その後の『ロンドン テムズ川便り』

ことの起こりはロンドン滞在記。帰国後の今は音楽、美術、本、旅行などについての個人的覚書。Since 2008

新緑の湖水地方を訪れる 2/2 ヒルトップ

2011-05-24 22:22:41 | 旅行 海外
今日も朝から雨。風も時おり暴力的な横殴りの風が吹く。見通しも悪く、せっかくのレイクヴューのホテルも台無しだ。しかし、この風雨が湖水地方の自然、風景を作ってきたと言うことが実感できる。この気候がなければ、この緑と水豊かな風土は育たなかったに違いない。

天気は悪いが、ピーターラビットの作者の住まいヒルトップを訪ねることにする。ボウネスから湖横断のボートに乗って、15分で対岸へ。待ち合わせに接続のマイクロバスが来て、10分も乗るとヒルトップに着く。

丘陵沿いのいかにもイングランド的な牧場風景である。羊が草を食い、若緑の絨毯が広がる。よくガイドブックで絵本のような風景とか言った表現があるが、その表現はこそばくなるよるので好きではないが、まさにそのとおり。100点の野原があるとしたらこんな野原なのだろう。

ヒルトップはピーターラビットの生みの親ビアトリクス・ポターが暮らした家。昨日のウーグワースの時代より1世紀後なので、家の中も近代的だ。小綺麗な家具と備品がおいてあるが、実際はもっといろんなものが置いてあったに違いない。生活臭が無さすぎる。しかしこんな牧場のど真ん中に家を構えて生活すると為のはどんな気分なのだろう?

日本人が多いのに驚く。8割上が日本人の中年以上のご婦人がた。チケット売り場で渡された案内マップも販売用のパンフレットも英語以外では唯一日本語版があった程だから日本人の訪問がよっぽど多いのだろう。

ヒルトップ見学のあとは、周囲を散策する。ピーターラビットの本に出てくる家とかポストとかがある。本自体を読んだことはないのだが、確かに雰囲気のあるところだ。

再びミニバスで湖畔まで行って、ボートに乗ってボウネスへ戻る。湖水地方の有数の繁華街だけあって店も多く、中でもアウトドアショップが目立つ。どこも登山やウオーキング用のジャケットとかパンツをセールしていた。半額近くに割り引かれていたレインコートを買ってしまった。

あとは13:58の列車に乗って帰るだけだが、その前にランチをとる。通り沿いにちょおとこじゃれたレストランがあったので入ってみた。これがけっこう当たりで、値段もパブ値段(というか後できずいたがパブの別棟のレストランだった)で、明るくて清潔感のある内装。サービスのおねえさんもキビキビしている上に愛想も良く、肝心の料理もとっても美味しかった。また来れたら必ず寄ろうと決めた。

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新緑の湖水地方を訪れる 1/2

2011-05-24 22:20:54 | 旅行 海外
二度目の湖水地方旅行。前回は紅葉時だったので、今回は是非とも新緑の湖水地方が見たくなって足を延ばした。

バスでウンダミア駅からグラスミア湖へ向かう。新緑は終わりかけだが、緑が美しい。葉に残った雨の滴が緑を輝かせ、さらに引き立てる。天気はあいにくの曇りだが、しょうがない。

グラスミアへは30分ちょっと。小さな村だが静かで落ち着いたたたずまい。ホテルを取るのに苦労した割りには、周辺は空いている。唯一人が混んでいたのが、ジンジャーブレッドのお店。1ピースで2.5、2ピースで4ポンドと言うことだったので、2ピース買ったが完全な判断ミスだった。とても2、3日では食べきれないほどの量だった。しかも重い。味は甘いが、生姜の味がしっかり効いていて美味しい。

近くのガーデンカフェテリアで昼食。チキンのパイを頼んだが、チキンは良く煮込んであり、パイもカラット揚がって、とっても美味。予期せぬご馳走ランチとなった。8.9ポンド也。

グラスミア湖のウオーキング路を歩く。静かで気持ちがいい。バードウオッチイングには葉が繁りすぎているが、鳥の声がウオーキング気分を盛り上げてくれる。なんて静かで落ち着いた風景と時間なんだ。湖水地方の良さは歩かないと解らないことを実感。

旧軽井沢の緑、山中湖の湖、大沼の素朴さを持ったある意味完璧な湖リゾートだと思う。

50分弱歩いて、ウーグワースが住んでいたダウコッテージを見学。20分ちょっとのガイドツアーがある。小屋にふさわしく、天井も背の高い人なら頭をぶつけるぐらいで、大きさも6畳もあるかないかと言う部屋が1階と2階に3、4部屋ある。ただ湖畔にたつこんな部屋で湖を見ていたら詩情も湧くだろうと納得。隣接して博物館もたっていて本人直筆のメモや原稿が展示してある。ショップでせっかくなので詩集を買ってみた。あとで読んでみたが、意味すらほとんど掴めなかった。

博物館を出ると強い霧雨が降り始めていた。バスにのってホテルに行く。昔のマナーハウスをゲストハウスにしたもので、大きな前庭もある。ところがチェックインをしようとしたらレセプションのおばさんが「申し訳ありませんが部屋をご用意できませんでした。町の方に別のホテルを用意してありますので、タクシーで移動願います。申し訳ありません。タクシー代はこちらで持ちますので」とのこと。やっと荷物を下ろせると思ったので精神的ダメージはかなり受けたが、怒りは抑えた。どうも団体客の見込みが来るって押し出されたようだ。幸い、移動先のホテルもまずまずだったので、気持ちを入れ換えることにした。

ホテルのバーラウンジで村上春樹を読みながらビールを飲む。ゆっくり出来て良し。

晩飯は唯一見つけた中華料理屋にした。チキンの野菜炒めがうまかった。ホテルに帰って、ラウンジで赤ワインを飲みながら村上本。
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村上 春樹 『走ることについて語るときに僕の語ること』  

2011-05-24 21:58:45 | 
先週末、村上春樹のエッセイを初めて読んだ。急に村上春樹が読みたくなって、ロンドン三越まで買いに行った。

同世代の多くの人同様、学生時代、村上ワールドに嵌まった。「羊をめぐる冒険」、「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」は、こんな世界を小説の中では創ることができるだと衝撃的で、特に好きだった。「ノルウエイの森」以外は、自分と合わないものは無い。社会人になってからも新刊が出ればすぐに読む(でも「1Q84」はまだ読んでない)。

本書はタイトル通り走ることについて語ったものである。村上さんは、私とは比較にならない本格ランナーだが、走ることの個人的体験は、レベルの上下関係なく似たところが多いから、共感できるところが多いし、なるほど村上さんはこう書くのかと感心することも沢山あった。

しかし・・・である。昔からの村上ファンとしては、なんか少しがっかり。あまりにも村上さんがストレートにランニングを通じて自分のことを語るからである。村上さんにはこんなに「僕」のことを話してほしくない。自分の中の村上さんは、朝走って、サンドイッチを食べて、原稿を書いて、昼過ぎにはビールを飲む人かもしれないが、それ以上でも、それ以下でもない。こんなに自分のことを、ランニングと重なりあわせて話してはいけない人なのだ。雲をつかむような人であって欲しいのに、こんなに地上に降りてきてはいけない。

私の一方的な片想いであることは、重々承知なのだが、村上さんはこういう本を書いてはいけないと思った。
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