画である。私はビートルズ世代でもないし、題材に対しての特別な思い入れはない。サトクリフ役のスティーヴン・ドーフ、キルヒャーに扮するシェリル・リー、ともに平凡な演技で、観客の共感を呼ぶにはいたらない。演出もプロモーション・ビデオ的なカッティングの良さを見せるときもあるが、別段優れているとは言えない。ドン・ワズによる音楽プロデュースも大した効果があがっていない。この程度じゃビートルズのレコードを聴いていた方がマシである。

 単に“初期のビートルズはこうでした”という資料的な意味しか持たないこの映画、でもやっぱりビートルズをリアルタイムで体験している層や、最近ビートルズを知ってその魅力にのめり込んでいる若い連中にとっては、映画の出来以上のサムシングを感じつつ映像を見つめていたのだろうし、公開当時はそういう批評も少なくなかった。

 ここで思うのは、ほとんどの映画を一歩引いてクールに(意地悪く?)観るクセがついていて、ヒネた感想しか書けない私と、出来はどうあれ題材そのものに舞い上がって面白がってしまうファンとは、どちらが本当に映画を楽しんでいるかである。私の年代は“シラケ世代”と呼ばれたこともある。何に熱中しているときでも、心の底ではシニカルな姿勢を崩さない(私の世代がすべてそうだということではない。私だけかもしれない)この性格は直しようがないが(おいおい)、単に映画の質うんぬんにこだわらない、別の映画の楽しみ方を知ることはないのだと思うと、少し寂しくなったりして(なーに言ってんだよ ^^;)。
コメント
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