元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「輪廻」

2006-02-06 06:55:53 | 映画の感想(ら行)

 ハリウッドで「THE JUON/呪怨」を興行的に成功させた清水崇監督の“凱旋”第一作だが、どうにも釈然としない出来。

 「呪怨」シリーズみたいに“呪いの家に近づいた者に災いがふりかかる”という単純極まりない構図ならば、多少筋書きに無理があろうとも、怪異現象を場当たり的に並べていけば何とかサマになる。対して輪廻転生をネタにした本作は“誰が誰の生まれ変わりで、それはどういう基準でそうなったのか”といった最低限の理詰めの展開が必要になるはずだが、それが全く成されていない。

 まずは輪廻についてのウンチクの披露から始めるべきところを、早々に「呪怨」シリーズと同様の“ショッカー場面の釣瓶打ち”に移行してしまうのでは進歩がない。

 35年前の大量無差別殺人事件の犠牲者は転生したのか怨霊になったのかハッキリせず、現在の時制で頻発する失踪事件との因果関係も不明だし、そもそも映画監督役の椎名桔平は年齢面で矛盾してしまうではないか(爆)。

 過去と現在と記録フィルムの3つが同時進行するクライマックスのアイデアは悪くないが、それまでの展開が底抜けなのでさっぱり盛り上がらず。とにかく脚本を練り直せと言いたい。

 唯一の成果がヒロイン役の優香の大熱演。いつもの彼女のキャラクターとは正反対の役柄に果敢にチャレンジしており、それが結構サマになっている(特に絶叫シーンは見もの)。もっと映画に出て欲しい人材だ。
コメント
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