元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

“複雑構造”のスピーカーケーブルを繋げてみる。

2007-11-15 06:38:55 | プア・オーディオへの招待

 スピーカーケーブルを新しいものに付け替えた。“おいおい、何回ケーブル買えば気が済むんだよ!”と言われそうだが、実はこのケーブルは昨年すでに調達していたのだ。しかし“ある理由”によりずっと押し入れの中で眠っていたのである(笑)。商品名は米国Kimber Kable社4VS。写真を見ればその“理由”がある程度察しが付くだろう。

 通常スピーカーケーブルの芯線は2本であり、ちょっと高級な製品や一部の業務用では4芯が採用されている。しかし、本製品はなんと8芯だ。それも8本の線がロープのように編み込まれていて、ほぐすのに苦労すると共に、一度必要以上にほぐすと元に戻らずバラバラになる危険性がある。そして当然、8本の芯線それぞれの皮膜を剥かなければならない。普通のケーブルと比べて装填にかなりの手間暇がかかるのだ。メーカーではこれを“ブレイド構造”と称し、余分な振動を駆逐する働きがあるとPRしている。私もそれにつられて買ってはみたものの、いざ自室で現物と向き合うと、ついついセッティングに及び腰になり、そのままにしていた次第だ(爆)。

 で、いつまでも“クローゼットに死蔵”というわけもいかず、先週末に休日返上で意を決して装着してみた。8芯なので2芯ずつ束ねてバイワイヤリング接続も出来るのだが、ここは定石通りケーブルの端を10数センチ切ってジャンパーケーブルの替わりにした(この処理をするだけでもかなりの時間を要したが ^^;)。

 いよいよ音を出してみる。このメーカーはすっきり伸びた高音と優れた音場表現が売り物らしいが、その特徴は私のシステムでも遺憾なく発揮されている。特に高域の広がりは特筆ものだ。4VSは日本に正式輸入されているKimber社の製品の中でも2番目に安い。これより上は“電線病罹患マニア御用達”みたいな高額品が並ぶ。でも、特定帯域に強調感があまりないのは4VSみたいなローエンドのクラスらしい。

 さっそく手持ちのRCAケーブルを次々と付け替えて“相性”をチェックしてみる。最初は先日購入した英国CHORD社CRIMSON。アタックの強さより響きの美しさを売り物にした製品であるだけに、高域の色気は捨てがたいが低音がえらく寂しい。アコースティック主体のポップスには向くが、アクティヴなジャズや管弦楽曲には無理がある。次に我が家のリファレンスである「LSSC」(吉田苑謹製)。これは・・・・可もなく不可もなしの音だ。大きな破綻もない代わりに魅力も希薄で、あまり面白くない。

 低音が控えめならば低音を持ち上げるようなキャラクターのRCAケーブルなら合うかもしれない・・・・ということで、Belden社の線材89463を使った青色のコード(shima2372謹製)を装着してみた。狙い通り低域がカバーできて決して相性は悪くないのだが、低域の重さが中音をも引っ張り、ヴォーカルの抜けが悪くなる傾向があり。ならば同じBeldenでも少し高域寄りの線材88760使用のコードならばどうかと思ったが、これは大失敗で荒っぽさだけが前面に出てしまう。MOGAMIのNEGLEX2534を使ったRCAケーブルも実装してみたけど、業務用らしい素っ気なさが強調されて、これもイマイチだ。

 結局一番相性が良かったのが、意外にもアンプを購入した際に「吉田苑」から貰った特製の“SOULNOTEのsa1.0専用RCAケーブル”だった。このRCAケーブルは中域重視であるせいか、4VSとの組み合わせではバランスが良くフラットな展開に持って行くことが出来る。いつもながら、スピーカーケーブルとRCAケーブルとのマッチングは奥が深い。

 4VSとsa1.0専用RCAケーブルとの組み合わせでしばらく聴いてみることにする。ケーブルを一種に限定せずに、交換可能な同種の製品を複数所有するということは、腰を据えて音楽ソフトに向き合えない反面、気分によって付け替えられるという利点もあるのかなァと、一人で納得してみたりする今日この頃である(笑)。
コメント
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