日曜日の夜、さすがに雨があがるかなと思ったのですが…やはり雨。そんな中バイユーでは不条理をウリにする『不汁無知ル』と 新宿の地下道や職安通りを、時には阿佐ヶ谷一番街をも愛に染める繊細無頼な『愛染恭介と大西英雄』が後ろ暗い邂逅を果たし、ライヴするという催しがみられた。 日曜日、夜、悪天候にもかかわらず客席は埋まり、店内は熱気に包まれた。一幕目は『不汁無知ル』。音楽劇団『レンゴクサアカス』の花形サックス奏者でもある渦ヨーコの求心力を感じる…。彼女の足下。スカートの後ろから照らすライトがなんともなまめかしい。例えていえば花園神社にたつ見世物小屋の趣き、風情だ。覗いてみなけりゃわからない。 確立された世界感が渦巻き歌い、サックスが歌い呻く。本人は暗い、と語るが退屈はさせない。しっかり1時間、お客さんの集中力を切らずに終了。 アルコールの注文が交わされる中、チェロとサックスの音色がバイユーの丸みを帯びた天井の隅に留まっているうちに第二幕『愛染恭介と大西英雄』が開演。引き続き集中して音楽に対峙する良質な聴衆を前にシャープでありながら温かく、難解にみえて他者の想像力を柔らかく迎え入れる愛染ワールドが気持ちよく解放される。大西英雄のパーカッションが解き放たれた音群をドライブさせる。彼らもまた自らを暗い、と語ったりもするが彼らなりのロックンロールが感じられてとても心地よい。彼の楽曲で大好きな『ある街のレクイエム』が聴けなかったのは少し残念だけれど、ブルース・コバーンのカヴァーも聴けたので満足。決してキャッチーで愛想が良いとは言えない音楽をゆっくりゆったり楽しみ尽くしたお客様方の素晴らしさに拍手と感謝。その後の酒席も心地よく、良き夜でした。 一度で終わるなんてあまりに勿体ない。会談の結果、来る秋。10月以降に同じ組み合わせで再演の約束が交わされました。 またお会いしましょう。