ネットを見ていたら社会人と思える人が線形代数をもう一度やりたいのだが、操作だけ覚えれば良いのか原理的なところを理解しないといけないのかと問うていました。学校だと、良い質問です、と教師が応えるところでしょう。
線形代数は幾何学由来のベクトルと代数学由来の行列が結びついたもので、普通は直交デカルト座標を使うので解析幾何学の感じがします。
今は学術文庫版で手に入る森毅氏の「線型代数」によると、正比例が元にあって、微積分と線型代数に発展して、ベクトル解析に合流するそうです。これは私が高校・大学初年度で受けた数学教育と一致しています。
今の観点からは、一般相対性理論やゲージ理論などで微分幾何学、つまりリーマン曲率テンソルくらいまでは触れて欲しいところです。このあたりになると手軽な解説は見たことがありません。
ですからとりあえず原理的なところは正比例と考えれば良いみたいです。解析幾何学なので深く追求すると面倒なことになりそうなので、このあたりで最初は止めておくのが良いと思います。
手元の公式集によると、2数xとyがあってxがn倍になる時にyもn倍になる時、yはxに正比例すると言って、
x ∝ y
または
y = kx
と表します。kは比例定数です。
しかし、その項目の前に比例式というのがあって、
a:b = c:d
ならば
a/b = c/d つまり ad = bc (つまり ad - bc = 0)
と言うのがあります。つまり、分数の計算を基礎と考えても良さそうです。
小学校では具体的な数字で計算するので混乱しがちですが、変数文字で表すと分数の足し算は明確です。
a/b + c/d → ad/bd + cb/db → (ad + bc)/bd
正比例は電気のオームの法則(抵抗への電圧を2倍にすると電流は2倍になる)などで工学分野では続出しますから、設計などで普通に使います。ついでに、反比例も続出します。
電気ではインピーダンスというのが出てきて、要は交流も考慮した抵抗なのですが、これは初心者には難しくて、私は何年間もかかってやっとしっくりきたことを思い出します。しかし、インピーダンスも「線形」の範囲内で、ベクトルで表現出来、計算できます。
工学でも各分野によってそれぞれの事情があると思います。
後はベクトルと行列の計算上の取り扱いで、線形代数の教科書の主要部分となります。
具体的な把握には、私のお勧めはベクトルをコンピュータグラフィックスの線分(直線)で表示させることで、今は表計算ソフトで試せそうですし、比較的に描画しやすい計算機言語は他にもあるでしょう。昔の8bit BASICは分かりやすいでした。