その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ナショナル・ギャラリー 企画展 Devotion by Design: Italian Altarpieces before 1500

2011-09-19 22:28:29 | ロンドン日記(イベント、観光、スポーツ)
 帰宅途中に、ナショナル・ギャラリーのセインツベリー館地下1階で開催中の企画展Devotion by Design: Italian Altarpieces before 1500を覗いてきました。(ナショナルギャラリーは金曜日は夜9時まで開館しています。)



 常設展の作品を、特定のテーマで選び、並び変えて展示する企画展なのでありがたいことに無料です。しかし、新しい視点や学びを与えてくれるナショナルギャラリーの企画展には、いつも感心させられます。

 今回は、1500年以前の中世後期からルネッサンス初期にいたるイタリアの祭壇画が展示されています。祭壇画のつくりや、変遷などをパネル展示を追いながら絵を鑑賞するのは、ギャラリーに「ただ」並んでいるだけでスーッと通るのとは、また違った印象を与えてくれます。一つの部屋では、祭壇画の後ろに入れるようになっており、木つくりのパネルの裏側がのぞけたりします。

 中でも圧巻はメインホールで、実際の教会を再現したようなつくりで、正面のメイン祭壇と左右の小祭壇を並べた形で祭壇画を展示してあります。照明を落とした部屋に、教会音楽を厳かに流されて、あたかも中世の教会にそのままタイムスリップしたような感覚になります。一つ一つの絵が繊細で美しく、神秘的です。

 教会の宗教画はちょっとと抵抗感を感じる人は居ると思いますが(私もどちらかといえば苦手)、好きでなくてもお嫌いで無ければ、企画展ならではの切り口に新しい発見もあるかと思いますので、足を運ばれることをお勧めいたします。(10月2日までです)


 ※この企画展のためのビデオがナショナルギャラリーのHPにアップされています。これがとってもよくできていて面白いのですが、行かれる方はこれを見てから行くと、更に楽しめます。会場横のVIDEOルームでも上映してます。(こちら→

(余談)
 センイツベリー館の玄関ホールで、リュート(たぶん)の伴奏に合わせて、ソプラノの歌手がモダン(?)宗教曲を中心としたミニコンサートのようなものをやっていました。数人が立って聞いているだけだし、ナショナルギャラリーのパンフレットに掲載されているイベントでもないので、音楽好きのボランティアのパフォーマンスなのかなあと思って、何となく立ち止まったのですがが、直ぐにその歌声の美しさに痺れてしまいました。金曜の夜、暗く、人もまばらなナショナルギャラリー別館の入口ホールに響くその歌声は、一週間の仕事の疲れがスーッと抜けていくような感覚に陥いるものでした。オペラやコンサートも良いけど、音楽を聴いて本当に良かった、幸せだと思う瞬間でありました。



 2011年9月16日
コメント (2)
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