その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

ロイヤルオペラ/『三部作』 (プッチーニ)

2011-09-17 23:48:38 | オペラ、バレエ (in 欧州)
 ロイヤル・オペラのシーズン開幕公演のプッチーニ『三部作』を見に行った。

 ※『三部作』のWiki → 

 ※「外套」のWiki→

 ※「修道女アンジェリカ」のWiki→

 ※「ジャンニ・スキッキ」のWiki→

 よくもまあ、これほど関連の全くない別々の3つの話を集めて『3部作』として一つのオペラに仕立てたものだとピッチーニの手腕にほとほと感心した。今夜の歌手陣、オーケストラの熱演とセンスのいいプロダクションの3拍子が揃ったことに負うことも大きいが、「外套」、「修道女アンジェリカ」の重い悲劇が2つ続いたあとの「ジャンニ・スキッキ」の喜劇による締めは、ステーキの後のシャーベットのようで後味がとっても良い。こじつければ、人間の死をめぐる喜怒哀楽の物語ということになるのだろうが、Wikiにあるように、観衆のエンターテイメントを考えてのことなのか、それとも他の意図があるのかは、分からない。

 今夜は、どれも良かったのだが、一番引き込まれたのは、最初の「外套」。3角関係の男女を演じる3人の歌手陣(Lucio Gallo, Aleksandrs Antonenko, Eva-Maria Westbroek)
の歌、演技が共に素晴らしく、オーケストラの盛上げがかけあわさって、圧倒的重量感を感じさせるパフォーマンスだった。パリだが、アムステルダムやハンブルグを思い出させる暗い夜の港湾のセットと照明、ドロドロした愛憎の官能的演出は、『リゴレット』を思い起こさせる。ヘビー級のストレートパンチを真正面から食らったような衝撃だった。



 「外套」で若い妻に不倫に走られる哀しい老船長を歌ったLucio Gallo は、「ジャンニ・スキッキ」では全くの逆キャラクターとんちの効いた中年ジャンニ・スキッキをハツラツ演じ、舞台を盛り上げた。周りを固める親戚一同役も良くて、オペラというよりも、軸がしっかりしたコメディ芝居をみているような感じで楽しめた。



 「修道女」もヒロインErmonela Jaho の好演につきる。パンフレットの写真は随分派手な目鼻立ちだが、修道女という衣装のせいか、ずっと清楚に見える容姿はこの役柄にぴったりで、細くて美しいソプラノと迫真の演技が素晴らしかった。『トゥーランドット』のリューをやったら似合うだろう。



 パッパーノ指揮のオーケストラの好演も触れないわけにはいかない。毎回、 パッパーノが振るとオーケストラの音が違うと書いているのだが、今日も違った。音楽が躍動し、表情が豊かになる。会場からも大拍手と歓声がパッパーノとオケに寄せられていたが当然だ。



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Il trittico
Saturday, September 17 6:30 PM

Credits
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IL TRITTICO
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Composer: Giacomo Puccini
Director: Richard Jones

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IL TABARRO
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Set designs: Ultz
Costume designs: Nicky Gillibrand
Lighting design: D M Wood
Movement Director: Sarah Fahie

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SUOR ANGELICA
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Set designs: Miriam Buether
Costume designs: Nicky Gillibrand
Lighting design: D M Wood
Movement Director: Sarah Fahie

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GIANNI SCHICCHI
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Set designs: John Macfarlane
Costume designs: Nicky Gillibrand
Original lighting design: Mimi Jordan Sherin
Lighting revived by D M Wood
Choreography: Lucy Burge
Revival Choreographer: Sarah Fahie

Performers
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IL TRITTICO
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Conductor: Antonio Pappano
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IL TABARRO
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Michele: Lucio Gallo
Giorgetta: Eva-Maria Westbroek
Luigi: Aleksandrs Antonenko
Tinca: Alan Oke
Talpa: Jeremy White
Song Seller: Ji-Min Park
Frugola: Irina Mishura
Lovers: Anna Devin§
Robert Anthony Gardiner

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SUOR ANGELICA
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Sister Angelica: Ermonela Jaho
The Princess: Anna Larsson
The Abbess: Irina Mishura
The Monitress: Elena Zilio
Mistress of the Novices: Elizabeth Sikora
Sister Genovieffa: Anna Devin§
Nursing Sister: Elizabeth Woollett
Alms Sisters: Gillian Webster, Kathleen Wilder
Sister Osmina: Eryl Royle
Sister Dolcina: Elizabeth Key
Novice: Katy Batho
Lay Sisters: Melissa Alder, Kate McCarney

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GIANNI SCHICCHI
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Gianni Schicchi: Lucio Gallo
Lauretta: Anna Devin§
Rinuccio: Francesco Demuro
Zita: Elena Zilio
Gherardo: Alan Oke
Nella: Lisa Anne Robinson
Betto di Signa: Jeremy White
Simone: Gwynne Howell
Marco: Robert Poulton
La Ciesca: Marie McLaughlin
Maestro Spinelloccio: Henry Waddington
Ser Amantio di Nicolao: Enrico Fissore
Pinellino: Daniel Grice§
Guccio: John Molloy

コメント (4)
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メドックマラソンを走る 2011

2011-09-17 10:06:21 | ロードレース参戦 (in 欧州、日本)

(自分のマラソン史に残るレース。個人メモから)

朝6:30 ボルドー市内からバスで出発


ブドウ畑から登る朝日


続々とスタート地点に集まるランナーたち




日本人グループ


最初のシャトー。早速みんな飲み始め。まだ2キロぐらいなのに。


かわいいミッキーさんたち


一面に広がるブドウ畑


ぶどうは膝ほどの高さになっています


次のシャトー目指して走れ!


シャトーの中庭で振舞われるワイン


要はマナーハウス


相当広い敷地のシャトー


シャトーの従業員が総出で振舞ってくれます


ワイングラスで出してくれるシャトーも


かわいい少年が樽出しのワインをサーブ


よくわからないグループ


30キロから太陽が出て、気温がグーっと上がり、きつかった


ラスト5キロは、生ハム→牡蠣→サイコロステーキ→フルーツ→アイスのフルコース

前菜の牡蠣


最後はデザートのアイスで〆


(つぶやき)
楽しいがかなり疲れた。
雰囲気は最高。ホスピタリティがすごい。走るためのレースではなくて、楽しむためのレース。一人で出ても面白くないし、仲間で出るのがいい。
仮装も皆でやれば楽しい。ワインの振る舞い方、スナックや至る所での音楽など、楽しさ指数では間違いなく一番。

午前中曇っていたのは幸いだったが30キロ地点から晴れてきついレースだった。アップダウンが続き、真面目にやると足に来る。一つづつ次のシャトーを目指して淡々と走った。結果は5時間11分。走りとしてはめちゃ不本意。ただ練習不足だし、あの暑さの中なので、抑えた走りにしたので止む得ない。熱中症になったり、心臓がおかしくなったらかなわなないから。それにしても記録はこれで2回連続の下り坂。もう記録は伸びないのかなあ。


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