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井岡一翔選手&香川照之さんの夜

2011-02-12 | ボクシング

昨夜はバイユーのテレビでボクシング。WBC世界ミニマム級タイトルマッチ『オーレードンVS井岡』戦を観戦。この試合は井岡選手が世界王座奪取の日本最短記録に挑む事が話題となっていたけれど、僕はこの最短記録というものに興味が湧かないのでシンプルに噂の井岡選手のボクシングを楽しみに観ていました。
デヴュー直後から「凄い」「本物だ」と言われていた井岡一翔選手。youtubeで試合映像を見た事はあったのですがリアルタイムで見るのは初めて(昨日は若干タイムラグのあるディレイド放送ではありましたが)。そのうえ、挑むチャンピオンがあのイーグル選手からタイトルを奪ったオーレードン選手という実力が計りやすい相手なので興味深く試合開始を待っていました。
その結果は…といえば一般メディアでも大きく取り上げられていることからもわかるように井岡選手が才能のきらめきを感じさせるボクシングを披露して、見事5RKO勝ちを納め新スター誕生に沸いた夜となったのでした。

しかし!僕にとってこの夜試合以上に印象に残ったのは…ゲスト解説の香川照之さんの解説者ぶりでした!!!!
近年まさにボクシング好きには堪え難いような中継を繰り広げて来たTBSで(Kメダ戦だけではない)やってくれました。
映画『あしたのジョー』の宣伝の為に出演していたはずが、ボクシングに詳しい俳優さんなので解説席に座っただけのはずが…。試合が始まり、アナウンサー氏が話し始める。割って入った声を聞き、ん??と思う。「あれ鬼塚ってこんな声だったっけ?佐藤修??え?こんなまともな内容話すなんて…」(この時点では香川さんが解説席にいるとは思いませんでした。山ピー&伊勢谷さんとリングサイドゲスト席にいると思ってました)。
ややあって「いや!!すぐにこれは香川さんだ!」と確信しました。WOWOWで時折解説をやっている香川さんの語り口を思い出したのでした。それからというもの~鬼塚、佐藤の両世界チャンピオンを差し置いて、アナウンサー氏も差し置いてボクシング愛好家・香川照之の独壇場でした。
ボクシング好きの芸能人とは一線を画すその的確な喋り。彼がどれほどのボクシング好きでボクシング理論派かを知らない人たちはさぞや驚いたことでしょう。
※彼はプロ選手も評論家も認めるほどにボクシングに詳しく、俳優として名を成す前から(20年以上前!)ボクシング雑誌に連載を持っていました。当然ボクシング理論にも詳しく前述のようにWOWOWで海外ボクシング中継の解説を務めるほどなのです。いわゆるボクシング好きです芸能人とは違うのです。マニアとすらいわれているのです。
瞬間瞬間のパンチの出どころや狙い場所の意図、距離と位置取りの妙味やペースの移り変わりを的確に語り、観る者を試合の奥に誘う解説ぶり。
選手の背景やドラマを試合展開そっちのけで語り、目に見える事を実況し「当たった!効いた~」と叫ぶだけの解説、いやそれならまだしも嘘を並べ結果をねつ造さえする解説とはまったく違うボクシング実況。ボクシングってこう観ると面白さ深さが伝わるんだよ、というようなわかり易い解説でした。

常日頃思っていました。
サッカーの場合、テレビで何度か続けて観ているだけでやったことも生で観た事ない人でさえも「中盤が開いて来た」とか「右が空いてる」や「ロングボール放り込むばっかりやなぁ」「緩急つけなきゃ」とか言うようになってきています(僕も)。もちろんその弊害もあるとはいえ、それこそが日本サッカーを底辺から底上げしているのではないかと思うのです。
片やボクシング。「判定決着の試合はつまらない」「凄いパンチだったねー」「熱さに、ドラマに感動した」という反応に偏りがちで、試合内容の深さ高度な戦略そして技術はプロ選手にしかわからないもの(であろう)という状態が今も続いています。

完全に越権であった今回の香川さんの行為。アナウンサー氏、鬼塚さんの戸惑いからも「まさかここまで喋るとは…」という予定外感が伝わってきました。本来の香川さんは元世界チャンピオンお二人を差し置いてこういうある意味失礼な振る舞いをするようなボクシングファンではありません。今回の行為は完全な確信犯。ボクシングを貶めているTBSの中継でやってやろう!と覚悟しての越権行為であったというように感じました。よくやった!という気持ちです。素晴らしい俳優さんです!

さて井岡選手。KOシーンだけでなく試合全般においてプロ7戦目とは思えぬ理詰めの戦いぶりで、その落ち着きはらったハートの強さといい大いに驚かされたのでした。
叔父の元2階級制覇チャンピオン・井岡弘樹会長の井岡ジムには井岡選手の高校時代からの同僚で、勝るとも劣らない才能の持ち主と評価される宮崎選手(現・東洋チャンピオン)も在籍中でこれから更に大変なことになりそうです。
ただひとつ懸念されるのは…井岡選手がこのベルトを防衛戦をすることなく返上して2階級制覇を目指す、という噂があることです。どっかの星のボククシングもどき一家みたいで止めて欲しいですね。無理に階級を下げて奪ったタイトル、防衛する義務があると思うのですが…。

ともあれTBSのボクシング中継で爽やかな後味を味わったのはいつ以来でしょうか!?
井岡選手、香川さんありがとう。

20110212vs

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4 コメント

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香川さんは本当に愛すべきボクシングオタク(研究家... (kazu)
2011-02-13 00:26:32
香川さんは本当に愛すべきボクシングオタク(研究家)だと思います。彼の解説を聞けば誰でもボクシングの虜になってしまうんじゃないかな~。昨夜もテレビで彼が沖縄の具志堅記念館を訪ねるシーンがあり、本当にボクシングに対する探求心に感動しました。 香川さんは母親が女優さんだった事もあり、俳優の道を選択しましたが、もしかするとジョー小泉氏と同じ様な道を歩んでいたかも知れませんな。香川さんのキャラも良い感じで楽しくなります!今度後楽園ホールでお会いしたら声掛けてみようかな~。
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驚きましたね、減量苦があったとはいえ王者をボデ... (カラス)
2011-02-14 10:20:13
驚きましたね、減量苦があったとはいえ王者をボディーブロウでのたうちまわらせるなんて。僕は井岡不利と見ていましたからあの勝ちっぷり予想外でした。ライトフライに上がるとするとやっぱりゴンサレスとやるんでしょうか楽しみですね。でもTBSが絡んでいるのが気になります。香川さん最高でしたね。昔、キックの解説をしていた寺内大吉みたいというかそれ以上かもしれませんね。
 突然の投稿失礼します。先日、お店とプラネットKにお邪魔した富山のカラスです。雪で冬眠中で暇にかまけてブログかなり拝見させていただきました。いいですねぇ。これからもウォッチさせてもらいます。
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kazuさん (ゆう)
2011-02-14 10:45:53
kazuさん

香川さん素晴らしいですよね。
好き、に手加減なしなところが最高です。

趣味でも仕事でも本気でなくちゃねーと
思わされます。

以前テレビにゲスト出演した時に
メインの世界戦の展望を
アナウンサーさんやタレントさんと語り合っていながら
後ろで試合中のアンダーカードが気になってしかたなく
何度も後ろを振り向き
遂には注意?されたことがありました。

が、その注意?に対し
「今、後ろで行われている榎くんの試合が気になって…」と(放送予定のない)試合の重要性について語り始めた時はなかなか凄い人だ、と思ったものです。

役者さんとしてビッグネームとなった現在
ぜひこれからもボクシング界の為に発言力を生かして頂きたいものです。
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カラスさん (ゆう)
2011-02-14 10:57:32
カラスさん

先日はありがとうございました。
そしてコメントに感謝。とても嬉しいです。

寺内大吉さん!キックの解説していたのですか?凄いなぁ。。。
20数年前、ワールドボクシング誌(現ボクシングビート)にコラムを連載してましたよね。

井岡選手は防衛戦をするようでとりあえず一安心です。でもTBS、まだまだ油断はできません。
先日の放送でもオーレードン選手の事を40戦無敗の最強チャンピオンと紹介してましたからね…
盛り上げる為ならなんでもありな彼らにとっっては40戦無敗さえ事実ならなんとでも言えるのでしょう。酷いもんです。
先の長い素晴らしい才能なだけにTBS得意の茶番コースに巻き込まれない事を祈るだけです。

ウェイトが厳しいなら1、2度の防衛でも良いのでしっかりとミニマムでの強さを証明してからライトフライへ行って欲しいです。
そしてその相手がローマン・ゴンザレス(最軽量シーンのモンスターと呼ばれる、日本では通称ロマゴン)となら最高ですね。

東京にいらした際にはまた是非お立ち寄り下さい。
この駄文ブログも時々覗いて頂ければ幸いです。
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