気まぐれ徒然かすみ草

近藤かすみ 

京都に生きて 短歌と遊ぶ

箸先にひとつぶひとつぶ摘みたる煮豆それぞれ照る光もつ

RERA  松木秀  つづき 

2010-04-03 01:25:20 | つれづれ
アリコジャパンの新商品が売り出されてごろに生きててごろに死ねる

サイモンとガーファンクルの「と」のような気恥ずかしさが来て夕まぐれ

にっぽんの政治をいつも揺るがすは金(かね)の問題金(キム)の問題

『渡辺のわたし』の中にただひとつら抜き言葉があるをよろこぶ

そっとさす小さな傘の部分だけわたくしたちはまもられている

岡井隆とミッキーマウスや同い年どちらも不自然に元気なり

宅間守死刑執行されにけり自殺の一つの類型として

これもまた振り込め詐欺の一種かと思いつつ短歌雑誌予約す

決められた世界に生きて今日もまたローソンで買う野菜ジュースを

(松木秀 RERA 六花書林)

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気取ったところもわらかないところもなく、作者の気づきを差し出した歌がほとんどで、読みやすい。常識と思われていることに疑問をもって、言葉にしてみることから生まれる歌。
作者は、ご病気であるらしいが、繊細でさまざまなことを「流す」ことができない方なのだろう。だから、気づくことがあり歌が生まれる。しかし生きづらい面がある。どうぞお元気で、またわたしたちに歌を読ませてください。