花群の奥にも古き花見えてまよひゆくべし蔵王堂まで
(大谷雅彦)
きみも子も消えて俄かに息づきぬ冷たくなってしまいし紅茶
(鶴田伊津)
今いのち果てんとしてる鯛の目に空の青さの映りていたり
(岡田経子)
幾千のデッサンののち描かれしたつたひとつの絵のごとき夜
(金沢早苗)
縄跳びのゑがく環のなか髪ながき少女がひとり位置を占めをり
(原田千万)
玄関の扉叩きて呼ぶ声あり春あかつきの夢のほとりに
(古本史子)
いくへにも闇かさぬるは雪の中キャベツ日ごとに甘みましつつ
(佐々木通代)
子育てを終へちちははを見送りてはぐれしごときわれの日常
(杉山春代)
責めらるるひとり定まり順調に会議は進む北京も雪か
(森澤真理)
過ぎゆきはまやかしならむ始めから独り身だつたやうな日日
(檜垣宏子)
************************************
短歌人5月号、同人1欄から。
(大谷雅彦)
きみも子も消えて俄かに息づきぬ冷たくなってしまいし紅茶
(鶴田伊津)
今いのち果てんとしてる鯛の目に空の青さの映りていたり
(岡田経子)
幾千のデッサンののち描かれしたつたひとつの絵のごとき夜
(金沢早苗)
縄跳びのゑがく環のなか髪ながき少女がひとり位置を占めをり
(原田千万)
玄関の扉叩きて呼ぶ声あり春あかつきの夢のほとりに
(古本史子)
いくへにも闇かさぬるは雪の中キャベツ日ごとに甘みましつつ
(佐々木通代)
子育てを終へちちははを見送りてはぐれしごときわれの日常
(杉山春代)
責めらるるひとり定まり順調に会議は進む北京も雪か
(森澤真理)
過ぎゆきはまやかしならむ始めから独り身だつたやうな日日
(檜垣宏子)
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短歌人5月号、同人1欄から。