バイユー ゲイト 不定期日刊『南風』

ブルース、ソウルにニューオーリンズ!ソウルフルな音楽溢れる東京武蔵野の音楽呑み屋バイユーゲイトにまつわる日々のつれづれを

ザ・ワルツ20th 報告3

2006-02-17 | ローリー/The Waltz
ワルツの『SOUL FINGER』に盛り上がっていたら、なにやら客席後方がザワザワ。逆光の中踊る人影!お客さんが振り向くと同時に、ローリーさんがセンターマイクでMCと化す。そう本日のスペシャルゲスト!カッチャンの呼び込みタイムなのだ!ソウルフルで贅沢な生SEに乗り、サングラス姿の”オキナワン・レジェンド”カッチャンが客席を踊り、練り歩きながらステージへ近づいてくる。盛り上がる客席。手にはダンボールを四角く切ったものが握られ高く掲げられ揺れている。歌詞カードだ(笑)喝采の中、カッチャンにしてはすんなり?ステージ上に到着。ローリーさんと熱い握手。そして、まっとうな?祝辞。オキナワにワルツが在る意味を称え、(なぜかローリーさんと「さん」付け)場内が拍手につつまれる。サングラスを外すと更にメガネがあり、メガネ越しに彼の重要なインストゥルメンツ!でもある瞳が現れる。ぐるりと見回すと、歓声で応える感度のいいお客さん。「今日は僕の大っ嫌いな曲を演ります」というとマイクスタンドをドラムセットのギリギリ前まで移動し、後ろ向きにセッティング。歌詞ダンボールを掲げて客席に背を向けて立った。左肩越しに顔はすこしこちらを向いているが。まぁ後ろ向きだ。「見えるよね?」とニヤリと笑う。それは自分の顔のことかそれとも歌詞か??と思うやいなや演奏が始まった。予想に反してロックンロール。カッチャンが足を広げ背中を向け直立したままタテに乗り、歌詞を1行1行指差しながら歌い始めた。『火の玉ロック』!!なんとナイスな選曲!アップテンポでラケンラーな演奏で、カッチャンはガァッツと一気に歌うとキメの「Great Balls of Fire」を投げ捨てニヤリと笑う。すぐに次の歌詞を指差す。なんというか…「カエルぴょこぴょこ♪みぴょこぴょこ♪」なノリといいますかタイトなアレンジとの組合わせが絶妙。ローリーズ・ロックンロールギターがハジける。お客さんも凄い盛り上がりだ。シンプルに演奏は終わり、「次も大嫌いな曲を…」と『Bony Moronie』!自分なんかも高校生のころ演りました~♪そんな名曲がなんともかっこいいビートでワルツから届けられる。そしてボーカルはカッチャン。至福の瞬間。ローリーさんのギターがかっこいい!リフの切れ味のみならず、ときおり聴こえるアクセントも気持ちを盛り上げてくれる。2曲共に音楽面ではカッチャンワールドというよりも、ワルツと演っているからこそ、という色がクッキリ出ていてこれぞ共演!という感じ。バンドに気を配りながらステージ上を移動してギターを弾くローリー・クックが『ヘイル・ヘイル・ロックンロール』のキース・リチャーズに見えてきたのは私だけでしょうか??ロックンロールスタンダードの連発に会場の温度もすっかり上昇がってる。次の曲のイントロが…。あ~(笑)『Stand By Me』だぁぁ(笑)ゆっくりとイントロに乗り客席に向かいニタリッと笑う”オキナワン・ロック・レジェンド”。一瞬にしてカッチャンワールドに突入。歌い始める。「インダナイッ!ッッツ…♪」。なんというオリジナリティ。正にワールドクラス。正に教科書レヴェル。クックは更にリチャーズに!
あまりにも奇天烈なスタンドバイミーに笑い声も聞かれる客席。…でもあの目。あの完璧な自己解釈&完結。はっきり言って怖ささえ感じてしまいます。我々を、おどけて笑わせるために完成させたオリジナリティではないことは明らかで、到底理解しきれるわけもない自分には畏怖の念さえ生まれてくるのでした。深い闇も、目が開けられないほどの太陽も結局ははっきり見ることが出来ないという点では同じなのかもしれません。区別さえつきません。そう、あの何度も観客と視線を合わせる目が暖かいものなのか、狂気を孕んだものなのかもわからないのであります。ただわかるのは、本当に危ないニオイと、趣味のロックなどとは到底交わることのないロックンロール。…でもやっぱり時々笑ってしまいますけどね。。。こうしてワルツとカッチャンを一緒に観ていると、メディアが語る沖縄ロック史などからはまったく伺うことのできない~濃密さの一端を垣間見たような気持ちになりました。ローリー・リチャーズの献身的な活躍によって『ジャックナスティーズ・スタンドバイミー組曲』にまでは至ることなく終了。大歓声と拍手の中、カッチャンは「お仕事」の為コザ『JACK NASTY』へと帰っていきました。ザ・ワルツ20周年を祝うに相応しい、歴史的瞬間でした。
どよめきの収まらない中ステージにはノーズ・ウォーターズのマストが呼び込まれる。ワルツの面々と同じく黒のスーツ姿、シャツの襟を外にだしてラテンな感じ。「ホホォーイ」とこちらもいつものマストワールドへ。センターマイクで今日への思いを語るマストはピリっとした緊張感もありながら嬉しそう。そりゃそうだよなぁ。ネクタイを忘れたので…首にマジックで蝶ネクタイを描いたそうなのだが、広い会場ゆえ後ろまで見えなかったのか(残念)今ひとつウケなかったのもご愛嬌。ん、少しヘコんだ?(笑)と思ったがそんなことはあるハズもなく、叩き付けるような勢いのあるボーカルで『あきれかえる世界』をキメてくれました。ギターも気合い十分!そういえば、かつてノーズのメンバーがこの曲への愛着を熱く語ってくれたことがありました。2003年に東京で開催されたイヴェント『キジムナイト』でローリーwithノーズウォーターズで演奏したときも1曲目にはこの曲が演奏された記憶があります。その大切な曲をこの場所でワルツと一緒に満員のワルツファンの前で演れるなんてマスト、幸せ者です。その横では彼が何度も聴き込んだであろうCDと同じリフがリッケンバッカーの12弦で奏でられる。ああ、このギターだったのか…。実は今回のライヴで個人的にこの曲はとても楽しみにしていた曲のひとつでした。ゲストコーナーで演奏され、ローリーさんのボーカルでは聴けなかったのですが、それ以上にいいものを観せて聴かせていただきました。『あきれかえる世界』、とても満足しました。マストさんいい仕事でした(笑)
もう1曲、「わがままを言ってアレンジして貰いました」とノーズのナンバーで『HaHaHa』。近年の代表曲で、未だリリースされてないこの曲を選んでワルツにアレンジしてもらうとは…やるな!ワルツのサウンドで奏でられるマストの曲。なんという果報者。ノーズのファンはこの曲の為だけに足を運ぶかいがあったはず。最近ソウルフル度?を深めているという噂のマストだけど、この日さらに何かを注入されたはず。今後に期待が高まります。
ゲストコーナーは更に続きます。泉&やよいさんたちが登場。ステージに上がり二人でコントを始めると一気にオキナワ度が増しました。当然か。ユタの話、わからない部分も勿論ありましたが、楽しかったです。お清め?にマースや酒を目つぶしのごとく浴びせるところなんて笑わせてもらいました。そして地元のお客さんはもっと笑ってました。そのままローリー作という『ユタのうた』。初めて聴く人が多かったようでした。笑いの絶えないお客さん。そして!自分にとっての目玉、泉フランクリン入りの正調『ウーマク・カマデー・ターチマチャー』!待っておりました。私的ながら…あの『熱帯マンゴー』で、インタヴュー?に応え画面下にプロフィール流れる場面でバックに流れていたのがこの曲で、自分をレコ屋に向かわせた曲でもあります。拙く演奏したことも有るほどです。しかし…なぜかこれまで生では聴けず(ライヴで)。自分の行かなかったときに限って演奏されるという縁の無さ。しかし今回、泉&やよいさん出演を知り。「ああ、やっと聴ける」と、とてもとても楽しみにしておりました。もう~。満足しました。実は嬉しくて興奮して、細かく覚えていないほどです(笑)あっという間に終ってしまった。こういうのってわかりますよね?
カッチャン、マストー、泉&やよい~と華やかなゲストステージですっかり賑やかになった会場をピリっと引き締めたのは、今も沖縄フォークを代表する存在である佐渡山豊さん。普段、ローリーさんがサイドギタリストとして共演することもあるなど(佐渡山さん名義の共演作もありました)、交流の深いふたりは余計な説明のいらない、うたを純粋に響かせるステージを見せてくれました。『51番目の夏』『さよならおきなわ』。SOUL REVUEを途中でしっかりと締めてくれたかの如き演奏で、クールな熱が伝わってきました。贅沢な時間の連続にクラクラします。

…で、続きは次回(笑)
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