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その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

RSC "Twelfth Night"

2010-02-16 07:00:35 | ミュージカル、演劇
 週末に、ロイヤル・シェークスピア・カンパニーの『十二夜』をDukeOf York劇場へ見に行きました。

 シェクスピア劇は昨夏の『から騒ぎ』以来でしたが、今回はかなり結構、事前に準備。日本語訳を読んで、英語版も図書館で脚本を借りて流し読みしました。更に、当日はその英語版を持参して、字幕代わりに、見ながら鑑賞。そのお陰で筋はついていくことができました。

 ただ、とても台詞を聞いて、イギリス人と一緒に笑うまでには至りません。オペラやミュージカルは多少、細かいセリフまでは分からなくても、音楽が楽しめますが、演劇は音楽は殆どないので、台詞が分からないと、楽しみが半減してしまうのが難点です。

 舞台はとても良かったです。俳優はヴィオラ役のNANCY CARROLL、トービー役のRICHARD MCCABE、マルヴァーリオ役のRICHARD WILSONが存在感抜群で、光っていました。演出もお香を使って聴衆の嗅覚にも訴えるなど、南国イリリアの雰囲気を良く出していたと思います。言葉の意味は半分しか分からなくても、十分楽しめました。(以下の3つの写真はHPより)
  

 DukeOfYork劇場は、今までの訪れた劇場の中では一番こぢんまりとしていました。舞台が直ぐ届きそうなところにあるので、アットホームで、俳優と観衆の一体感が感じられる劇場です。

 シェイクスピア劇を「本なしで舞台だけに集中して、笑えるようになりたい」。そんな壮大なWishがあります。





 2010年2月13日 Duke of York劇場にて

Cast list

IAN ABEYSEKERA - Officer
SAM ALEXANDER - Sebastian
NANCY CARROLL - Viola
LAURENCE DOBIESZ - Valentine
JAMES FLEET - Sir Andrew Aguecheek
ALAN FRANCIS - Sea Captain
ALEXANDRA GILBREATH - Olivia
TONY JAYAWARDENA - Fabian
RICHARD MCCABE - Sir Toby Belch
SIMEON MOORE - Antonio
PAMELA NOMVETE - Maria
DEMI OYEDIRAN - Lady
PRASANNA PUWANARAJAH - Priest
JO STONE-FEWINGS - Orsino
ASHLEY TAYLOR-RHYS - Curio
MAYA WASOWICZ - Lady
RICHARD WILSON - Malvolio
MILTOS YEROLEMOU - Feste


Creative team
DIRECTOR Gregory Doran
DESIGNER Robert Jones
LIGHTING Tim Mitchell
MUSIC Paul Englishby
SOUND Martin Slavin
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ゴルフ初め

2010-02-15 05:14:55 | ロンドン日記 (日常)
 今年初のゴルフに出かけました。今日はとある会のコンペ。私のような初級者が参加しても良いものかと思いましたが、「初級者歓迎」と書いてあったので思い切ってエントリー。行ってみたら、中上級者の人ばかりで、思い切り恥ずかしい思いをしましたが、同じ組の方の優しい励ましに支えられ、グロスのスコアは113で決して私としては悪くありません。

 実は今年はちょっとゴルフをまじめにやろうかと思っています。日本ではゴルフは、
「高い(交通費も入れると、万札が複数枚要ることが多い)」、「遠い(貴重な週末の1日が丸々つぶれる)」、「雰囲気がバブリー」とどうも私の志向とマッチせず(根っこは、下手だからですが・・・)、おつきあいで年に1回やるかやらないかです。

 ただ、こちらでは、
 「適度の娯楽費程度(コンサートと同程度)」で「そこそこ近場(自宅から1時間前後)」で「思いっきりスポーツっぽい」ところが、気に入っています。今日もそうですが、普段、お会いする機会がないような方々とも知りあいになれるし、いいことづくめです。

 問題は車が無くて足がないこと。近くに住む知人が一緒に行く場合は良いですが、今日のような飛び込みの場合は、重いゴルフバックを担いで電車で往復です。せめて、イギリスにもゴルフ宅急便があればいいのに・・・
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London Walk "Political London"

2010-02-14 17:05:28 | ロンドン日記(イベント、観光、スポーツ)
 土曜日午前中の定例業務である掃除・洗濯を前夜に済ましてしまったお陰で、朝からフリー。LonodnのWalking Tourに参加しました。テーマはPolitical London。Westminster付近のイギリスの政治中枢エリアを歩いて廻るツアーです。

 セント・ジェームス・パーク駅出口に10:45に集合し、早速、スタート。20名ちょっとの人が参加していました。

 廻ったのは、司法省、内務省、防衛省、婦人参政権運動の記念碑、Caxton Hall(歴代の有名政治家が演説したり、政治集会が行われたホール)、EUイギリス本部、旧労働党本部、Fabian Society(有名な政策シンクタンク)、第1回国連総会開催地などなど。そして締めはもちろん国会議事堂(Big Ben)。Big Benを除いては、いずれも説明を受けなければそのまま通り過ぎてしまうような場所ばかりで、興味深いものでした。

<Caxton Hall>


<Fabian Society>


<「アラビアのロレンス」が住んでいた家>


<国会議事堂>


<イラン問題に関するデモをやっていました>


 面白かったのはひとえに、ガイドさんの説明のお陰です。今年5月には総選挙が予定されているイギリスですが、各々の場所で、イギリスの政治制度、その場所にまつわる現代の政治課題等をとっても分かりやすく解説してくれました。

・アフガン派兵問題。そして、バッキンガム宮殿の衛兵もアフガンに派兵されている同じ陸軍の兵士であり、近い将来は派兵の可能性が高いこと
・英国婦人参政権獲得の歩み (婦人参政権獲得は1918年というのは自分のイメージより遅かった)
・イギリス総選挙の仕組み
・政治とお金の問題
・EUの役割(かなりネガティブコメントでしたが・・・)
・女王陛下の政治的役割 (具体的に首相に対して諮問機能を持つなど、日本の天皇よりもかなり踏み込んだ役割を担っていることを知りました)

 とっても、勉強になりました。2時間ちょっとのツアーで7ポンドですから、授業料としてはとってもリーズナブルだと思います。

 今日の唯一のマイナスポイントは、異様に寒かったこと。時折、小雪が舞うような気候で、更にユニクロ ヒートテックの着用を忘れ、正直、凍える思いでした。

2010年2月13日
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ハイドパーク 2月

2010-02-14 08:11:33 | ロンドン日記 (日常)
 2週間ぶりのジョギング。最近、日もだんだん長くなり、空気全体が明るくなって来た気がしたので、多少、春の予兆が見られるかと思い、期待して走り始めたが、残念ながらまだ早いようだった。まだ、木々のつぼみや花壇の花とかからは春の気配は感じられず、殺風景な中でのRunだった。





 ※1月はこちら。

 この2週間で、体重は多少減ったが、体力も落ちたので、走っていても体が重い。意識してゆっくり走り、いつも65分ぐらいで走るコースを70分以上かけて走った。

 ちょっと、気になっているのは新しいジョギングシューズ。足にはフィットしているし、いかにも機能的な靴なのだが、前の靴に比べるとソールが堅く、クッションも効かない。お店の機能表ではクッションは5段階評価で5がついていたはずなので、いいはずなのだけど、地面の衝撃がダイレクトに伝わる感じがする。ある程度中~上級者向けのシューズだったかもしれない。これでは、10kやハーフはともかく、フルは私には持たない気がする。慣れの問題かもしれないが、ちょっと不安。再来週にハーフマラソンにエントリーしているので、ハーフ走った感じで、どうするか考えよう。

 2010年2月13日
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ボスとの目標設定面談

2010-02-13 06:24:09 | ロンドン日記 (日常)
 ボス(日本人)と今年の私の目標合わせの面談をしました。

 昨年、新しいボスになってから、仕事上ではもちろん毎日行き来がありますが、こうした公式の面談は初めてなので、少し緊張。でも、一通り終わって、方向感は同じだったので、ちょっと安心。これからの習得が望まれるスキルや今後のキャリアなど、いろいろアドバイスを頂きました。


 ボスからの総括のアドバイス: 「今の調子でやってください。無難にやることは簡単。コストだけ切り詰めて一時的に良くみせるのも誰でもできる。でも、それでは仕事は面白くない。それと、今はそんな環境じゃないけど、お金をふんだん使うのはもっと簡単。お金を切り詰めながら、これから事業を大きく成長させるために、どうしたらよいのかに心を砕いてください。」

 なるほど、さすが世界を渡り歩いてビジネスを切り拓いてきた人からのアドバイスは重い。 大いに納得。

 「あっ、あと、もう一つ。毎日、仕事が忙しくて疲れているのだとは思うのだけど・・・・・・・たまに打ち合わせでウトウトしているところを見かけるから気をつけたほうがいいよ。」

 「スス、、、スイマセン」 赤面・・・・・・・・・。



 言いにくいところもスパッと本音で注意してくれる得がたいボスです。

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LSO リハーサル

2010-02-12 08:03:42 | コンサート (in 欧州)
 本当の偶然なのですが、昨夕、外出先から「チョッキ(直帰)します」とボスに告げ帰ろうとしたところ、夕暮れの中、楽器を持って歩いている人が数人。どこかの楽団の人かと思いながら、チラチラと横目で見ながら、並行して歩いていると(ストーカーではありません)、歩道を右に曲がって教会らしき建物の中へ。教会なのに、何故か、敷地の入り口にはLSOのポスターが貼ってありました。何なんだろうと思い、後から敷地内に潜入すると(殆ど少年探偵団の小林少年の気分です)、なんとそこはLSOの練習場として使われているSt.Lukeでした。

 「ふーん。こんなところで練習しているんだ」と感心していながら、ちょっと興味本位でドアを空け、建物内に進入。すると、何故か受付があり、おばさんが座っています。「見に来たの?チケットはある?無ければ3ポンドよ」。言われ、3ポンド払い、案内されるままについていくと、中は小体育館のようになっていました。2階にベンチいすが何個あり、そこから1階の練習場を上から覗くようになってます。既に10人ちょっとぐらいのおじさん、おばさん達が椅子に座っていました。

 1階のフロアには、LSOの人たちが三々五々に集まってきて、思い思いに準備してます。あたりまえですが、みんな私服。普段、舞台で見覚えのある顔の人たちも何人かいました。急になんか静かになったと思うと、すると、何んと、そこに現れていたのは、正指揮者のゲルギエフ大先生。普段は燕尾服でコワモテのゲルギネフ先生ですが、私服で何となくリラックスした雰囲気です。ただ、やはり大先生が現れると、雰囲気はグーッとしまる感じ。「おー。ゲルギエフだー。」と一人で感動していると、指揮台に置いてある、高椅子に腰掛け、さっそく振りはじめます。曲は初めて聴く曲でしたが(後で、係りの人に聞いたら、バルトークの「管弦楽とパーカッションと何とか(?)のための音楽」とのことでした)、間近で始まったリハーサルにタダ驚嘆。

 第4楽章まではズーット流すように演奏が続いたのですが、第4楽章に入って途中まで来た途端に、いろんなところでストップがかかります。「もっと、優しく(Generous)に」「パンパンじゃなくてパパーン」「第2バイオリンから第1バイオリンへのシフトはもっと連続的に」などなど、楽譜を行ったり戻ったり、繰り返したり、とっても動きがありました。

(中央やや左よりの上に黒い服を着ているのがゲルギエフです)


 自分自身、音楽は聴くだけ専門、楽器どころか、楽譜も読めませんので、この指示が音楽作りの中でどのように意味合いを持つのか正直、全く分かりませんでしたが、普段表に出ているところしか見ていないので、こうやってコンサートまでのプロセスを覗くのはとっても面白い経験でした。ゲルギエフが「こうだと」言うと、次は「こう」になっている(ように聴こえた)のが、何かプロとプロという感じでとっても凄かった。また、言葉上は以外と感覚的な指示なんだなあというのも驚き。何か長島茂雄の野球解説のような感覚的な表現。プロの世界を垣間見た気がします。

 本当はこの曲の本番も合わせて聴きたかったのですが、何んと今日の演奏会で、仕事の予定で叶わず。とっても、残念です。
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「言い訳するな!」

2010-02-11 06:35:35 | ロンドン日記 (日常)
 ビジネス・コーチの人に「どうも、こっちの人(西欧人)は言い訳が多すぎないでしょうか?プロジェクトが計画通り進んでいないことを指摘しても、『ああだこうだ』言って言い訳ばかりしている。一言、謝ってくれれば、『じゃあ、次どうしよう』と未来に向けた話が出来るのに、言い訳ばかり聞かされても、出来ないことをほじくるだけで前に進まない」と半分相談、半分愚痴ったところ、面白い資料を頂きました。

 どこかの講演資料のようですが、適当に抜粋すると・・・(文責御免)

■外的環境に対するコントロールへの感じ方
(日本人の文化背景)
・日本人は自分自身の努力や行動で運命を変えることが出来ると信じがち
・それゆえ、日本人は外的環境に対しても能動的に仕掛けることができると考える
・日本人は、言い訳と写ることを非常に否定的に取る
・同時に、組織からの要求や個人が変えることの難しい事態に対しては、簡単に「しょうがない」と言う

(アメリカ人の文化背景)
・「やればできる」
・「神は自ら助く者を助ける」
・「意思のあるところに道は出来る」
・「不可能な夢を夢見よう」
・「JustDoIt」
・「君なら出来る」
・ただ、現実的でもあり、不可能に見える仕事には努力を惜しむことがある
・非常時や重要な時には積極的に解決に当たろうとするが、個人的な犠牲をどこまでかけるかについては一定の線を引く
・自分自身でコントロールできない環境については「神の所業」とみなす

(イギリス人の文化背景)
・欧州の中では最も起業家的
・ただブルーカラーの人たち、特に旧国有企業勤めの人たちの口癖は「俺のせいじゃない。俺にできることはない」
・起こってしまったことはしょうがない

(フランス人の文化背景)
・国に市民、大企業、その社員を保護することが期待されている
・失業は大きな脅威であり、会社が社員のキャリアに責任を負っている
・外的環境により失敗や遅延は正当化される
・エリートには強い自負心
・人が違いを作るという信仰 (「国境無き医師団」、科学やイノベーションに対する強い信仰)

(ドイツ人の文化的背景)
・工学的アプローチを好む
・お客様の要望よりもルールが時として大事
・労働組合の権力がとても強い
・個人の仕事の仕切りが明確で、チームとしての責任はさほど問われない

■文化的相違を乗り越えるために・・・
・「言い訳」というラベルを安易に貼らない。貴方にとっては「言い訳」でも他の人にとっては「状況の説明」
・謝罪を期待するのではなく、将来を建設的なステップにフォーカスすべき
・上手くいかなかったときは「これから何を学ぶことが出来るだろうか?」と尋ねる
・貴方の働く環境を良く良く理解する。貴方の母国のように物事は予測可能ではないことが多いです。

 各国人の特性については「?」と感じるところもありますし、そんな簡単にステレオタイプ化するのも危険だと思いますが、最後の4つのアドバイスは、とっても腑に落ちるものでした。自分では出来る限り、物事を客観的に見よう、行動しようとしているつもりでも、やはり自分を支配する、見えない、ものの捉え方というのがあるだと、気付いたしだいです。(たしか、養老孟司さんが言っていた「バカの壁」もこんなことだったような気がします・・・・)

 2010年2月10日
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白玉小豆

2010-02-10 09:31:12 | レストラン・パブ (in 欧州)
 モスクワからの出張者をご案内した日本食レストランで注文したデザート「白玉小豆」。久しぶりのアンコもので、涙が出るほど嬉しかった・・・・。それにしても、日本語メニューの「小豆」が一瞬読めず、「しろたま こまめ ください」と言ってしまった。同僚たちは一瞬「?」。英語もろくにできないのに、日本語まで読めなくなってしまっているとは、どうしたことか・・・・



 ちなみに、本日出かけたレストランは、シティにある「MUGEN」。お店のご案内はこちら。
 お値段はお手頃でお味はGoodです。お店の雰囲気も、日本食レストランにしては、ちょっとおしゃれ。12,13ポンドでボリュームいっぱいの定食メニューがあるのもうれしい。定食メニューの名前がなんと「残業セット」。今日食したのは、肉豆腐定食。肉豆腐、銀むつの焼き物にサラダ、ご飯がついて12ポンドです。これからも残業の途中や帰りに寄らせてもらいます。(場所は地下鉄モニュメント駅から歩いて1分かかりません)
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LSO ガーディナー指揮 ベートーベン交響曲第9番ほか

2010-02-09 08:23:12 | コンサート (in 欧州)
 好き嫌いはともかく衝撃的な第9でした。

 私も典型的日本人として、日本では2年に1回程度の頻度で、年末に第9を聴きに行きますから、ナマで聴いた楽曲としては、回数は間違いなくNo1のはずですが、今日の第9は今まで聴いた第9と全く違う音楽でした。

 全体の印象は「激情」の第9。とにかく、強烈に激しい音楽でした。第1楽章、第2楽章は「何をそんなに怒っているんだ?!」と尋ねたくなるぐらい。第9は確かに情熱的な音楽であることは間違いないですが、こんなに激しい演奏は初めて聴きました。ピリオド奏法のせいなのか、それとも快速のテンポ(正確には分かりませんが、通しで恐らく1時間ちょっと位だと思います)のせいなのか、私にはわかりません。エモーショナルな演奏ってあると思いますが、当たり前ですが感情にもいろんな感情があって、今日の感情は、私には激しさ、怒り、向かう当てがないエネルギーに取れました。

 ガーディナーさんは昨年「運命」を聴いた際も、違う「運命」を感じましたが、ここまで激しくはなかったような気がします。今日は左の端っこ席ですが、前方2列目だったので、ステージ入りするガーディナーさんが身近に良く見えました。長身で、堂々としており、大学教授というような雰囲気です。背格好はブロムシュテッドさんに似ていますが、ブロムシュテッドは温和な優しい感じがしますが、ガーディナーさんは岩石のような厳しさを感じます。今日の第9の「激しさ」はこのガーディナーさんの指揮ぶりや醸し出す雰囲気の影響かもしれません。

 解釈の好き嫌いはまだよく分からない一方で、LSOの演奏、独奏者、合唱はいずれも素晴らしかったです。特に、合唱がすごい。今日は総勢40名ほどの合唱団。こんな数で大丈夫なのかなあと思ったら、とんでもありませんでした。一人ひとりが独唱者並みのパワーがあり、かつ美しい声をホール一杯に響き渡らせてくれました。日本の年末第9はお祭りということもあり、100名以上の合唱はざらで、第4楽章はオーケストラが聴こえなくなるぐらいなのですが、今日はオケと合唱と独唱の組み合わせが完璧でした。

(合唱はオケの後ろにちょこっといる人たちだけです)


 独奏者は特に、冒頭のバリトンVuyani Mlinde の出だしが最高でした。なぜかその独唱の導入部は、ガーディナーさんはややゆっくり目に間を取っていたような気がしましたが、その見せ場作りに十二分に応える歌唱でした。私なんかはいきなり、背筋が伸びたぐらいです。他の独唱陣は目立ちすぎず、かといって埋もれるわけでもなく、全体の中で非常に上手く調和していました。ただ、今日の快速のピッチにちょっと皆さん苦しそうでしたが・・・

(独唱陣。左からEvans, Brummelstroete, Davislim, Mlinde)


 LSOは相変わらず上手です。アンサンブル、木管、金管のソロパーツ、ホントにいつも聴かせてくれます。今日は私的にはティンパニーがすごく冴えて聴こえました。

 とにかく、あまりにも激しい第9で、混乱していて自分の中で収拾できていないというのが実情です。

 順番が入れ替わりますが、第9の前には1番が演奏されました。これは第9とは違って、非常に理知的な解釈・演奏だった気がしました。冒頭の出だしがやたらスローピッチで、いきなり何が起こったのかとビックリしましたが、直ぐに通常(?)のペースに戻り、後は堂々たる演奏でした。1番はCDを1枚持っているだけで、生はそれこそ20年ぐらい前に朝比奈隆大先生と新日本フィルのコンビで超ヘビメタ1番を聴いたぐらいなのですが、今日の演奏は軽すぎず、重すぎず王道を行く印象でした。正直、一つの完成された演奏だろうと言えるのではないかと思うほどの演奏でした。

 どう総括していいのかわからないのですが、ガーディナーさんの強烈な指揮ぶりがやっぱり一番印象的です。堂々たる自信に溢れた指揮ぶりは「俺のベートーベンを聴いてみろ」と背中で言っているような気すらしました。



 会場は万来の拍手で、スタンディング・オベーションの人も少なからずいました。名演奏であったことは間違いないのですが、皆さんそれぞれどう感じたのか、訊いてみたい気がしました。


London Symphony Orchestra / Sir John Eliot Gardiner
Beethoven Cycle
7 February 2010 / 19:30
Barbican Hall

Beethoven Symphony No 1
Beethoven Symphony No 9 ('Choral')

London Symphony Orchestra
Sir John Eliot Gardiner conductor
Rebecca Evans soprano
Wilke te Brummelstroete mezzo-soprano
Steve Davislim tenor
Vuyani Mlinde bass-baritone
Monteverdi Choir
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ロイヤル・オペラ・ハウス "Cosi fan tutte" (コジ・ファン・トゥッテ)

2010-02-08 00:14:46 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 とっても楽しい舞台でした。 ※お話はこちらを参照ください。

 面白いストーリー展開、モーツアルトの美しい音楽というネタそのものの良さに加えて、主要歌手陣が其々素晴らしくとてもレベルの高いパフォーマンスだったことが、楽しさに繋がったと思います。これほど、オペラを観て、笑って、愉快な気分になったのは、「フィガロの結婚」セビりアの理髪師」以来です。ワーグナーのような重厚なオペラもたまには良いけど、やっぱりオペラはこう楽しくなきゃあということを改めて感じさせてくれました。やっぱり、モーツアルトは大天才だ!

 歌手は其々良かったですが、女性陣が特に良かったと思います。中でもフィオルディリージ役のSally Matthewsのソプラノは、声量や声の通り、透明さという点でとても響きました。歌だけでなく演技もとっても熱演でした。妹(?)のドラべッラ役のNino Surguladzeの声も好きです。ひだを感じる、深みのある声でした。二人とも若く(実際の年齢は知りませんが)、美人なので、まさにはまり役でした。また、女中デスピーナ役のHelene Schneidermanも安定した歌唱と演技でしっかり舞台を支えていました。




 この男性陣では老哲学者Don Alfonso役のWilliam Shimellが知的ユーモア溢れるキャラクターを良く演じていました。士官役2名もユーモラスで良かったです。

 歌手陣の高いレベルでの安定感に加えて、演出の面白さもこの日のポイントだと思います。もう何度もロイヤルオペラハウスでは再演されているプロダクションのようですが、舞台を現代に置き換えているとこも全く違和感がなかったですし、携帯電話などの小物をネタに笑いを取るのも面白かったです。ちょと、気になったのは、今風の軍人の迷彩服を着た士官さんたち。今のイギリスではアフガン派兵による戦死者の増大が政治問題になっているので、今風の軍人服を着させて、派兵中(芝居ではありますが・・・)の恋人の変心を描くというのは、ちょっとセンシティブなのではと思いました。ただ、会場の雰囲気ではそんなにネガティブなものを感じませんでしたので、それはそれ、これはこれ、なのかもしれません。日本じゃ、「不謹慎だ!」とモノ申す人がきっといるに違いないですが・・・

 指揮のJulia Jonesは女性指揮者で、ポルトガルの歌劇場の監督を勤めているようですが、イギリス人ですがロイヤルオペラで指揮するのは今回が初めてのことでした。オーケストラも良く応え、モーツアルトの軽やかな音楽を一杯に聴かせてくれました。


 とっても、晴れやかな気分で劇場を後にした次第です。
 

Così fan tutte
Friday, February 05 7:00 PM

Credits
Composer Wolfgang Amadeus Mozart
Director Jonathan Miller
Designer Jonathan Miller
Lighting Jonathan Miller,John Charlton

Performers
Conductor Julia Jones
Ferrando Charles Castronovo
Guglielmo Troy Cook
Don Alfonso William Shimell
Fiordiligi Sally Matthews
Dorabella Nino Surguladze
Despina Helene Schneiderman
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リセウ大劇場で『トリスタンとイゾルデ』を見る

2010-02-07 17:18:15 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 出張で出かけたバルセロナだったが、隙間時間でオペラを見ることが出来た。それもワーグナーの『トリスタンとイゾルデ』。


 リセウ劇場は豪華さではNo1。外見は古いが、ロビーや劇場内は綺麗で新しい。スタイルは昔なさがらの感じで、シックな中にも派手さがある。ロイヤルオペラハウスを派手にした感じ。全体的にすごくスペースに余裕があるので、とてもリッチな感じがする。








 50ユーロで、3階席左手の奥の席。視界は一部さえぎられるが、鑑賞にはほぼ問題なし。オーケストラの音と歌手の歌がしっかり聞こえる良席。廻りの人は皆知り合いらしく、挨拶を交わしていた。となりのおばさんから「今日はFantastic. Beautifulなオペラよ」と言われる。開演前はスペインらしくお喋りがすごい。


 公演は期待以上に素晴らしかった。歌手は実力派をそろえているように見えた。イゾルデのDeborah Voigt以外は知らないが、トリスタンのテノールも良かったし、侍女のメゾソプラノは主役を食う勢い。久しぶりに圧倒された。オケの響きもとても美しい。かなりの実力があると思った。バルセロナのオペラがこれほど実力があるとは知らなかった。

 それにしてもワーグナーは疲れる。今日は80分、75分、75分。映画の3本建てを一気に見るよう。2幕が終わった段階で、翌日に備えた打ち合わせのため、出なくてはいけなかったが、2幕で十分。動きの少ないオペラで、歌いっぱなしの2人は本当に大変だろう。

  


Direcció d escena / Dirección de escena / Stage Director Thor Steingraber
Escenografia i vestuari / Escenografía y vestuario /Set and costume
design David Hockney
Il·luminació / Iluminación / Light Design Duane Schuler
Producció: Los Angeles Opera

31/01/10 17:00
Direcció musical Sebastian Weigle
Tristan Ian Storey
Marke Kwangchul Youn
Isolde Deborah Voigt
Kurwenal Bo Skovhus
Melot Norbert Ernst
Brangäne Michaela Schuster

Un pastor / Un Mariner Francisco Vas
Pilot Manel Esteve Madrid
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日本人のおじぎ(bow)4態 (トヨタ車のブレーキ欠陥)

2010-02-07 02:31:12 | ロンドン日記 (日常)
 今朝のタイムス紙にトヨタのブレーキ欠陥に関連したトヨタ社長の謝罪についての記事が載っていました。興味深かったのは、その記事とセットで解説してある "The Japanese bow"。


写真に付随する説明を逐語訳しますと、

(一番目)
「私どものせいで、ご迷惑をおかけしました」(Scarcerly bothered・・・どう訳すんでしょうか?)
「25度の角度で傾けるが、静止はしない。『すいません。ご不便をおかけしました』を示す。」

(2番目)
「非常に申し訳ございません」(Quite sorry)
「45度に傾け、迷惑をかけた度合いにより1秒から3秒静止」
「『はい、私どもの不始末です。今度、2度とこのようなことは起こしません』を示す」

(3番目)
「本当に(もしくは)公式に、申し訳ございません」(Actually or offically sorry)
「90度に傾け、失った金額や生命や信用の度合により3秒から7秒静止。」
「とんでもないことをしてしまいました。お許しください」を示す。

(4番目)
「本当に、本当に申し訳ございません」>(Really spectacularly sorry)
「土下座(Dogeza)。膝間付き、頭は床に、最大30秒まで続ける」
「法律でに罰せられるにしても、とても私の謝罪を補うものではありません」を示す。

 この絵の後に続く、さらなる解説が面白いです。要約すると、

伝統的に謝罪のおじぎは角度とタイミングの組合せである。日本の会社にとって、ここでのおじぎはどれだけ会社が申し訳思っているか、もしくは顧問弁護士がどれだけ謝罪することをを認めるか、次第である。案件の状況によりおじぎの仕方は数10種類ある。トヨタ社長の昨夜のおじぎ(右奥の写真です)は、おそらく彼が取りうる最も中立的なものであった。すなわち45度の角度で、頭は体と同じ角度で。タイミング的にも、一通りのことが終わった後、急ぎ1.5秒だけ。日本人作法の専門家によると、これは彼が責任を認めたことを意味しないとのことである。おじぎの意味合いからすると、あなたの注文を取り忘れたウエイター程度の謝罪のようだ。(文責は一切負いませんので、あしからず)

 ただ、これはあまり面白がっているわけにはいきません。昨日の紙面では、トヨタ車のブレーキ故障と思われる事故で亡くなった家族の記事が大々的に報道されていたことでもあり、言葉上は謝罪していても、実は謝罪のつもりはないのはと思われ、更にトヨタの信用、しいては日本製品の信用が失われないか心配です。安易に、ただ謝罪すれば良いものではないので、なかなか舵取りが難しいとは思いますが、誠実かつ適切な対応をトヨタにはお願いしたいです。

 2010年2月6日
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バルセロナ Cafe FARGA

2010-02-06 16:56:09 | レストラン・パブ (in 欧州)
 バルセロナで一人で入ったお惣菜屋を兼ねたCafe。到着した日曜日の午後だったので、総菜買ってホテルの部屋で食べようかと思いましたが、一人で部屋で食べても、つまらないなあと思い、カウンター席で食べることにしました。


 Cafeといっても、総菜用に売り出している大皿料理を小分けにして出してくれるので、メニューも豊富です。値段は一皿2~4ユーロで、どれも美味しいです。Cafeでコーヒーを飲む客、軽い食事を取っている人、総菜を買いに来た人で、ひっきりなしに人が出入りしていて活気があります。

 ちょっと、頼みすぎたかな?と思いましたが、どれもVeryGoodです。パンにチーズとハムを挟んで焼いたサンドイッチ(左奥)、肉団子をトマトソースベースで煮込んだシチュー(左前)、マカロニ海鮮サラダ(中央手前)、バカラオのフライ(右奥)、トマトとニンニクを塗って焼いたパン(右手前)。


 場所は、地下鉄3号線ディアゴナル駅から、バルセロナを斜めに横切る大通りディアゴナル通りを北西(山側)に徒歩2分。北西方面に向かって左手にあります。

 ※お店のHPはこちら
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こんな洗面器

2010-02-06 08:44:12 | ロンドン日記 (日常)
 ※やっと、体調が戻ってきました。週末で完治予定です。

 出張で泊ったバルセロナのホテル。ビジネスホテルですが、いわゆるデザインホテルということで、ホテル全体のつくりから部屋の部品に至るまで、いろいろ凝っていて面白いものがありました。

 ただ、一つだけ、ちょっとこれは?と思ったもの。深さ5センチの洗面器。


 洗面器のはずなのに、シンクにお湯溜めて顔洗ったり、髭をそったりするのが、不便なことこの上なし。こんなデザイン要らないんですけど・・・。
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マドリッド CASA LUCIO

2010-02-05 05:33:54 | レストラン・パブ (in 欧州)
 マドリッドで泊ったホテルは空港近くのビジネスホテルでした。が、「マドリッドは初めて」とはしゃいでいる私に気を遣ってくれたのか、ホテルにチェックイン後、ローカルスタッフが打ち合わせ終了後に市内まで食事に連れて行ってくれました。

 レストランが始まるのが大抵9時からなので、旧市街の界隈を少し歩きましたが、月曜日の夜ということで、人通りはそれほど多いものではありませんでした。人とおり歩いた末に、CASA LUCIOというレストランに入りました。「カジュアルだが、とても歴史があり、マドリッドの人間で知らない人はいない」というぐらい有名なお店だそうです。お店のHPはこちら


 ここでもいろいろ食べました。名物は、エビの網焼き、シシトウのようなピーマンの天ぷら、アンチョビ、などなど。名物はフライドポテトの上に半熟玉子と生ハムが載った料理だそうです。スペインのさっぱり白ワインとの相性がぴったりで、食べることは本当に楽しいことだと、改めて実感。値段も「安い!」というほどではないですが、高くはないです。

 有名なお店なのでとっても混んでいます。我々は開店と同時に予約なしで入りましたが、案内されたのは通路にある席。中の席は全て予約で一杯とのことでした。


入り口のカウンターバーです。


 マドリッドに行かれる機会があったら、是非、お立ち寄りください。予約したほうが良いと思います。
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