気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

浜竹 相原かろ 青磁社

2021-07-08 11:08:29 | つれづれ
くっついた餃子と餃子をはがすとき皮が破れるほうの餃子だ

煌々とコミュニュケーション能力が飛び交う下で韮になりたい

履歴書の空白期間訊いてくるそのまっとうが支える御社

グラウンドに白線を引くごろごろの係でずっといたかった秋

前任の方(かた)は大変いい人であったそうですそのあとの俺

ミス多きわたくしとして命からなるたけ遠い勤めを望む

知っている、力の強い弱いでは、ない、吸い物の蓋がとれない

湯の中で無数のすね毛わが脛の動くにわずか遅れてそよぐ

たちまちに消えてしまいぬ二歳児を黙らせておくラムネの粒は

玄関の前で立ってるピザのひと開かれるまで箱を抱えて

(相原かろ 浜竹 青磁社)

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塔所属の相原かろの第一歌集。おととし出たときから、何度も何度も友人や図書館から借りて読んでいる。とにかく面白い。連作の題の付け方に工夫がある。
弱いって言ってしまうことは力になるのだろうか。こういうやり方もいいな、と思わせてくれる。