本日は午前の半日出張だったので、いつものように昼食と称して近くの量販店へ行きました。本日はさすがにPS5は売り切れでした。先週、2回も見たのは偶然だったのかも。
で、同じ建物の書店に行くと、とある科学啓蒙新書の新刊が有って、多様体に関するものです。
まあ、物語としては良いでしょう。適当に単語を拾って図書館やネットで調べると良いと思います。しかし、最初の方ですでにひどい言い方が。
境界のある円を閉円版と言うそうです。2個の閉円版の境界を合わせて行くと境界の無い球面ができあがり、と。これはもちろん正しいのですけど、説明が足りなくて、多分このままでは数学に関心のある中学生からもクレームが来そうです。
境界の一次元実体はどこに消えたのか。この説明が最初に必要でした。
これは途中経過を考えると分かります。円版では無く、境界のある正六角形を考えると良いでしょう。2個の境界のある正六角形の1個の辺同士をくっつけます。できあがりの図形はくびれた10角形になるのはすぐに分かるでしょう。問題はくっついた辺が消失すること。いやこれは消失した方が都合が良くて、いつまでも存在しているとくっついたことにならないから、困ります。
サッカーボールが完成したときに、トポロジー的には全ての正五角形と正六角形の辺が消失して、球面と同相にならないと話が先に進みません。
ですから、この場合は2個の正六角形の12辺の内、会合した2辺がなぜ消失するのかを宣言しないといけない。数学だと数式で表す(1 + 1 = 0)か定理で示すか。
私の観察では、国内のトポロジーの本はこの点でほぼ全滅です。私はとある英語の本で知りましたよ。多分、元のポアンカレの文章では詳しく詳しく書かれているはずです。
ちなみに、縁のある円版は2次元実体と1次元実体の複合ですから、複体(complex)と呼ばれます。(境界の無い)球面は2次元実体しかないので単体(simplex)と呼ばれ、どちらもトポロジー用語と意識しないといけません。