goo blog サービス終了のお知らせ 

バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

マニー・パッキャオ、体重制を超える歴史的勝利。

2008-12-08 | ボクシング

…ボクシングです。

既に新聞等の報道でご存知の方もいるとは思いますが、昨日アメリカラスベガスで行われたウエルター級12回戦にてWBC世界ライト級王者マニー・パッキャオ(フィリピン)が世界タイトル6階級制覇王者オスカー・デラホーヤ(アメリカ)と対戦し8回終了TKOで圧勝しました。

この試合はノンタイトル戦ながら注目を集めデラホーヤ20億円、パッキャオ15億円という破格のビッグマッチとなったのですが、それは両者共に超の付くスーパースターであるということに加え、ふたりの体格差というものが大きな話題となった故のことでした。

アジアの英雄パッキャオはフライ級(48.97~50.80kg)から始まり現在のライト級(58.97~61.23kg)まで4階級を制覇した選手。片やデラホーヤは(57.15~58.97kg)のJライト(現Sフェザー)級からミドル級(69.85~72.57kg)まで6階級で王者となった選手。
近年戦っている体重でほぼ10kg、身長差も10cm以上ありまったく体格が違うのです。

あまりピンとこない人に説明する方法を探してみると…
見つかりました。
内藤大助選手とガッツ石松選手が試合をするようなものです。乱暴か?
…いやいや、こう書くと本当にとんでもないことです。細分化された階級制で戦われるという大前提の近代ボクシングではギリギリまで体重を調整しているため、これまでそれがたとえ1階級上の選手であるとしても " 重さ " の持つアドヴァンテージは大きいとされてきました。しかし今回はパッキャオが増量、デラホーヤが減量してウエルター級(66・68kg)の契約ウエイトで対戦が実現。稀代のスーパースター同士の対戦が実現したのはまさにアメリカボクシング界の興行の論理あってこそなのだけれど、今回だけは流石に決定前から賛否が飛びかうこととなったのでした。
賛はもちろん、本来であれば実現しないはずの対決が観られることへの驚きと興奮。否は「茶番」「ボクシングという競技に対する冒涜」と手厳しいものが多数。特に現役選手をはじめ関係者からは否定的意見が多く、プロモーターとしても成功を収めているデラホーヤに対して「銭の亡者」と罵る声さえも聞かれました。それでも大きな注目を集め、興行的に大成功を収めて挙行されたのは " ドリームマッチ " に対する世界中の興味が勝ったということなのでしょう。
ボクシングの世界には「もし全選手の体重が同じだとしたら誰が一番強いか?」というランキングが存在します。『パウンド・フォー・パウンド』と呼ばれるそれは、専門メディアが各々発表し正式なランキングとは性質が異なるものなのですが、基本的に1位の選手(という評価)に関しては意見の一致を見ることが多いものです。そのランキングで1位と目されるマニー・パッキャオとランキングの常連デラホーヤ。スーパースターふたりが机上の空論ではなく実際に対戦するのですからあまたの批判を振り切ったのも無理はないのかもしれません。そしてこの試合が興味を高めたのは、対格差ゆえにデラホーヤ圧倒的有利とされてはいたものの未だ底を見せていないパッキャオがスピードと突進力で圧倒する可能性がなくもない、と考える人々が多数存在したからに他なりません。20081207 そして事実圧倒的な対格差をものともせずスピードと連打で圧倒。まさに圧勝という結果を収めたのですが、勝負事は繊細なものです。試合開始前にリング中央に歩み寄った時の対格差そのままにデラホーヤが大きさで圧倒、重大な事故に繋がるような結果が用意されていなかったとは誰も言えないのです。階級の差を徐々に歩み寄っての実現ではなく一興行の為にセッティングされたこの試合の是非を結果のみで単純に問うのはなかなかに難しいものであるように思います。パッキャオファンとしては興奮しましたけどね。それと…事故の危険を憂うのとは相反すると思いますが…試合を望んだデラホーヤが8Rに小さいパッキャオに打ち込まれ、倒されるまで戦うのではなくラウンド間のギブアップという形でこの大試合を終えた事になんだか釈然としない気持ちが残りました。オリンピックの金メダルからプロ入りしエリートコースをまっしぐら。そのうえ現役選手ながらプロモーターとしても大成功。歌手でもある。
デラホーヤが激しく倒されて甚大なダメージを被れば良い、と思っているけでは決してないのだけれど、ギブアップして笑顔で試合を振り返る姿になんとなく違和感を覚えたのは事実です。

と、ウダウダと書いてきましたが
それにしてもマニー・パッキャオ!とんでもない選手になったものです。最近はパウンド・フォー・パウンド最強と言われることが多かったとはいえ、今回ボクシング界の最も華やかなビッグネーム、デラホーヤを体重の差を超えて倒したことで名実共に世界のプロボクシングでナンバーワンの存在になったといえます。少し前ならマイク・タイソンですが今はマニー・パッキャオを挙げる人が多いことでしょう。いや、異論というのは恐らく出てこないでしょう。
考えてみればこれまで世界のプロスポーツでアジア出身の選手がその競技の圧倒的ナンバーワンの座に君臨したことってあったのでしょうか??サッカーでいえばパロンドールやFIFA年間最優秀選手、テニスならグランドスラム?イチロー選手がメジャーリーグでM.V.Pを獲得したことが近いかな?とは思いますが、あの時にアメリカの野球ファンにメジャー最高の選手は?と訊いて「イチロー」と答える人は極めて少なかったと思います。他を考えてもちょっと思いつきません。
なぜか日本ではメディアであまり紹介されないパッキャオ選手ですが、とんでもない高みに辿り着いた事は確かなようです。フィリピンの人々の熱狂も当然です。なんとも羨ましい。

彼のボクシングスタイルは素晴しく魅力的で、本当にアジアの英雄です!少しでも興味のある方は是非パッキャオの試合を(youtubeなどで)ご覧になることをお薦めします。20081207_2


2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
いやー (makoto)
2008-12-08 17:39:41
いやー
パッキャオといえばバレラとの初対決がいまでも脳裏に焼き付いています。
あそこからメキシコ勢を続けて撃破していく姿はすごかったなあ。
返信する
バレラ戦は強烈でしたねー。 (ゆう)
2008-12-09 16:30:34
バレラ戦は強烈でしたねー。
しかしフライ級あがりで
ライト級を奪った時にもかなり驚いたのに
ミドル級チャンピオンをKOとは。

無名時代に一度だけ日本で試合したことがあるらしいけど観た人は自慢だろうね~。
返信する

コメントを投稿