(原題:Babe)95年作品。公開当時は家族連れを中心にヒットした映画で、動物たちは可愛いし、子供にも安心して観せられる作品であることは確か。しかしこれが評論家の絶賛を受け、アカデミー賞の候補にまでなったというのなら話は別だ。いくら動物映画でも一般A級映画と同じくシビアに(?)評価せねばなるまい(謎 ^^;)。
健気な子ブタが牧羊犬コンテストで活躍するという筋だから結末はハッピーエンドに決まっている。ただ、クライマックスに至るプロットが弱い。言うことをきかない羊たちを束ねるため“ある方法”を使うのだが、それに対して何の伏線も暗示もなく、唐突に出てきて無理矢理ドラマは終わってしまう。脚本の失敗である。
動物たちが演技しているように見える点がセールスポイントだが、実際は動物の実写をベースにドラマを進めているわけではなく、半分以上が人工的なクリーチャーである。ところが困ったことに、作り物であることが一見してわかるため、シラけてしまう場面がある。特にアヒルと羊はミニチュア然としており、しかもワザと暗い場面で多く使われているため、いっそうその感が強い。また、ジム・ヘンソン工房がミニチュアを担当しているが、別のSFXチームと同時発注になったため、クリーチャー同士の連携が取れていない。
また、ブタは人間に食われるために存在するということを示しているものの、それがベイブの牧羊豚志望というメインストーリーに結び付いていない。単に飼い主の思い付きに従っただけの話で、子ブタは成長して動きが鈍くなると、やっぱり食われてしまう可能性が大きい。“本人”にとって何もならないのだ。狂言廻しの野ネズミたちに大した出番がないのも不満。
・・・・とまあ、いろいろ書いてみても何か物足らない。しょせん動物映画。マジメに感想言う必要もない程度の作品だ。“ブタくん可愛いねー”で終わるべきところを、オスカーの候補にまで祭り上げてしまったのはどこのどいつだ。しかも“共演”のジイさんまで助演賞にノミネートされる始末・・・・何だかねぇ(-_-;)。