元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ダーク・ウォーター」

2006-02-08 06:50:04 | 映画の感想(た行)
 意外にもオリジナルの「仄暗い水の底から」より面白い。何より日本版での“保育園に預けるべき子供をわざわざ幼稚園に通わせて、それがヒロインの心労と怪異現象に繋がっていく”というアホな設定がないのが良い。

 さらに、ただ優柔不断で愚かなだけの主人公(黒木瞳)が“語るに落ちる”ようなラストの境遇に陥っていくのを脱力して眺めるしかない「仄暗い~」に対し、いくら逆境にあるとはいえ合理的スタンスを崩さないアメリカ女性が、どうして終盤ああいう行動を取らざるを得なかったのかが納得出来るシチュエーションを用意しているのもポイントが高い。

 たぶん製作側は日本版の脚本の不備を一つ一つ潰していったのだろう。リメイクに当たっての冷静な態度だと思う。

 映像タッチもオリジナルに勝っている。舞台になる“ロープウェイでないと渡れないニューヨーク近郊の島”というのは世間から隔絶された異界(しかも、人界のすぐ近くにある)という雰囲気を醸し出しているし、そこに建つ古ぼけたアパートもホラー映画好きには堪えられない大道具だ。ましてや管理人がピート・ポスルスウェイトときては嬉しくなる。

 「モーターサイクル・ダイアリーズ」等で知られるウォルター・サレスの演出は堅実で、無理・無駄がない。子役の扱い方は「セントラル・ステーション」と同じく手慣れたものだ。

 それにしても、シングルマザーのヒロインに扮するジェニファー・コネリーはこういう“ロクでもない男と付き合って苦労する女”を演じさせると絶品である。今後はこの道を究めてほしい(爆)。
コメント
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