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衝撃!『モンティエルvsドネア』新時代の幕開けか!?

2011-02-22 | ボクシング

ボクシングです。

世界中のボクシングファンが注目し固唾を飲んで待っていたバンタム級頂上決戦『フェルナンド・モンティエルvsノネト・ドネア』戦を一日遅れのWOWOWの中継で観戦しました。日曜日から一般紙のスポーツ欄やネットのニュースさえも見ないようにして観戦に臨んだ注目の一戦。
期待通り、いやそれ以上の衝撃的な試合となりました。この1試合で今年のWOWOWの年間視聴料の元は取れました、ってくらい。

閉店間際のバイユーでお馴染みKさんHさんと、それにお久しぶりだったKシマくんと大相撲の話で楽しく盛り上がった後~普段なら眠くなりそうな時間帯ながら元気よく帰宅。酒とつまみを用意して深夜のテレビの前に。録画しておいた試合観戦となったのでした。

昨年4月武道館で長谷川穂積選手を激しくKOして3階級を制覇し名を上げたモンティエル選手と2階級を制覇しスーパースター直前にまで辿り着いているドネア選手の一戦。予想はドネア有利、この試合を機に本物のスーパースターへと駆け上がるだろうと見られているようでした。しかしニッポンのボクシングファンとしましては長谷川選手を破ったモンティエルに思い入れがあるのが人情。不利の予想を覆して、あの武道館決戦の価値を高めて欲しいと思っていたのでした。
試合会場はラスベガス、マンダレイベイ。大きなアメリカ人たちが小さなバンタム級の試合に熱狂している。これって凄い事です。ライト級だって小さな、と表現する国です。マイケル・カルバハルvsチキータ・ゴンザレス戦(懐かしい!)以来の軽量級ビッグマッチだとのこと。武道館で勝っていれば長谷川選手がここに立つ可能性だってあったのかもしれないと思うといかにも残念。

そんなことを考えていると試合開始。一撃KOの可能性を秘めた両選手が初回から激しく攻めあう。凄い迫力だ。スピード、タイミング、パンチの出所、狙い所。思わず息をのむ。緊張感がスピードを加速させる。モンティエルは勇気がある、長身のドネアに対しても長谷川戦でも見せたあの中への踏み込みが見られる。ドネアはワイルドなパンチを振るう。しかしその打ち始めはコンパクト。振り抜きが凄い。攻め手を探りつつ前へと仕掛けるモンティエルだがドネアの正確なパンチを数発ヒットされる。1Rはドネアのラウンド。ノーダメージながらモンティエルは狙われているようで苦しい。でもそこをかいくぐって強引な姿勢から強力な左をねじ込むのがモンテェルだ(長谷川戦もそうだった)。2R、同じ展開が続く、モンティエルが仕掛けて崩そう?とし始めた…その時!右ストレートの打ち終わりにあわせたドネアの左フックがこめかみ辺りを直撃。もの凄いカウンター!銃で撃たれたかのように勢いをつけて倒れ込むモンティエル。

Vs_3
半回転して後頭部をマットに強打、大の字になった瞬間両手両足をビクビクッ!と激しく痙攣させた。目は焦点を失って大きく見開いている。背筋が凍る、戦慄するようなダウンシーン。この一撃で試合は決まりだったのだが、驚く事に無意識で起き上がるモンティエル。信じられない。

Vs_4

しかし再開後のパンチにはまったく対応できず一発打たれた時点で素早くレフェリーが試合をストップし救われた。それでもダメージは深刻。
大丈夫だったのだろうか??試合後「あんなに効いたのは初めて」と潔かった前王者。こめかみ、頬骨上?が陥没骨折していたらしい。大事なければよいのですが…。
しかしドネアのカウンターは凄かった。そうそう見られるものではありません。相手の打ち終わりといっても、打って引くところではなく殆ど打ち終わった瞬間。その分ダメージは強烈。芸術的な攻め手に豪快なフィニッシュ。凄い試合を観てしまった。パッキャオに続くボクシング界のスーパースター誕生を予感させる試合でした。しかしふたりともフィリピン人というのも凄いなー。ただドネアは早い時期にアメリカに移住していてアマチュア歴もアメリカでのものの為、パッキャオの様なフィリピンの人々にとってのフォークヒーロー(民衆の英雄)的な香りは薄いような気がする、でもそれゆえに彼のスマートな佇まいは新たな世界的スター誕生を予感させもするのですが…。
なによりこの試合の意義はこの衝撃的な結末により世界中のボクシングファンがバンタム級やフェザー、更にはフライ級にも価値を感じ始めるようになるであろうことだ。昨日バイユーでYウジくんと話していたのだけれど、サッカーは代表レベルまでなれば海外に出るのが普通になりつつあり、国内のファンは国内リーグを世界的選手の初期段階を見るような気持ちで楽しむようになって来ている。そのように日本のボクサーも世界王者になったら(何度か防衛したら)アメリカに拠点を移すのが普通になればいいのにな、と思う。そして国内のファンやメディアは日本タイトルを巡る戦いにもっと注目するようになればなお良い。そう思わせてくれるバンタム級ビッグマッチでした。

ちなみにWBAバンタム級には世界チャンピオンは(WBAだけでバンタム級に)3人もいてその1人がカメダコウキさんだそうです。アホアホなスポーツ新聞にはドネア選手が試合後「まずはバンタム級統一」と語った為に「カメダvsドネア戦を大晦日に(やったる)!」とドネアの試合を観たものならまさに噴飯モノのヨタ記事が載っているようですが、世紀の一戦を中継したWOWOWではWBAには3人チャンピオンがいることを触れただけでカメダさんとの絡みについては一切触れませんでした。日本絡みでは将来ドネア選手が一階級上げて西岡選手に挑戦する可能性についてのみ語られていましたね、うーん真っ当だ。西岡選手はジョニー・ゴンザレスやムンローという著名選手に完勝しているので存在がクローズアップされる可能性もあるでしょうね。ちなみにドネア選手は試合前に「やってもいいけど(カメダが)自分と戦いたいなんてクレイジーだ」と言っていました。「どうかしている」という意味みたいです。

しかしこれは新時代の幕開け(軽量級が世界でビッグビジネスに)という歴史的な試合だったのかもしれません。

もしご興味のある方は…Montiel vs Donaireで検索すれば2Rの短い試合を全部観る事が出来るはずですし、衝撃のKOシーンだけならこのページの下の方に左フックカウンター!の場面の動画があります。

いや、凄かった。


3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
自分も今日の昼にWOWOWでチェックしました。ドネア... (kazu)
2011-02-22 19:17:41
自分も今日の昼にWOWOWでチェックしました。ドネアは殆どあの左でKOしてるんですね!!モンティエルは失神してるというか、意識はあったが体が起き上がる事に拒否反応を示し、頭と体の神経を連動させ様ともがいていた風に映りました。凄まじい精神力です。並の選手じゃ、あのまま失神じゃないでしょうか。あの2Rでボクシングの面白さ、奥の深さ、怖さ、全てを堪能してしまいました!それにしても、アンダーカードのマイク・ジョーンズ、前回もそうでしたがスタミナ無さ過ぎですね。あそこまで追いやって、ジャブでしのぐのはあんまりだと思います。
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kazuさん (ゆう)
2011-02-23 12:43:17
kazuさん

そう、微妙な言い回しながら
怖さも堪能しましたね。
倒されたモンティエルの凄みも感じました。

西岡選手や長谷川選手が戦う場合は
技術や決定力では十分に対抗可能だと思いますが
ドネアのあのワイルドさや凄みにどう対処するかが重要でしょうね。
長身のドネアが身体を作ってくると身体的アドヴァンテージは望めそうにありませんし。
できれば二人が充実期にあるうちにビッグネームとの対戦が
アメリカで実現する事を祈ります。

あれだけ「ラスベガス進出や!」と言っていたWBAチャンピオン第3位さんは、「やってもいい!!」と日本で戦う交渉中だそうですね(笑)
肩書き上は世界的スーパースターの対立王者になってアメリカでの対戦が不可能ではない立場なのに。。。

なんとも不思議な人だ…。
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事実誤認があったのでブログを訂正しております。 (ゆう)
2011-02-23 13:03:47
事実誤認があったのでブログを訂正しております。

西岡選手はウィラポン選手には完勝しておりません。
4戦2敗2分けです。失礼いたしました。
全部観ているのにお恥ずかしい。

長谷川選手の対ウィラポン戦の勝ちっぷりの見事さと
チャンピオンになってからの西岡選手の充実ぶりが
あまりに印象的だったもので混同いたしました。
お詫びして訂正いたします。
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