愛知学院大学青木ゼミのブログ

愛知学院大学商学部青木ゼミの活動を報告するためのブログです。

最後のゼミ

2024年02月06日 | 運営
1月18日は演習Ⅲ(4年生ゼミ)の最後の授業になりました。この日は卒業アルバムの集合写真を撮影するとともに,これまでのゼミ活動の振り返りを各自にしてもらいました。例年行ってもらっています。

大半のゼミ4年生は,ただの時間つぶしのように感じたかもしれません。「もう帰りたい」と言い出すゼミ生もいました。しかし,この振り返りには教育的な意味がありました。自分の活動を客観的に捉えることができるかどうか,いわばメタ認知能力があるかどうか,それを自覚してもらいたかったのです。

以前から分かってはいましたが,「やはりそうか」とこちらが納得したことがありました。卒論が表彰されるレベルのゼミ生は,自分の良くなかった点を指摘し,周囲との関係を振り返りました。自分の活動を客観的に振り返る能力があれば,自分の欠点が見えてくるし,自分以外の存在も視野に入ります。そして,その能力が高ければ,自分を改善することにつながります。その結果,卒論はレベルの高いものになります。

その一方,ネット情報を貼り合わせた安易な卒論を書こうとしたゼミ生は,「楽しかった」「卒論は意外に簡単だった」など楽観的口調で,感情を簡単に表現しただけでした。卒論ではこちらの指摘を受け留めきれず,最後まで改善しきれませんでしたが,自分の活動を客観的に振り返ることが今一つであるため,楽観的で,厳しさに欠けてしまったかもしれません。

3月に卒業していく,ゼミの4年生の皆さん。卒業までに,この4年間をきちんと振り返ってみてください。他の学生,教員,家族などとの関係を踏まえて,俯瞰的に自分を眺め,客観的に自分の活動を評価する努力をしてみてください。客観的に自分を振り返ることができる能力は,社会に出て活躍するうえで,非常に重要です。その能力が高ければ,傲慢にならず,卑屈にもならず,他者を敬い他者とよい関係を結びながら,自分の活動や技量を改善することができるのです。
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中長期目標

2024年01月05日 | Weblog
昨年末のゼミ同窓会の時に,何人かの卒業生からお土産を頂きました。そのうちの一つに,叡山ふくみ天平という商品名の和菓子があります。たねや製造で,比叡山延暦寺限定販売の最中です。たねやの通常品と違い,菓子に茶葉が練りこまれた特別仕様です。この茶葉は比叡山の開祖最澄が中国より持ち帰った茶木を継承して栽培したものなのだそうです。

実はその茶葉は,滋賀県甲賀市土山にあるその卒業生の実家が栽培したものだということで,わざわざお土産として持ってきてくれました。その実家の製茶業者は由緒ある茶葉を復活させた技術で様々な表彰をされています。

この菓子を頂きながら,同窓会においてその卒業生が事業継承に関する課題を語っていたのを思い出しました。「事業の中長期の目標を立てろといわれている。次代を担うにあたって,目標をどうすればよいのか悩んでいる」というのがその話の趣旨です。私はその時に,複数の目標や戦略を立てて,柔軟に変化に対応できるようにしないといけないかも」とあいまいな応答をしたのみでした。色々な卒業生と様々な会話をしていたので,深く考えて応答できなかったのでした。

いまマーケティングの専門家の端くれとしてコメントすると,是非中長期の戦略的目標の一つとして掲げて欲しいのが,「ブランド化」です。ブランド化によって,企業は,製品の安定的な販売,持続的な事業の成長,下請けからの脱出,価格競争からの回避に向かいます。

すでに「甲賀のお茶」が商標登録されています。さらに甲賀の中の産地「土山」の名を冠したブランド茶の開発もなされています。彼には,宇治や西尾に負けない全国的・世界的ブランドになるよう,この地域ブランドの強化に尽力してほしいと思います。また,実家の製茶業者の独自ブランド開発にも尽力してほしいと思います。

叡山ふくみ天平の説明書きには,甲賀市土山町で栽培された茶葉使用とあります。しかし,よく読まないと把握できません。もし,この茶葉のブランドが確立していれば,菓子の良い特徴を消費者に示すために,そのブランドが分かりやすく表示されることでしょう(成分ブランドの表示)。また,特定製茶業者による茶葉が菓子の良い特徴を構成しているのであれば,その名が入るかもしれません。有名ブランドのPCにわざわざ部品であるCPUのブランドのインテルやAMDが記載されているように。

彼は「大学の学問なんて役に立たないものだと思っていた」とぼそっと語っていました。たしかに大学の学問は直接社会で役に立つことはあまりありません。続けて,しみじみ「大学でもっときちんと勉強しておけばよかった」「簿記・会計学は重要だと最近感じている」と話していました。学問は思考の土台を形成します。どのように頭を使えばよいのかを示唆してくれます。これは長い目で見れば,人生に重要な役立ちをもたらします。

事業の中長期目標のためには,マーケティング論,会計学,経営学などを学び直してください。これは彼個人にとって中長期の目標になるでしょう。

追伸
叡山ふくみ天平には驚きました。最中の端を口に入れて噛んだ瞬間,お茶の香ばしくさわやかな香りが鼻を通り抜けます。こんなにお茶の印象が強く残る和菓子はなかなか食べられません。
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迎春

2024年01月01日 | Weblog
2024年の元旦を迎えました。今シーズンは暖冬のため,穏やかで暖かな正月休みになりそうです。

ところで,12月30日にゼミの卒業生が集まる忘年会を居酒屋で開催しました。様々な年次の卒業生20名ほど参加のゼミの同窓会です。2000年に愛知学院大学に奉職以来,様々な年次のゼミの卒業生がたくさん集まる同窓会は今回が初めてです。ホームカミングデーがきっかけになりました。遠く秋田,東京,大阪,滋賀などから参加してくれました。年末休暇時期の開催が良かったようです。私は3次会まで参加しました。

参加最年長が2010年3月の卒業生,最年少が2023年3月の卒業生なので,13年ほど年の開きがありますが,あまりそういうことは感じさせない和気あいあいとした雰囲気になりました。年次によって参加者数のばらつきはありましたが,年次ごとに卒業生が固まらず,年次に構わず,卒業生の交流ができたと思います。

卒業生たちは,結婚,出産,子育て,離婚,転職,昇進など色々な経験を積んできており,とりとめのない会話が続いたのかもしれませんが,こちらは楽しく話しを聞くことができました。海外でのボランティア,転職,家業の継承など卒業生の今後の計画を聞くこともできて有意義でした。

また,卒業生の昔話にからめて,キャンパスの整備やカリキュラムの変更など今の大学の状況をこちらから話す機会があり,卒業生に母校の変化を感じ取ってもらえたと思います。

2024年も,卒業生が集まる機会を設けたいと思います。また,卒業生と現役ゼミ生が交流する機会も設けることができたらよいと考えています。
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卒論提出

2023年12月18日 | 卒論
12月15日に卒論の提出が締め切られました。うちの学部では,卒論本文とそれを要約した動画両方を電子データで提出することになっています。そして,提出された卒論と動画は主査(指導教員)と副査(関連分野の他の教員)によって審査されます。主査は副査の評価を参考にし,卒論評価を行うことになっています。さらに,成績評価と並行して,関連分野の教員複数で協議して優秀賞,最優秀賞を選出することになっています。また,動画は学生間で閲覧し,相互評価することになっています。この相互評価の結果,動画について賞を授与することになっています。

学生の卒論に対するモチベーションを上げるために,商学部では重層的な審査体制を敷いています。煩雑で手間がかかりますが,大学の学びで卒論が何より重要であるという学部のメッセージを学生には感じてほしいと思います。

ところで,うちのゼミの卒論どうかといえば,全員無事提出をしました。内容評価については,審査が終わっていなので,具体的なことは書けません。ただ,3年生の研究発表と同じで,しつこく手間をかけて調査をしたものと,安直にインターネットの情報を張り付けただけのものという風に,努力と思考の格差がゼミ生間に存在します。参考文献がwebページばかりという卒論は内容が薄く,論理展開に難があります。

あきらかなコピペは排除すべく具体的に指摘してきました。ただ,参考文献がwebページばかりの内容を完全に修正させることはできませんでした。審査が終わった後,今年度の卒論の問題点を総括して,下級生の指導に生かしたいと思います。
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研究発表は続く

2023年12月08日 | 名古屋マーケティング・インカレ
12月2日に名古屋マーケティング・インカレ2023本大会が開催されました。うちのゼミからは3チームが参加しました。元々は4チーム存在しましたが,第2回の中間発表会後に1チームが瓦解しました。

今回は,同性婚式が広がらない理由を探るチーム,最近店舗を増やしているバーガーキングの競争戦略を探るチーム,100ショップの下位チェーン・ワッツの競争力を探るチームが発表しました。

同性婚式が広がらない理由を探るチーム「均さん銀さん」が優秀賞に選ばれました。このチームが何かの賞を獲得することは事前に予想していました。調査が徹底していたからです。名古屋市内の結婚式場すべてに対する電話調査,路上でのアンケート調査,当事者へのインタビューなどしつこく実施しました。また,文献もそれなりに調査をしました。夏休みを無駄にせず,地道に調査と考察を重ねていました。そのため,情報がリッチで,面白い内容に仕上がっていました。地道さは聴衆にきちんと伝わっていました。

他2チームは高い評価を得られませんでしたが,これも事前に予想していました。11月段階で,引用していた文献がgoogle検索に引っかかるインターネット上の記事ばかりだったからです。その安直さが論理展開にもわたっていたからです。インターネット上の記事は理論解説を取り上げたものでしたが,その理論の引用元がきちんと示されていないばかりか,誤りが見られました。本来引用元になるべき著書は大学図書館に所蔵されています。きちんと元の学術文献を読むように指示しましたが,手遅れ感がありました。

来年1月28日に商学部の学内研究発表会が開催されます。ここで挽回して欲しいのですが,今一つモチベーションが高まらない様子です。ここで,きちんと最後まで努力を継続しないと,4年次の卒論を書くための能力が養成されません。最後まで粘りに粘り,文献を読み,インタビューを繰り返し,内容を見直し続けることが,論理的に思考する訓練になります。

評価が高かったチームはメンバー全員が発表内容の形成に貢献していました。その一方,評価が低かったチームは,メンバー間の努力格差が顕著で,一部のメンバーはほとんど何もしない状況でした。がんばったゼミ生の不満を生まないために,成績評価の際,この努力格差を考慮します。成績は別にしても,何もしてこなかったゼミ生は,次年度の卒論で苦労することになります。調査のやり方,文献の読み方を身につけないまま,単独で卒論を仕上げなくてはならなくなるからです。

これまで調査研究について他のメンバーにおんぶにだっこだったゼミ生は,せめて残りの1か月ぐらいは真剣に調査研究に取り組んでほしいと思います。
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