京都発・町家・大工はんなり日記

京都で仕事と道具を楽しみながら毎日過ごす。

ラジオ

2006-08-30 22:13:29 | Weblog
ラジオ

現場から古いラジオが出てきました。今の物のように様々な機能は無くただ放送を聴くだけの物です。それでも私の子供の頃は家庭内の娯楽の王様でした。付いているつまみはSW・ボリューウム・ダイヤルのみでトランジスタ以前の真空管で出来ています。おそるおそるSWを入れると真空管が暖まりしばらくしてから懐かしい響きの音で放送が聞こえてきました。

NHK「三つの歌」司会の宮田輝です。どうもどうも司会生活25年高橋圭三でございます。それに野球解説者の小西得朗さんが「なんと申しましょうか」なんて懐かしい声が今にも聞こえて来そうです。私個人としては、たしか夕方に放送されていた赤胴鈴の助を愉しみに聴いていたと思います。

物はありませんでしたが少なくとも戦争が終わってみんなが安心して暮らしていける時代だったように記憶しています。

しばらくは作業場に置いて休憩時間に聴いて愉しみます。

長勝さん

2006-08-25 22:37:03 | 人物訪探
長勝さん

みんなそう呼びます。正式には長津勝一さんとおっしゃいます。実は今まで鋸の話を書いていたのは長勝さんにお願いした物ばかりであります。

それで今年の5月に京都に来て貰って講義を「町家発ほんまもんの会」という会でお願いしました。そのお話の内容は多くてここでは書ききることはとても無理なのです。

けれど一つ二つお話しをまず「鋸」何と読みますか?多くの人は「のこ」でしたが長勝さん曰く「のこぎり」だそうです。もう一つもちろん「目立て」のお話しをお願いしたのですが「目を立ててはだめですよ」のこぎりは他の刃物と同じように研ぐ物のなそうです。実際に使ってみるとそのことがよく解ります。切り口が実に綺麗なのです。いや鉋を掛けたように光っているのです。

これが長勝さんの言われているのこぎりを研ぐに繋がっているのでしょう。

お世話になっている鋸と5月の会の様子です。

10月にはバージョンアップ版のお話しに来て貰いますのでよろしかったらご参加下さい。

残暑

2006-08-24 21:00:57 | Weblog
残暑

お盆も過ぎて1週間経ちますが暑い日が続いています。
私も少しバテ気味の毎日です。水分をしっかり取って仕事にゆとりを持ってとは思うのですがバタバタの日々が続いています。

そこで夏の風物詩「蝉」をご紹介します。蝉と言ってもうるさく鳴いたりはしませんのでご安心下さい。

これは清水寺の仁王門をくぐり五重の塔を左に見て次にあるのが経堂です。その経堂の扉に使われている引き手です。なかなか洒落ているでしょう。もちろん内側なので公開されていないと見ることが出来ませんが機会がありましたら一度ご覧下さい。

鴨居曳き鋸

2006-08-21 20:46:25 | 道具箱
鴨居曳き鋸

何本かの鋸を持っていますがこの鋸は一度も使ったことがないのです。だけどとっても気に入っている物の1本です。キューウと反ったこの角度は何とも良いでしょう。柄の後ろの方は軽くへの字曲がっていて何とも言えません。実際に持ってみると小指がからまって軽く握れるのが解ります。良い工夫の柄です。

何故使ったことが無いのかってお思いでしょう。この鋸はお施主さんから頂いた物で使い手はとっくになくなっています。持ち主は、京都御所と修学院離宮で主に仕事をされていた方の物で頂いて15年位経ちますが倉庫から出してみているだけで楽しめる1品です。

色・形持った感じ申し分ありません。

釘挽き鋸

2006-08-20 21:46:27 | 道具箱
釘挽き鋸

埋木をして面で埋木を納めるのに以前は少し出たところで切り取って鑿や鉋で仕上げていました。しかしこれでは効率が悪いのです。

釘挽き鋸もなかなか良いのには当たらなかったのですが最近作ってもらった物は巧く面で切れています。これは片刃であるのとアサリが全くない目立てになっていました。それで面いっぱいの所で切り取っても面にはまったく傷が付きません。

その上この目立ては切り口が良いのです。まるで鉋で削ったように面に艶さえ出ています。

材料に適材適所があるようにやっぱり道具にもあるのが解ります。

けっして上等の鋸ではありませんよ。

木の特性

2006-08-19 22:27:54 | 道具箱
木の特性

無垢の木の話ですが木は弾力があると言われています。木の特性は金槌などで叩いて急激に力を加えると木は凹んでしまいます。ゆっくりとローラーなどでゆっくりと圧力を加えても凹むのですが、金槌で叩いて凹めた物は水などの水分を含ませると元の形に戻ります。ゆっくりと時間を掛けて変形させた物は戻らず木の癖として残ってしまいます。

この特性を利用して埋木を行うと開けた穴にピタリと収まるのです。

木を金槌などで叩いて縮めているのですがこれを「木殺し」と呼んでいます。


黒刃

2006-08-18 23:09:17 | 道具箱
黒刃

この鉋の刃は未だまったく研いでありません。昔はみんなこんな状態で売られていたのでしょうか。仕入れる方も研いでみないと刃の状態は解りません。それだけによほど腕の立つ鍛冶屋さんの物でないと仕入れるのに不安が残ります。

今では刃もすぐに使える様に研いであり台もほぼすぐ使える状態になっている物が多くなってきました。

本当は自分で裏を押し、刃を研いで台に仕込む方が鉋と言う物を理解するには良いと解っているのですがついつい「すぐ使い」と表示してある物を買ってしまいます。

これではいつまで経ってもこの単純で奥の深い道具を使いこなすのは無理なのかも知れません。

この刃は「長弘」寸6です。

一度研いでみませんか?言われて買ってしまいました。


改良刃

2006-08-17 23:26:07 | 道具箱
改良刃

最近縦横斜めを切れる改良刃の鋸をよく使うようになりました。同じ様な改良刃はあると思いますが私は上にある普通の両刃鋸の横挽きの刃を改良刃に切り替えて貰って使っています。

初めての切り替えをした刃を見た物ですが窓の次の刃に切り替えをする前の歯形が少し残っています。綺麗に無くなるまで下ろして貰っても良いのですがこの部分だけでおよそ1年分位すり下ろすことになるので影響のでないところで止めて貰っています。

切る物と切り方によって刃の形を変えて使うのを覚えたのは最近のことですが持っている鋸に余裕があればこういう使い方をするとサクサクと疲れずに切ることが出来ます。

作里(底取り)

2006-08-16 10:22:40 | 道具箱
作里(底取り)

本来鴨居や敷居の溝を取る時は6分で荒突きをして脇取り鉋で7分に広げて7分の底取りで仕上げていたのですが最近は電気溝切り機で7分の溝を突き底取り鉋で仕上げています。

その底取り鉋の鉋屑を排出するえぐりがどうも最近の物は巧くないのです。

えぐりの形を見ただけでずいぶん違っているのが解ります。上の物が本来の物だと思うのですが下の物ですと鉋屑が巧く排出されないのです。似ているようなのですがこれでは内容がまったく違います。

造り手も造り手ですが、使い手も買って文句も言わないのですからどちらに問題があるのでしょう。

それとも電動工具万能で、もう使われなくなってしまったのでしょうか?建具の建て合わせなどには絶対必要だと思うのですが。

タイムイズオンマイサイド

2006-08-15 21:47:30 | 町家
タイムイズオンマイサイド

このガレージが私にとってのタイムイズオンマイサイドであります。

この仕事に入って初めて私自身が代金を貰った工事です。ここから今やっている物のすべてが始まりました。

当時私の家は左官でしたのでモルタルの掻き落としと腰の洗い出しをしました。
掻き落としは鼠土とセメント・石灰で配合を作り薄鼠色に仕上げ角は今のようにプラスチックの角定規もなかったので定規ではかって塗りつけ書き落とす時には4分の定規を当てて角を残しました。40年の時を感じさせますが配合がよかったせいか壁の強度は落ちていません。

腰の洗い出しは石は蛇紋を使いこれも色が良く出るように配合をして塗りつけてあります。

これだけのことをするのに自分なりに悩んだ頃が懐かしく思えてきます。

若い頃に、タイムイズオンマイサイド(時は味方する)とはいい言葉に巡り会った物です。

今日は44年ぶり中学校の同窓会に行って来ました。

調度このころローリング・ストーンズが歌っていました。