その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

The Mousetrap/ ST MARTIN's Theatre (マウストラップ)

2011-01-02 19:56:21 | ミュージカル、演劇 (in 欧州)
 遅ればせながら、新年あけましておめでとうございます。

 年末年始は泊旅行とかはせずに、ロンドンをベースにあちこちをつまみ食いに出かけただけだったので、結構、マイペースで過ごすことができました。

 今年の初記事は、そのマイ年末イベントの一つとして出かけたお芝居のご紹介になります。

 ロンドンのガイドブックには良く紹介されているのでご存じの方も多いと思いますが、ミュージカル・芝居で有名なロンドンでも最長のロングランを誇るアガサ・クリスティ原作の『マウストラップ』を観に行きました。なんと、1952年11月25日から足かけ59年のロングランです。1974年3月23日まではアンバサダー劇場で、そして同年3月25日月曜日からは、その隣にあるセント・マーティンズ劇場で上演され、現在に至っており、現在もその世界最長のロングラン記録を毎日塗り替えているというすごい作品です。

 劇場の外壁には記録を示すマークと、劇場内の狭いロビーにはその日の何回目の上演回数になるのかが掲示されています。

 これだけで気分は高揚してきますが、劇場内に入ると、そのセント・マーティンズ劇場の雰囲気に感動します。1916年にオープンしたという劇場は、濃い茶色の木造りの壁や装飾が、きっと当時もこのままだったのであろうという重厚な雰囲気を残している一方で、かつ3層構造(3階建)ではあるものの総座席数500名あまりのこじんまりした劇場空間は、アットホームで暖かい雰囲気に満ち溢れています。劇場内は写真撮影厳禁なので、写真でご紹介できないのが残念ですが、一度足を運んだらその魅力の虜になること間違いなしと思います。

 作品の『マウストラップ』はアガサ・クリスティが劇用に脚本として書いたものです。日本語訳も出版されていますので、事前に読んでおきました(1時間ちょっとで読めます)。話自体は大雪で孤立したゲストハウスで起こる殺人事件の謎ときですので、クラシックなミステリーとも言えますが、総登場人物も8名で、登場人物の役柄も明確ですので、話は分かりやすいです。クリスティの脚本では舞台設定まで記述があるのですが、舞台はそのままに再現されています。(犯人が分かってしまうという難点はありますが、出来ればあらかじめ原作を読まれた方がより舞台を理解できると思います)

 満員の観衆は、観光客とイギリス人の家族連れ・カップルが半々という感じでしたが、誰もが皆、気軽に楽しめるという点が、このロングランの秘密だと思いました。決して今風ではないですが、ロンドンの劇場文化の一形態として、是非、体験する価値がある公演だと思います。満足感一杯で、劇場を後にしました。

 ※公演のHPはこちら→

※セント・マーティン劇場


※劇場の外壁に掲示されている「世界最長上演ロングランの50周年記念マーク」


※劇場内の上演回数表示(2010年12月27日付け)



Directors: Stephen Waley-Cohen
General Manager, Production: Thomas Bohdanetzky

Cast
Mollie (Sasha Waddell)
Giles Ralston (Mark Hayden)
Christopher Wren (Gary Tushaw)
Mrs Boyle (a rather splendid Jan Waters)
Major Metcalf (John Lyons)
Miss Casewell (Claire Little
Mr Paravicini (Michael Roberts
Det. Sgt. Trotter (Ben Goddard – Joe Gillis in the 2008 Sunset Boulevard).

コメント (4)
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