気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

貴船川

2005-01-17 19:45:09 | つれづれ
物思へば沢のほたるも我が身よりあくがれ出づる玉かとぞ見る

(和泉式部 後拾遺集 雑六)

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理由あって、和泉式部について調べる。しかし、私の古典歴史の知識のないことに情けない思いをする。今更かっこ悪くて聞けないようなことを、おそらく知らないままだ。なーにやってんだか。画像は貴船川。

震災

2005-01-16 23:41:04 | つれづれ
傲慢になり過ぎていた人間に自然はかくも強い力を

(森本智江 茅渟海の光)

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日付けが変わると、1月17日。あの震災から10年になる。
被災された方は、どんな思いで迎えられるのだろう。
新潟でもスマトラ沖でも、災害がつづく。不安な毎日。
生きていくには、忘れられないこと、忘れなければならないこと、忘れてはいけないことがある。





日輪 永田紅歌集

2005-01-15 17:21:01 | つれづれ
人はみな馴れぬ齢を生きているユリカモメ飛ぶまるき曇天

両岸をつなぎとめいる橋渡りそのどちらにも白木蓮(はくれん)が散る

水兵のリーベ 日の射す理科館に十六のわれら淡く眠りき

ああ君が遠いよ月夜 下敷きを挟んだままのノート硬くて

ピペットに吸い上げらるる透明を寄り眼しながら測りておりぬ

(永田紅 日輪 砂子屋書房)

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サラブレッド永田紅の第一歌集。
左京区の馴染みのある地名がつぎつぎ出てきて、それだけでも私にはうれしい。
また、理科系の人で実験の歌もある。すべてが若々しい。

井泉 創刊号

2005-01-14 19:20:03 | つれづれ
気の荒い牛を操るごとき構えジャン・レノに似たベース奏者は
(江村彩)

誰よりも速く走れと育てられ車内にひらりと開くパソコン
(佐藤晶)

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江村彩さんから「井泉」創刊号を送っていただく。
春日井建のもとで短歌を学ばれた方たちが、創刊された短歌誌。
結社誌を見ることは少ないが、評論が充実していて、勢いを感じた。
特に、佐藤晶さんの『「表現」をめぐる「今」』が面白かった。

また、春日井建の歌で、
「一瞬を捨つれば生涯を捨つること易からむ風に鳴る夜の河」
を、複数の方がひいて論じておられたことにも、感じるところがあった。

今後のご発展をお祈りします。

油田

2005-01-14 13:12:53 | つれづれ
初期消火に失敗し油田全体に火がひろがるがごとしなべては

(小池光 静物)

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わが家の給湯器、お正月から具合が悪い。
夜になるとお湯が出ない状態で、とうとう買い換えることになった。
水での炊事のために、私はすっかり冷えて風邪をひいてしまった。
何かひとつが壊れると、全体に悪影響を及ぼす。ふと、この歌を思い出した。
夕方には、工事の人が来てくれるはずなのだが・・・


草食獣への手紙 吉岡生夫評論集

2005-01-13 18:18:35 | つれづれ
1992年9月に出た吉岡さんの評論集。「短歌人」1984年5月号に載った奥村晃作についての文章など、面白く読む。短歌の世界は変わっているようで、変わってないようで、新規参入者の私には、まだわからない。

この表紙の絵は、川本浩美さん。表紙の帯に隠れているが、この後ろ姿の男には実はシッポがある。それもライオンのシッポのようなのだ。なんだんだろう、これは?

2005-01-12 16:32:44 | つれづれ
飛ぶ雪の碓氷をすぎて昏みゆくいま紛れなき男のこころ
(岡井隆 天河庭園集)

雪に傘、あはれむやみにあかるくて生きて負ふ苦をわれはうたがふ
(小池光 バルサの翼)

若ければ、ビニール傘の粉雪をはらって入る結社未来事務所
(加藤治郎 ニュー・エクリプス)

ならびたる天気予報の雪だるま何ゆゑにそのつぶらなひとみ
(多田零 茉莉花のために)

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寒い一日。風邪気味なので、また家居に過ごす。
ぬくぬくとさせてもらって有難いと思いつつ、雪の歌をつれづれに探した。

雪の降る窓辺に立てば体ごと天にのぼってゆく心地する
(近藤かすみ)

時の杯 宮田長洋歌集

2005-01-11 13:55:05 | つれづれ
ゲートボールをする群のなか笠智衆のような老は決しておらぬ

たとうればピアノの鍵に手を触れてさびしきかなや八千草薫

神田うの飯島愛のごとき女またかまたかと駅を出でくる

三波春夫邸かたえにありしバス通りいまもちゃんちき通りと称ばる

滅亡の日には疾うにわれなしと言いしビートたけしを悲しむ

(宮田長洋 時の杯)

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宮田長洋の第二歌集。キーワードは躁鬱であると思うが、この人の歌の固有名詞は面白い。腑に落ちるのである。

ずぶ濡れのビートたけしの熱演を茶の間の無音のテレビが映す
(近藤かすみ)

おでん

2005-01-10 17:08:06 | おいしい歌
こんにやくの臍(へそ)をもとめてあやまたず刺したる串のおでんなりけり

(小池光 滴滴集)

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本日1月10日朝日新聞「折々のうた」で、取り上げられている歌。「笑いがふっとひっこむ効果をもつ」歌として、「猫にだともの言ひやすくこもごもに猫にもの言ふ家の者たち」も載せられている。

すてきな関係

2005-01-09 23:13:26 | つれづれ
本棚に『無援の抒情』もつ友はいまだに無援の道奔りおり

マーカーのライン目につくひとの本すすめられても借りたりしない

本と椅子持ち出し姿くらました男は静かな場所をみつけた

その娘オークの揺り椅子手に入れて本読みふける定位置と決め

マイペースでやれていいねを言われても掴みかねてるそのマイペース

(小貫慶子 短歌研究1月号)

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小貫さんは、いつも私の歌を読んで、声をかけて励ましてくださる。先日初めて一緒にお茶を飲んだ。背筋の伸びた爽やかな方だ。短歌を通じて、ひとと知り合いになって、それでも適当な距離があるということを、ステキだと思っている。

今日の画像は、ホームページの教室の先生から、プレゼントして頂いたもの。ありがとうございます。

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