いつもゼミ生に諭してきたのは,夏休み中の旅行と読書の励行です。しかし,今期,感染症蔓延につき,残念ながら旅行は無理です。となれば,読書に精を出してほしいところです。私が最近読んで面白かった,マーケティング学習の助けになる本を2冊紹介します。自らの読書の参考にして欲しいと思います。
まず,佐藤朋彦『家計簿と統計』(慶応大学出版会,2020年)。現在総務省統計局が実施している家計調査の利用指南といっていい内容です。マーケティングを学ぶ上で,消費動向を知ることは必須です。消費動向を分析するための重要データが詰まっているのが家計調査です。本書は,家計簿を使った統計調査(家計調査)が行われるようになった経緯,この統計を活用する際の注意点を説明した後,実際に統計データを分析して,日本社会の消費実態をあぶりだしています。消費税の引き上げ時期前後の消費行動の分析,地域別の特定品目に対する支出金額の異同,高齢年金生活者を多く含む無職世帯の増加の消費への影響などの読みどころがあります。
個人的には,地域別の特定品目の支出金額の分析で,一世帯当たりのタクシー年間支出金額において,長崎市が東京都区部に匹敵する高さになっている点に興味を満ちました。長崎市は山の斜面に住宅地を構えているため坂が多く,それゆえに地方都市にもかかわらずタクシー利用度が高いのではないかというのです。地形が消費に影響を与えるという点が興味深い。
つぎに,都留靖『お酒の経済学』(中公新書,2020年)。日本の酒類の生産から消費までを,経済学と経営学の視点から平易に解説するというのが本書の眼目です。まず,酒類をめぐる消費の変化と税制と市場参入規制が簡単に解説しています。その上で,日本酒,ビール,ウイスキー,焼酎の市場の発展史を記述しています。さらに,日本の酒類のグローバル化対応,缶酎ハイの動向なども取り上げています。
これらの中には,マーケティング戦略上の差別化,ポジショニング,ターゲティング,コモディティー化などの概念を使った分析が含まれています。例えば,獺祭が純米大吟醸に特化して,データ管理による通年生産に踏み切り,フランス料理のジュエル・ロブションと提携してレストラン経営を行ってきた状況をポジショニング概念を使って説明しています。新書なので詳細な分析は望めませんが,商学部の学生ならば,授業で習った専門用語が分かりやすく登場するので,学習の振り返りになるでしょう。
まず,佐藤朋彦『家計簿と統計』(慶応大学出版会,2020年)。現在総務省統計局が実施している家計調査の利用指南といっていい内容です。マーケティングを学ぶ上で,消費動向を知ることは必須です。消費動向を分析するための重要データが詰まっているのが家計調査です。本書は,家計簿を使った統計調査(家計調査)が行われるようになった経緯,この統計を活用する際の注意点を説明した後,実際に統計データを分析して,日本社会の消費実態をあぶりだしています。消費税の引き上げ時期前後の消費行動の分析,地域別の特定品目に対する支出金額の異同,高齢年金生活者を多く含む無職世帯の増加の消費への影響などの読みどころがあります。
個人的には,地域別の特定品目の支出金額の分析で,一世帯当たりのタクシー年間支出金額において,長崎市が東京都区部に匹敵する高さになっている点に興味を満ちました。長崎市は山の斜面に住宅地を構えているため坂が多く,それゆえに地方都市にもかかわらずタクシー利用度が高いのではないかというのです。地形が消費に影響を与えるという点が興味深い。
つぎに,都留靖『お酒の経済学』(中公新書,2020年)。日本の酒類の生産から消費までを,経済学と経営学の視点から平易に解説するというのが本書の眼目です。まず,酒類をめぐる消費の変化と税制と市場参入規制が簡単に解説しています。その上で,日本酒,ビール,ウイスキー,焼酎の市場の発展史を記述しています。さらに,日本の酒類のグローバル化対応,缶酎ハイの動向なども取り上げています。
これらの中には,マーケティング戦略上の差別化,ポジショニング,ターゲティング,コモディティー化などの概念を使った分析が含まれています。例えば,獺祭が純米大吟醸に特化して,データ管理による通年生産に踏み切り,フランス料理のジュエル・ロブションと提携してレストラン経営を行ってきた状況をポジショニング概念を使って説明しています。新書なので詳細な分析は望めませんが,商学部の学生ならば,授業で習った専門用語が分かりやすく登場するので,学習の振り返りになるでしょう。