その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

N響 1⽉公演、鈴木優人 指揮、ブラームス交響曲 第1番ほか @サントリーホール

2021-01-30 07:00:24 | 演奏会・オペラ・バレエ・演劇(2012.8~)

1月のN響演奏会3本目は3Bプログラム。コロナ禍の不幸中の幸いで、サントリーホールのチケットもらくらく入手できるのは嬉しい。

今夜の指揮は鈴木優人さん。BCJを初め幅広く活躍しているが、私としては調布音楽祭の総合プロデューサーとしての優人さんが身近。昨年こそ中止になったが、年々プログラムを進化させて企画もユニーク。音楽祭の期間は、会場近辺を神出鬼没に現れて、各会場のパフォーマンスを確認し、関係者と談笑する姿をお見受けする。個人的にはお話ししたことないが、肩ひじ張らず、親しみやすく、明るく開放的な雰囲気が常に漂っているお方だ。

N響定演にはデビュー済みとは言え、ステージに現れた優人氏は幾分緊張が伺えた(2階のLA席からの鑑賞であったので、優人氏の表情が良く分かった)。ただ、お家芸であろう弾き振りによるバッハのブランデンブルク協奏曲第1番で、すぐにマイペースをつかんだ感じ。N響の名手たちを表情豊かにリードして、伸びやかな演奏を聴かせてくれた。

後半はコラリオン序曲とブラームス交響曲第1番。ブラームスの1番は、このブログの記録を辿ると、ここ8年余りでブロムシュテッドさん、マリナーさん、スラットキンさんとそうそうたる指揮者によるN響の演奏を聴いている。こんな先達たちに続いてN響を振るのも凄いプレッシャーではないかともお思うのだが、キャラ的にはこれらの大先輩と真逆に位置するような優人さんは、優人さんらしい明快で、すっきり目の1番を聴かせてくれた。私的に、感じ入ったのは第2楽章の美しさ。オーボエ、第1ヴァイオリン、ホルンの独奏とアンサンブルの組み合わせが絶妙で涙が出そうになった。個人的にはオーボエ吉村さんは神。久しぶりの生ブラ1を満喫した。

12月の井上道義さんのサントリーホール公演よりは入っていたものの、入りは5割ぐらいかな。それでも、ここ数カ月の聴衆の皆さんは、リスクを賭して来ているだけあって、物音一つない集中力と暖かい反応が素晴らしい。LA席なので正面席のお客さんが見えるのだが、誰一人居眠りしてない。もちろん素晴らしい演奏に接した際に、満員の会場からあふれる感嘆の声や拍手は生演奏会の醍醐味であるのは承知だが、ここ数カ月、決してそれに負けない満足感ある演奏会が続いている。

 

NHK交響楽団 1⽉公演 サントリーホール

2021年1月28日(木)開場 6:00pm 開演 7:00pm
サントリーホール 

指揮:鈴木優人


バッハ/ブランデンブルク協奏曲 第1番 ヘ長調 BWV1046
ベートーヴェン/序曲「コリオラン」作品62
ブラームス/交響曲 第1番 ハ短調 作品68

NHK Symphony Orchestra January Concerts at Suntory Hall
Thursday, January 28, 2021 7:00p.m.
Suntory Hall 

Masato Suzuki, conductor

Bach / Brandenburg Concerto No. 1 F Major BWV1046
Beethoven / "Coriolan," overture Op. 62
Brahms / Symphony No. 1 C Minor Op. 68

コメント
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