1年間試演を重ね、その都度、演出家と芸術監督、製作スタッフが協議し、方向性や展望等を見極めていく新国立劇場演劇部門の「こつこつプロジェクト」の公演ということで楽しみにしていたのだが、残念ながら私の理解を超えた舞台で、首を傾げたまま終わってしまった。
昭和の「小市民」を10のエピソードで描いているのだが、どうも共感できるところが少ない。私自身、昭和の時代を相当年生きているのだが、どうも感覚が合わない(もちろん戦後だけをとっても昭和は40年以上あるからそれぞれいろいろあるのだろうけど)。これが昭和の小市民なのかなあ・・・という思いが最後まで抜けなかった。
脚本の別役実さんは「日本の不条理演劇を確立した第一人者」(Wiki)ということで、相当に高名な方のようだが、私には難しすぎた。個々のエピソードの位置づけ、話の展開、相互の関連がわかりにくい。さらに、「あれ」という指示語が多くの場面で連発されるのだが、確かに日常で使うことは場面は多いだろうが、舞台で多く使われるとかえって不自然さが耳についてしまう。脚本家の意図が良くわからなかった。
世の不条理を描いた不条理劇という分野があって、本劇はそれに該当するようだが、結局、何を描こうとしているのか私にはさっぱりわからずじまいで、消化不良感が大きい。役者さんはそれぞれ熱演だったので、違和感は作品そのものにあったのだろう。
演劇初心者の単なる感想なので、このコメントで不快に思う人がいらしたら、はなはだ申し訳ないのだが、私のストライクゾーンからは外れた舞台であった。
2021年12月8日観劇
あーぶくたった、にいたった
Bubbling and Boiling
公演期間:
2021年 12月7日[火]~12月19日[日]
予定上演時間:
1時間45分 (全10場 105分 休憩なし)
スタッフ
【作】別役 実
【演出】西沢栄治
【美術】長田佳代子
【照明】鈴木武人
【音響】信澤祐介
【衣裳】中村洋一
【ヘアメイク】高村マドカ
【演出助手】杉浦一輝
【舞台監督】川除 学
キャスト
山森大輔
浅野令子
木下藤次郎
稲川実代子
龍 昇