BIKEBIND自転車日記ブログ2

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7900デュラエース ブレーキ周り&ブラケット

2009-06-08 01:05:00 | 自転車


ブレーキ

コレもまた7900デュラエースの売りです。

ストッピングパワーが従来の7800を100とすると、7900は110という一割り増しになっています。しかしストッピングパワーだけが向上したのではありません。パッドコンタクトからストップまでの過途特性がリニアに変化したようです。

おそらくSLR(シマノ・リニア・レスポンス)が登場して以来の比率変更です。

一口に変更と言っても何処が変更になったのでしょうか? ブレーキ周りは大まかに要って3部分。ブレーキレバー、ワイヤ、ブレーキキャリパーです。


ちなみに7900のレバーを7800のキャリパーに使用した場合は7800同士の100から125という数値になってしまい、Vブレーキが出たときのように(カンチタイプブレーキレバーでVブレーキを使用すると)カックンブレーキになってしまうそうです。さらにいうとこういう比率の時はブレーキタッチがグニャグニャになってしまい、非常に危険なのです。

バイクブレーキに求められる機能は3つ。スピードコントロールとマシンコントロール、そしてストッピングコントロールです。スピードとマシンはよく言われますが、ストッピングもとても重要なファクターです。完全ストッピングまではいきませんが、なにかアクシデントがあったとき50㎞ちかくから0㎞近くまでスピードを落とす必要がある場合があります。もちろん通常の出来事ではありませんが、そのようなアクシデント時に役に立ってくれるブレーキこそ信頼に足るブレーキと言うことが出来るでしょう。それほど極端でなくとも下りの急激なヘアピンカーブなども急減速、急加速が求められます。平地しか走らない人には必要ないでしょうが(笑)。

今回シマノはレバー比を変えて、スプリングのテンションの割合も変えてきました。これはSLR(シマノ・リニア・レスポンス)を導入して以来初めてですね。今はスーパーSLRとなっていますが。これはシステム剛性を保つためです。レバー、ワイヤ、キャリパーこの3点のバランスによってブレーキシステムは成り立っています。レバー側に強力な比率を与えれば簡単に制動力を上げることはできます。しかしその場合、入力の起点から終点まで終始強いストレスが掛かっていることになり、ひずみを生じ力をロスすることになります。各部品の耐久性にも関わってきます。

今回の変更はより少ない力で大きなストッピングパワーを生み出すためです。

ブレーキ入力が少なくて済む→たわみが減る→ロス減少→効きの向上

という寸法です。




さらにレバー側の工夫としては、今までよりブラケットの下側に軸を置き、レバーも前に設定することでレバーを引くときにより遠くから入力することが可能になりました。それはてこの原理により軽い力で制動できることを意味します。STIレバーは今回ブラケットの形状変更とSTIの内蔵にばかり話が及びますが、レバー軸の位置変更はとても重要な要素です。

個人的に思うのは、ワイヤリングです。別に内蔵式にしなくても良かったのではないかということです。シマノの美点としてメンテナンス性の高さが上げられます。一部のメカニックではカンパの半分の時間で済むと言われるほど、美点でした。今回それは捨てられました。ライディングしているときのフィーリングを重視したのでしょう。しかしSTIのユニットが重くてブレーキが引けないという苦情は何処に行っても聞いたことがありませんでした(苦笑)。ワイヤの張りやユニットの重さによってハンドリングが重くて仕方ないという苦情も(更に苦笑)。どっちが良かったのかは何年かしないと結論は出ないでしょう。

ここらの考えはシフティングにも及んでいます。今回ワイヤテンションは全体的に低くなっています。ここは慣れない人だとどうしても強く張ってしまいます。張りすぎないことが7900の性能を引き出すコツです。

パッドも変わっています。R55C2からR55C3に。これは従来モデルと互換性があるので、7800やその他のブレーキに使用しても大丈夫です。

トーインもなくなりました。Vブレーキもそうですが、シマノの公式としてトーインを付けないことになり(だったらなぜシューを動かせるようにしたんだ? という疑問は置いておいて)、カンパも含めほとんどのコンポーネントがトーイン不要になりました。これはブレーキの音鳴りがフレームやパーツの剛性不足に由来していたことが原因でしょう。最近のバイクはそれらが解消され、音鳴りを消す手段であるトーインが不要になったのでしょう。もちろんブレーキタッチの向上も目的でしょう。

ですが、ブレーキにはシマノやカンパ以外のサードパーティが使われることが多々あります。その場合にはやはり剛性が不足している場合が多く、トーイン設定は解消手段として有効です。

本当はブラケットとチェーンはさらに別立てで書きたかったのですが、あんまりにも期間が空きすぎたので、こんな感じにしておきます。

デュラエース7900の解説を終わります。他の部分が気になる方はブログを遡って見てください。