京都発・町家・大工はんなり日記

京都で仕事と道具を楽しみながら毎日過ごす。

鏝1

2006-07-31 17:48:29 | 道具箱


「のりつ鏝」この鏝を横から見てみると全体に少し前に拝んでいるのが解ります。

鏝は厚みによっても違いますが壁に押しつけた時にまっすぐになるのです。

これは材料の水加減であったり材料そのものの特性によっても変わります。

自分の力加減にあったおがみが必要なのです。

一目見て反っている鏝は使い物にはならないのです。

2006-07-30 20:57:27 | 道具箱


鏝と言えば左官ですよね。そうなんです私の家いや親父は左官職人でした。

その親父が使っていた懐かしい道具が出てきました。京都で左官と言えば最後に塗るのはたいがい聚楽壁でした。

聚楽壁など糊で材料をこねる物を「糊土」と呼んでいます。それを縮めて「のりつ」と呼んでいたのを覚えています。糊土を塗る鏝だから「のりつ鏝」と呼んでいました。

写真の4点は5寸5分ののりつ鏝です。右からよく使った順番に列んでいます。右の物は減っていて使いにくそうですが実はひねりや腰の強さが一番良い状態の物です。

鏝も鋸と同様に鏝の背中を叩いてムラを抜いてあり、塗っていて引っかかったりいきずまったりはしなくなります。

最近は材料も調合されている物を使うようになりプラスチックの鏝を使っている事がほとんどですがやはり本物を塗る時には本物の鏝が必要になります。

右の鏝2つは約65年ぐらい前の物です。

やっと働けました。

2006-07-29 21:06:42 | Weblog
やっと働けました。

先週までの雨には参りました。おかげで仕事は遅れに遅れています。

しかし晴れの日が続くと京都の暑さは格別でもう毎日バテバテ。

気を入れ直してやっていますがやっぱりこたえます。

この現場の構造材ですが京都府内産の桧・杉と松を使っています。それというのも
今まで取引をしていた材木屋さんが店をたたまれましたので新しくお願いに行ったお店が京都北山にある常照皇寺の近くで製材をしているお店でした。

そこでお願いして北山の材料でそろえて貰いました。

現場は良い木の香りがしてますよ。









またまた砥石

2006-07-27 22:49:27 | 道具箱
またまた砥石

先日の雨には参りました。道具はカビカビになってしまうわ錆は出てくるわ見るのも恐ろしくなりました。

片付けをしていると、以前に拾ってきた砥石があるのを思い出し整形してみました。

3種類の色と堅さの違う物を整形しましたが以前の物より固いめでなかなか良い物でした。刃の化粧研ぎに使おうかナーなんて思っています。

道具をそろえるのも大変ですが、砥石に凝るともうそこは泥沼かあり地獄みたいな物でずるずるとのめり込んでいく人は多いのではないでしょうか?

私は砥石拾いで楽しみなが補っています。

整形をしていくのもどんな模様が出てくるのか楽しみですよ。

特に当たりの時は自分の物だけだと喜びも一入(ひとしお)です。

名人と達人

2006-07-25 21:35:59 | Weblog
名人と達人

私の知っている人の中にも名人や名工と言われている人は何人かいらっしゃいます。

その中には目を見張るような仕事を納めた方や、物作りをして居られる方も多く知っています。

しかし、お話しを聴かせて貰ったり仕事ぶりを見せて貰ってがっかりすることもあることは確かです。

私は一人前と同じで、その(名人)上の達人すなわち達している人にはなかなか巡り会うことが出来ませんでしたがこの歳になって達人を見かけるようになってきました。

名人と達人はこんなに違うのです。

歳を取ったせいでしょうか?それとも見る目が少し出来てきたのでしょうか?

私にはとっても無理な話してす。



香合

2006-07-25 00:48:28 | Weblog
香合

字が間違っているかも知れません。用は香を持ち歩くのに使う物です。

これ直径が2寸蓋をした時の高さが1寸の桑の木で出来ています。実に精巧な作りで持った感じが抵抗もなく肌で感じる快ささえあります。機能に木という素材を存分に生かしてあります。

蓋を開けるとまるで樹脂で出来ているかのようにかみ合わせの部分は見事でその艶はたとえようがありません。

これを作った人は先週お亡くなりになりました。又私の知っている達人が一人いなくなりました。

この人は足踏みの轆轤を自分で作りふいごで刃物の火造りも自分で好きな形の物を作って居られました。子供の頃飽きずに窓の外から一日見ていた物です。

明治生まれの達人が一人居なくなってしまいました。

私の子供の頃からの遊び場がひとつ無くなって少し寂しい気分です。

この香合はお元気な時にひとつほしいというといくつかある中から「好きな物をあげる」と言われて頂いた物です。


一人前

2006-07-24 18:10:00 | Weblog
一人前

人が「一人前」と話しているのを聴くことがあります。

大工はもちろんですが一人前とは仕事が良くできるの意味でしょうか?
いいえけっしてそうは思いません。

私が思うのは妻と家族を養える事かなと思っていました。しかし最近では共稼ぎの家庭が多くそれは当てはまらないのかも知れません。

だから親方は早く独り立ちして生活が出来るように仕込む(仕事を教える)のです。

それから後は自分次第です。

本当のつらさはこれから始まるのかも知れません。

雨の日

2006-07-23 23:07:43 | 道具箱
雨の日

こう毎日雨が続くと精神的に参ってしまいます。

先月の増築工事ツバメの巣で偉く遅れてその後の雨でまたまた工事か進みません。

お住まいの所で屋根をめくる訳にも行かず先週は現場で働いたのは土曜日1日だけ。

これでは先の工事がつかえるばかりもうお手上げ状態になっています。

作業場の片付けなどしていたのですがもう限界。そこえ武生の親分から電話かあり「雨ばかりで困っている」と話すと答えは「日頃の行いが悪いから」と笑われてしまいました。

時間のある間に息子に頼んで矢切を作ってもらいました。今の現場にとりつけます。

しかし考え方によっては、この雨とその後の暑い夏で秋にはおいしい米と果物が食べられる楽しみが増えました。

丸鋸

2006-07-22 21:31:11 | 道具箱
丸鋸

今まで手道具のことを書かせて貰いましたがもちろん電動工具のお世話にもなっています。

丸鋸はやっぱり代表でしょう。丸鋸と言っても刃の話です。このおがくずはチップわずか8枚で切って物です。縦挽き専用なのですが手鋸の縦挽きの目立てをするのと同じ目の立て方になっているのです。

縦挽き専用ですから鉋と鑿の刃と同じ形で縦目を削り取るように切っていきます。

ですからおがくずは鉋くずと同じで長い物になって出てくるのです。

しかし理屈通りにするとこんなに軽く切れるものですね。

丸太

2006-07-21 00:08:44 | Weblog
丸太

丸太と言ってもそのままでは使いませんが隠れたところですが少しチョウナでハツって使っています。

しかし最近は少なくなりましたね。丸太仕事。

「手間かが掛かる」と言いますが仕事は「手間を掛けているのです」全然意味が変わってきますよね。

職人が手間を掛ける。施主さんにとってこれ以上の贅沢は無いと思います。

皆さんは「手間を掛けているのです」というのをどう思っていらっしゃいますか?