気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

短歌人5月号 同人のうた

2011-05-06 00:40:24 | 短歌人同人のうた
花群の奥にも古き花見えてまよひゆくべし蔵王堂まで
(大谷雅彦)

きみも子も消えて俄かに息づきぬ冷たくなってしまいし紅茶
(鶴田伊津)

今いのち果てんとしてる鯛の目に空の青さの映りていたり
(岡田経子)

幾千のデッサンののち描かれしたつたひとつの絵のごとき夜
(金沢早苗)

縄跳びのゑがく環のなか髪ながき少女がひとり位置を占めをり
(原田千万)

玄関の扉叩きて呼ぶ声あり春あかつきの夢のほとりに
(古本史子)

いくへにも闇かさぬるは雪の中キャベツ日ごとに甘みましつつ
(佐々木通代)

子育てを終へちちははを見送りてはぐれしごときわれの日常
(杉山春代)

責めらるるひとり定まり順調に会議は進む北京も雪か
(森澤真理)

過ぎゆきはまやかしならむ始めから独り身だつたやうな日日
(檜垣宏子)

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短歌人5月号、同人1欄から。