ボクシング話です。長いので「ああ、またアレね」の方はどうかスルーでお願いします。
朝刊で知った井岡一翔選手の防衛成功。「具志堅用高の世界戦最多勝利記録に並ぶ」とのことだそうな…。
ふーんと思う。さっきも書いたけど彼に非はないんだろうけど「それで?」と思ってしまうのがなんとも申し訳ない。
彼のボクサーとしての才能は素晴らしいと思う。そして実績もなかなかスゴイものがある。視聴率も結構取るらしい。
なので尚更思う。
彼の実力に見あった評価を得られていない現状の不幸を。
残念ながら彼はボクシングファンに愛されてはいない。ここでいうボクシングファンというのはボクシング雑誌やインターネットで日々ボクシングニュースを追い、日本タイトルや海外の選手にも興味を持ち、時には会場に足を運ぶというファンのことを指します。
彼らの中に井岡選手を特別に「嫌い」という人はそれほど多くはないと思うが(少なからずいるが)、「思い入れがない」という人が間違いなく多数派だ。
そしてなにより、井岡選手は同業者、日本のプロボクサーからの「世界戦最多勝利記録」「3階級制覇」に相応しい尊敬を集めているとはいえない。
(現役ボクサーアンケート等によると)ボクサーたちの尊敬を集めているのは現役では山中慎介、内山高志、三浦隆司選手あたりで、引退したばかりの長谷川穂積選手を含めその戦歴や人格で同業者の支持が厚い。そして才能という面で井上尚弥選手が別格の支持を受けている。
「ボクシングオタクなんかに好かれなくてもいいじゃん!」という声にはそうかもねとも思うけど、
命がけの競技で屈指の実績を残しながら同業のボクサーたちからの尊敬が薄いのは悲しい。
井岡選手は2012年に八重樫選手との統一戦を終えたあたりまではボクシングファンからもボクサーからも支持されていた。
そこから急速に支持を失っていったのだ。
近年、日本のプロボクサーが尊敬の念を隠さない、ボクシングファンが熱烈に支持し、冷静ではいられないというほどに愛した選手といえば辰吉丈一郎、高橋ナオト、坂本博之、長谷川穂積、西岡利晃選手…などが思い浮かぶ。
世界タイトルを獲ったかどうか、何勝したかではなくどのような闘いを見せたかが彼らに熱烈な支持を集めた。
(個人的には石田順裕や高山勝成、亀海善寛(現役)選手のように海外で果敢に戦う選手に思い入れが出来てきます。)
井岡選手はジム、テレビ局の戦略により不可解に作られた王座決定戦や階級変更を重ね。強豪選手を(世界のボクシングの情報に触れているファンにとっては)あからさまに避け世界戦での勝利を重ねて行ったことにより、
「素晴らしいボクサーだけど…」の注釈付きで、同じテレビ局がバックアップする3兄弟とイメージを重ねられることとなってしまった。
今回の世界戦最多勝利タイ記録もボクシングファンの反応は「30回でも40回でも好きなだけ勝って下さい」や「具志堅の名前を出さないで欲しい」との声があがり、著名ボクサーたちからも手放しでの賞賛の声は聞こえてこない。それどころか苦言を呈する関係者も少なくない有り様だ。
才能あるボクサーだけに悲しい。
彼がリング上で「僕がこのクラス最強だということを証明できたと思います」と語ったりすることで
本当の状況を知る人々の失笑を買っていったが
「本気で戦った」彼が試合直後に興奮してそう語るのはある程度は仕方ないと思う。
やっぱり問題は対戦相手、マッチメイク。
昨夜だって、対戦相手がフランシスコ・エストラーダ選手とかドニー・ニエテス選手だったら自分はなにをおいても見たと思う。
彼は好青年で、良いボクサーだと感じています。
ずっと評価の高まらなかった海外でのフライ級でのランキングもようやく1位まであがってきました。
今からでも遅くはない。
日本ボクシング界屈指の実績に相応しい評価を受けるボクサーになって欲しい。
それには真っ当なマッチメイクしかないと思います。
ゾウ・ジミン選手を標的にするのはよいのですが
「名前のある選手の中でこいつならいけそう」というセコイ計算があるようで(そんなに甘い相手ではないが)少しひっかかるかな。是非、著名なハードパンチャーとやって最高のアウトボクシングでKOして、俺も含めたうるさいボクシングファンをねじ伏せて欲しい。頼むぜ!