
パリが大変なことになっていますが、そのパリにあるマルモッタン・モネ美術館の所蔵品からのモネ作品展です。パリは何度かプライベートや仕事で訪れましたが、マルモッタン・モネ美術館は行ったことがありませんので、非常に楽しみにしていました。
お目当ては、印象派の由来となったモネの『印象・日の出』。開幕間もない10月に、空いているであろう金曜日の夜間開館時間に出かけたのですが、これが大いなる見込み違い。『印象・日の出』が期間限定展示(東京では10月18日まで。来年福岡、京都を巡ります)のためか、夜間とは思えない混み方で、土日の昼間と変わらないような人出でした。
金曜の夜ということで、真面目に根気よく並んで、牛歩の歩みで鑑賞する元気も無く、他の作品は諦め、『印象・日の出』の一本勝負に。目玉の出展でもあり、整列して順次鑑賞するよう誘導されましたので、時間は短いですが間近で見れました。

《印象、日の出》 1872年
ル・アーヴルの港の朝の印象を描いたこの作品、朝もやの中の港の風景が目の前にあるようです。(音声ガイドや昨年聞いたとある講演会でも耳にした話ですが、最近の研究で、モネが何年何月何日何時にどこで、この絵を描いたかまでが明らかになっているそうです。)会場では、上手くこの絵にスポットライトを当てていて、まるでこの絵が浮き上がって、輝いているようで見とれてしまいます。
『印象・日の出』以外は殆ど人ごみの後方を素通りだったのですが、唯一、人ごみが途切れて立ち止まって鑑賞できたのが、若き時代に描いたカリカチュア(風刺画)。若き日は授業そっちのけでカリカチュアを描いて、小遣い稼ぎをしていたとか。そんな、微笑ましいエピソードに若きモネを想像し作品群を眺めるのは楽しいものでした。

《劇作家フランソワ・ニコライ、通称クレルヴィル》 1858年.鉛筆、紙
展覧会は12月13日まで、東京都美術館にて。