第12回日本ホラー小説大賞長編賞受賞作。元同級生の女性に「列車から外の風景を3回撮影してほしい」と頼まれた主人公が3回とも飛び込み自殺の現場に出くわしてしまったことから始まる怪異譚。
最初は「この事態の裏に隠された思わぬ真相が明らかになるのだろう」と思って読んでいたら、物語の主眼はそこではなく、実は次第に壊れてゆく主人公の内面であることが分かる。筋道としては「それもアリだ」とは思うが、どうにも面白くない。主人公はこの事件が起きてから常軌を逸してゆくのではなく、実は最初からおかしくなっていて、自殺騒ぎはそのきっかけに過ぎないことが明かされるが、問題はその描写がかなり鬱陶しいことだ。
どうしようもない男の、これまたどうしようもない内面を、単にダラダラと書き流しているだけ。たぶん作者は「ホラー小説に純文学的テイストを組み合わせて独自の味を出してやろう」と思ったのかもしれないが、結果として中途半端。要領を得ない凡作に終わっている。
この程度の作品が日本ホラー小説大賞の長編賞を受賞するとは、この賞自体の存在価値を問われることにもなろう。
最初は「この事態の裏に隠された思わぬ真相が明らかになるのだろう」と思って読んでいたら、物語の主眼はそこではなく、実は次第に壊れてゆく主人公の内面であることが分かる。筋道としては「それもアリだ」とは思うが、どうにも面白くない。主人公はこの事件が起きてから常軌を逸してゆくのではなく、実は最初からおかしくなっていて、自殺騒ぎはそのきっかけに過ぎないことが明かされるが、問題はその描写がかなり鬱陶しいことだ。
どうしようもない男の、これまたどうしようもない内面を、単にダラダラと書き流しているだけ。たぶん作者は「ホラー小説に純文学的テイストを組み合わせて独自の味を出してやろう」と思ったのかもしれないが、結果として中途半端。要領を得ない凡作に終わっている。
この程度の作品が日本ホラー小説大賞の長編賞を受賞するとは、この賞自体の存在価値を問われることにもなろう。
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