目指せ! 標高1122メートル

山の神にお供して歩きつづける、ある山のぼら~の記録。ネイチャー、冒険の本もとりあげるよ。

アウトドア好きでも虫嫌いは多い?

2021-07-11 | 山雑記


RadfotosonnによるPixabayからの画像

雪もなくなり、温かくなるとテント泊計画を立てることもあるけれども、山中テント泊ではなく、登山口や下界でのテント泊となると、山の神からのきびしい質問が浴びせられる。

「キャンプ場の標高はどのくらいなのかな。トイレはきれいなのかな」

標高がそれなりにあって、トイレが清潔でなければ、暗に行かないと言っている。なぜか。山の神はアウトドア好きの山のぼらーではあるけれども、虫が嫌いなのだ。

だれもが嫌がるG(ゴキブリ)はわかるが、なぜかチョウチョの類もダメだ。しばらくはあのグロテスクな形状とダークな色の蛾が嫌いなのだと思っていたのだが、そうではなく、お花畑を可憐に飛び回るアゲハチョウ、ご近所でも見かけるモンシロチョウなどもダメなことがわかった。稀に見るカラスアゲハやアオスジアゲハなんて、思わず足を止めてみとれてしまうものだが、山の神は蛾と同類視している。山の神いわく、「はばたきもの」は気持ち悪いじゃないの。その一方で滑空するように飛ぶ、つまりはばたかない(ように見える)トンボはだいじょうぶらしい。

標高が高ければ高いほど、はばたきものは少なくなる。そしてトイレが清潔に保たれていれば、蛾が蜘蛛の巣にからまっていたり、その死骸が床に落ちていることもない。逆に掃除が行き届いていないと、視界に蛾が入ってきて、おちおちトイレにも行けなくなるのだ。

そんな我が家に先週事件が勃発した。ふいにGの訪問を受けたのだ。私がかばんや本をごちゃごちゃと積み上げている場所からするするとGが10センチくらい飛び出してきた。Gはあっ見つかってしまったかとすぐにUターンして元いた場所に瞬間移動。山の神にGが出たと告げると、事態は急展開。そろそろ寝ようかと思っていたのに、G撃退グッズ次々に登場し、G探しとあいなった。



20~30分は山の神につきあってガサゴソとやっていたが、結局見つけられず、あれは幻だったのかとベッドに入った。翌日家でリモートワークだった山の神は、仰向けになったGの死骸をクローゼットの中で発見した。最近のG駆除剤は思ったより強力だった。Gの通り道になりそうなところにスプレー、G用の毒餌もセットしていたのがものの見事に功を奏したのだ。これだけ強力だと
人間にも害をなすのではないかと、そちらのほうが心配になった。

死骸の処理は、私の仕事。Gはトイレットペーパーに包んでトイレに流した。はばたきものや蜘蛛、甲虫類は、生きていれば、手でつまんで外に逃がし、死んでいれば庭の土か燃えるゴミとなる。それにしても都会育ちは、虫に触れないし、嫌いな人が多いのかねえ。

この事件でヤマビル騒動も思い出した。参考:
ヤマヒルに悲鳴、丹沢山
ヤマビル大量発生! 貫ヶ岳
ゴキジェット大噴射事件も出てきた。
夜のしじまを切り裂く、山の神の悲鳴

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人気の「牛奥ノ雁摺」再訪と小金沢山

2021-06-28 | 山行~中央線沿線・大菩薩

牛奥ノ雁ヶ腹摺山 標高 1990m 小金沢山 2014m 黒岳 1987.5m 山梨県

2021年6月12日(土) 曇りのち晴れ  

メンバー 私単独

コースタイム 6:28大峠駐車場6:39--7:30急登取り付き7:36--尾根分岐--7:50黒岳--8:53牛奥ノ雁ヶ腹摺山9:03--9:38小金沢山9:46--10:18牛奥ノ雁ヶ腹摺山(昼食)10:48--11:20川胡桃沢の頭11:25--11:52大峠への分岐11:57--12:46大峠

週末晴れそうだから山へ行こうと山の神を誘うと、実家に行くというので、梅雨にどっぷり入る前に一人でお山に行くことにした。行き先はいつの間にか名前が長いというだけで有名になり、人気も出てきた牛奥ノ雁ヶ腹摺山だ。ついでにGWに山頂で富士山を拝めなかった小金沢山まで足を延ばすことにした。牛奥までは山の神と行っており、いつだっかたと調べると2004年だったから、なんと17年ぶりになる。

4:25自宅を車で出発した。大月で高速を下りてから登山口までコンビニがたしかなかったよなと思い、自宅近所のコンビニで買い出しをして高速にあがった。交通量はそれほどでもない。談合坂SAで朝食をとり、サクサクと進んで甲州街道から見覚えのある交差点を大峠に向けて右折する。集落が意外と途切れずに長い。こんなに長い道だったかというくらい走り、2010年に雪で車をスリップさせ、側壁に激突したのはどこだったろうかと探しながら進んだがわからなかった。


大峠からの富士山

6:28大峠の駐車場に到着。この時間ですでに何台か停まっていて、もしかして前日からかと思いながら、山支度にとりかかる。隣の先着様は、出発する様子がなく、そのうちサンドイッチにかぶりつき始めていた。


左:大峠駐車場。左端にトイレ。奥のゲートは閉まっていた 右:牛奥ノ雁ヶ腹摺山登山口

6:39トイレに寄って大峠を後にする。登山口からはしばらく急登が続き、やがてトラバース気味に進んでゆるやかな上りになる。


左:登山道からツツジが見えた 右:枯れ木地帯を通過

倒木、枯れ木地帯を抜け、歩き始めて50分。そろそろ休憩にしようと腰を下ろした場所は、再び始まる急登のほんの手前だった。天気は予報通りの曇りで、雨が落ちてくるような厚い雲ではなく薄曇りだった。


左:尾根の分岐に出た 右:黒岳山頂。展望はない

水分補給をして歩き始めると、すぐに尾根に出た。このとき本日初めて登山者とすれ違った。女性の単独者でザックが大きかったから上で一泊したのだろう。大峠に下るようだった。

私は黒岳へ。前回来た時には黒岳をカットしたのではないかと思い込んでいたので、とりあえず行かなければと向かったのだが、実際にはしっかりとこの山頂を踏んでいた。記憶なんてあやふやなものだ。


左:笹原の道は気持ちがいい 右:絶好の休憩ポイント、川胡桃沢の頭

黒岳から引き返して牛奥へ向かう。少し行くと、笹原が現れ、新緑の快適な雑木林が続く。やがて川胡桃沢の頭に出る。ちょっと開けた場所で富士山のビューポイントでもあり、休憩にはもってこいだ。


この時期、曇っていれば快適な笹原の道

川胡桃沢の頭から新緑の森を抜けていくと笹原のだらだら上りの道に出る。日が照っていると暑くて大変そうな道だが、ラッキーなことに太陽は隠れたままで涼しい風が通り抜けていく。


左:牛奥ノ雁ヶ腹摺山山頂 右:牛奥山頂からの富士山

しばらく忍耐力が試されるが、振り返れば富士山が応援してくれている。8:53無人の牛奥ノ雁ヶ腹摺山の山頂に到着した。高度が上がった分裾野もばっちりと見えて富士山の存在感がすごい。


左:牛奥から笹原の道を下る 右:だれもいなかった小金沢山山頂

少し休憩して、小金沢山に向けて笹原の道を下り始める。雑木林を抜けていくと、2組のパーティとすれ違い、この界隈にもそれなりに人がいるのだとそのときは思ったのだが、9:38見覚えのある山頂に到着してみると、またもや無人だった。無人で静かなのはいいが、静かすぎるのもどうか。


小金沢山からの富士山

それはさておき、GWに訪れたときには、富士山を拝めなかったけれども、今回はその姿をこの目に焼き付けることができた。欲をいえば、バックにもっと青空が欲しかったが。

9:46元来た道を戻り始める。牛奥ノ雁ヶ腹摺山近くに来ると、単独者から数人のパーティまで登山者が次々にやってくる。やっぱり人気の山塊なのか。10:18牛奥の山頂に再び到着し昼食の準備にとりかかる。

すると先ほど私を追い抜いて行ったカモシカばりの身軽で軽快な足運びの単独お姉さんが私の目の前を横切り、知らぬ道へ下っていく。あれっと思い、声をかけた。どちらに? 黒岳です。黒岳はそっちじゃなくてと、私は立ち上がり往路で歩いてきた道を指さした。その方向に視線を送った彼女ははっきりと登山道がついているのを確認したようだった。私が下ろうとしたこの道はどこに行くのでしょう?と聞かれたが、よくわからない。途中で道がなくなるよと答えた。山地図を見れば、明らかなバリエーションルート。途中で引き返すことになっただろう。あぶない、あぶない。


青空が出て日が照ってくると暑い

いつの間にか、10人くらいになった山頂で昼食をとり、10:48下山開始。雲が徐々に流れて日が差してきた。これから山頂を目指す人たちとすれ違い、それから登り返して川胡桃沢の頭に上がると、今度は後ろから追いついてくる人たちが。私のペースが落ちたのかと思いながら、暑いなとひとりごち、汗をふきつつ下った。喉の渇きを感じれば、立ち止まって休憩し、夕方でもないのにヒグラシがやかましく大合唱する中、消耗したという確たる実感をもって12:46駐車場にたどりついた。

帰りも交通量は少なめで順調。談合坂SAで山の神に下山メールを送り(返信なし)、自宅には14:45頃到着した。山の神はまだ帰宅していなかった。道理で返信なしなわけだ。

蛇足:単独行のときの山行記録は、ものの見事に風景写真になる。あれだけ登山者とすれ違ったり、会ったりしても、やはり写真にはとらないものだ。

参考:当ブログ
牛奥ノ雁ヶ腹摺山・黒岳(2004年)
雁ヶ腹摺山・姥子山(2010年)

笹原とカラマツ林を抜けて小金沢山へ(2021年)

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NHK逆転人生「日帰り登山のはずが…地獄のサバイバル14日間」

2021-06-20 | テレビ・映画


イメージ(レスキューヘリ)

6/7(月)NHK総合で放送された『逆転人生』「日帰り登山のはずが…地獄のサバイバル14日間」の録画を見た。

地震の災害報道でよく出てくるのが、3日間を過ぎると行方不明者の生存率はがくんと落ち込んで、ほぼ絶望的というもの。でもこの遭難者は14日間も生き延びていた。ニュースで見たように記憶しているが、この遭難が起きたのは2010年8月14日。お盆休みを使っての両神山への日帰り登山の時だった。番組では実際に遭難した多田純一さん(事故当時30歳)が登場して、当時の日々の様子を自ら語っていた。

遭難のきっかけは下山30分後に現れた分岐で、予定外のルートを選択したことにある。道に迷って、普通なら登り返すべきところを、そのまま下り、最終バスに間に合わせるべく、道なき道を強引に下った。傾斜のきついところで足を滑らせ、40メートルも滑落し沢へ。そのときに左足を開放骨折(骨が外に突き出て見えている状態)し動けなくなった。

開放骨折で山岳気象予報士の猪熊さんを思いだした。たしか富士山で滑落して開放骨折をやり、感染症になってしまい、いまだに後遺症に苦しんでいる。応急措置として、すぐに消毒して包帯ぐるぐる巻きが必要なのだ。しかし、多田さんは山の中でそんな処置はできず。骨折部に添え木をして、患部をビニール袋で覆っただけだった。

(以下どんどんネタばれになるのでこれから番組を見る予定の人は注意)
遭難2日目は、冷静に行動している。持っていたホイッスルを鳴らしたり、誰かが気づいてくれるかもしれないと、免許証や保険証をビニール袋に詰めて沢に流したりしている。登山届を出しておらず、家族にもルートなどの詳細情報は伝えていなかったことから、あらゆる助かる可能性を模索していた。足の止血のために焼いたナイフを患部に押し付けたりもしている(現代の医学では間違いとされる。きつく縛るが正解)

一方で家族は、遭難当日の深夜、警察に捜索願いを出している。ただし息子がどの山に行ったのか把握しておらず、百名山で、秩父方面ということしかわからなかった。実際には山の名前を聞いてはいたが、覚えていなかった。

遭難3日目は、崖を少しずつよじ登っていくが、途中で身動きがとれなくなり、そこにとどまることになる。食料は遭難時に飴玉7個の所持。この日はもう残り2個になっていた。間の悪いことに雷雨にも見舞われ、もっていたサバイバルシートにくるまってやり過ごすことになる。

4日目、のどの渇きにさいなまれるようになる。何か食べるものはないかと探し、ミミズや蟻を生のまま、つまんで食べる。たんぱく源として貴重な食料だが、生のままではバイ菌だらけなので、医学的にも衛生面でもNGとのこと。この日は、このあと恐ろしい光景を目にすることになる。骨折した左足に違和感を覚え、かぶせていたビニール袋をはがしてみたところ、蛆虫が大量に這いまわっていたのだ。

番組では紹介されなかったが、むしろこの蛆虫がその後の左足の回復を手助けしたかもしれない。蛆虫は壊死した組織を食べて壊死していない部分を守ってくれたともいえる。マゴット治療(Maggot Debridement Therapy: MDT)といって、わざわざ壊死した患部を蛆虫に食わせる療法もあるのだ。人間の手作業では難しい壊死部分の除去を完璧に行い、肉芽の再生を促すことにつながるという。

遭難から1週間後、家族はあきらめることなく息子の足どりを追い、秩父の駅前で手作りビラを配ったり、行きそうな場所で聞き込みをしたりと奔走していた。そしてついに遭難から9日目にこのお客さんは覚えているとのファミレス店員の証言を得る。そのことから登山ルートを特定し、捜索範囲を絞り込むことに成功した。

遭難10日目、大雨で増水した沢に飲み込まれ、気づくと水中にいたという。この辺りから意識が混濁していたようで、記憶があいまいになっている。しかし運命を変える瞬間は、このときだった。この増水によってザックが下流に流され、捜索隊がそれを発見したのだ。沢沿いに上流に向けて捜索は始まった。そして14日目。ついに捜索隊が多田さんを発見し救助した。奇しくも沢に濁流が流れ込む直前、間一髪のタイミングだった。

そして番組の最後のほうで、視聴者が気になっていた左足がどうなったかについての説明がある。7年を経た2017年春、9回の手術とリハビリを重ねた結果、切断を危ぶまれた左足は再び機能を取り戻し、歩けるようになった!

番組から得られる教訓は以下(私が少し追加していますが、、)。
・迷ったら戻ること
・日帰り登山であっても、登山届を出すこと
(現実的なことをいえば、鎖場があったり、エスケープルートのないロングコースを歩かなければならない険しい山だろうね)
・山の基本装備をもつこと(雨具、救急キット、ヘッデン、水、サバイバルシートorツェルト、できれば携帯ラジオ)
・予備の食料をもつこと
・遭難しても、決してあきらめないこと

この遭難事故では、やはり最後の「あきらめない」という強固な意志が生還のカギを握っていたといえる。そうでなければ、止血のために焼いたナイフを患部に押し当てたり、ミミズや蟻は食べられない。

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籠坂峠から大洞山へ

2021-06-19 | 山行~伊豆・箱根と富士山周辺

大洞山 標高1383.4m 山梨県・静岡県

2021年5月23日(日) 晴れのち濃霧のち晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:30山中湖村公園墓地駐車場7:41--立山(たちやま)--8:28須走立山展望台8:41--畑尾山--アザミ平--9:38大洞山--10:12アザミ平--立山分岐--10:35昼食11:05--11:13公園墓地駐車場

5:08山の神とともに自宅を車で出発した。中央道に上がると、非常事態宣言中のためか交通量はそれほどでもない。談合坂SAに立ち寄って朝食をとる。そこから順調に走って河口湖線に入り、東富士五湖道路山中湖ICで下りる。下りてすぐのところにあるセブンイレブンで昼食と行動食の買い出しをし、山中湖公園墓地のある籠坂峠を目指した。

山中湖湖畔をぐるりと半周ほどして森の駅のある交差点を右折し、国道138号に入る。あとは峠まで一本道で間違うことはない、はずだった。ところが、目指す「籠坂峠」の標示に目を奪われたのが運の尽き。この辺に公園墓地があるはずだがと左側を注意してみていくが、それらしいものはなく、坂をどんどん下ってしまう。下っていくということは、もう峠ではない。


左:山中湖村公園墓地駐車場 右:右側に見えているのがトイレ

明らかに行きすぎとわかって、坂の途中でUターンをする。ここで地図を見ればいいものを、峠で右に鋭角に曲がる道があったよなと山の神にいいつつ、その道(別荘地への道)に入ってしまった。当然ながら公園らしきものはなく、ようやく地図を広げて反対側に来ていることが判明。国道138号に戻ってすぐに公園墓地の入口を見つけた。

するすると上がっていくと、7:30にしてすでに何台も駐車中だ。お墓参りの人を見かけないので、すべて山に入る人たちなのだろう。トイレに寄って山の神とともに公園墓地を出発した。


左:大洞山登山口、三国山ハイキングコース入口 右:「畑尾山・太刀山」と記された道標

土地がやせているせいなのか、背の低い樹木が続く。ジモティガラスが狭い木々の間を縫って低空飛行していく。いつもここを飛んでいるのだろうな、器用なものだと山の神に話しかける。おっと、道標が。地図に「立山」と表記されている山は、ここでは「太刀山」となっていた。山名の漢字は当て字のこともあるから、どちらが正しい表記なのかは不明だ。


左:最初の分岐。われわれは右へ進む 右:谷筋の道

あっという間に最初の分岐に出る。まず向かうのは立山だから右手で、すぐに谷筋の圧迫感のある道になる。戦国時代なら両サイドに待ち伏せされたら一巻の終わり、絶対に歩いてはいけない道だろう。


左:稜線に出るとガスっている 右:立山(太刀山)山頂

そんなどうでもいいことを考えながら進んでいくと、稜線の方から、さあっとガスが流れてきた。そういえば、家を出る前に見た天気予報では、山中湖村に濃霧注意報が出ていたっけ。静岡側(海側)からのガスなので、静岡の天気は曇りなのだろう。

稜線に出れば、あとは2013年にも、たどった知った道だ。進路を右手にとり、たちまち立山山頂に到着する。何の変哲もない通過点にすぎないような場所だ。そこから須走立山展望台へ向かう。


左:須走立山展望台 右:ムラサキヤシオ

8:28須走立山展望台では、少しガスがとれて青空も覗いたが、富士山は望めなかった。せっかくの展望台もこんな天気では意味がない。ここで休憩して来た道を戻る。


左:畑尾山山頂 右:アザミ平の分岐

見覚えのある畑尾山の地味な標柱を見て、アザミ平に下る。


植生が失われた裸地(山梨側)

静岡側は完全にガスって視界が閉ざされているものの、山梨側は青空が覗いている。この稜線がちょうど天気の境界線になっていた。


ブナ林が続く

2013年に訪れた際に引き返したポイントを越えて、ブナ林が続く登山道を進んだ。ガスはどんどん濃くなり、ひんやりしてくる。

やがて角取(つのとり)神社奥ノ院入口の標示が出てきて山の神と立ち止まった。寄っていこうかとその場所から下の方を覗いてみたのだが、それらしき建物はなかった。だいぶ遠そうだ、ということで通過することに。


左:大洞山山頂 右:大洞山山頂付近ではイチゴの花が咲いていた

9:38大洞山(別名、角取山)山頂に到着。ここで昼食にするには早すぎるし、展望もないし、冷えている。アザミ平から下ったどこかでお昼は食べようと山の神と相談しつつ、早々に山頂を後にする。

ここまで山中ではだれにも会わなかったのだが、アザミ平に戻り始めると、打って変わって続々と人とすれ違う。ハイキングに来たと思しき30代くらいの家族二組、単独の兄さん、年配者のパーティ。やはりアクセスがいい、お手頃なコースなのだ。


本来ならこの辺りは眺望がいいはずなのだが、、、

それにしても、さっき通過してきた道なのに、違う道ではないかと思えるくらいさらにガスが濃くなり、幽霊でも出そうな怪しげな状況になっていた。自然と足の運びも早まる。

アザミ平の分岐で休んでいたマウンテンバイカーの脇をすり抜けて、公園墓地に向けて下り始める。どこか昼食用のいい場所はないかと物色しながら下っていったのだが、よさそうな場所はない。


昼食をとった場所を見上げると

結局立山への分岐まで来てしまい、もうこの辺りで食べないと公園墓地に着いてしまうなと、ちょっと開けた森の中で食べることにした。先ほどまでの濃い霧が嘘のように、ここまで来ると青空が見えていた。ほんとうに静岡側だけが曇っているのだ。山の神とレジャーシートを広げて、そそくさと昼食を済ませ、11:13駐車場にたどり着いた。

帰りの高速渋滞はまったくなく、余裕の帰宅。山の神と今日の午後はゆっくりできるねと得した気分になっていた。

参考:道の駅すばしりから畑尾山

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山のぼらー御用達、嵯峨塩鉱泉嵯峨塩館

2021-06-06 | まち歩き

ゴールデンウィークは大菩薩界隈を歩いたけれども、大菩薩から近くて便利な温泉宿がここ、嵯峨塩鉱泉、嵯峨塩館だ。存在は知っていたけれども、日帰り圏だけになかなか行く機会に恵まれなかった。

コロナ禍で近場の温泉宿を探していて、そういえばとなって初めて泊まることになったのだが、予想外に快適な宿で山の神と大満足したのだった。

とくに今回の山行は源次郎岳も計画していて、ちょうどこの宿の真ん前に登山口があることから、まさにおあつらえ向きだったこともある。

初日(5月1日)は、上日川峠に車を置いて小金沢山ピストン。下山後駐車場から20分ほどで嵯峨塩館に到着しチェックインした。ロビー入ってすぐに山の神と私を迎えてくれるのが、冒頭の写真にあるようにツキノワグマのはく製だ。なかなかの貫禄ながら、立ち上がらせて愛嬌を振りまいているように見えるのがいい。


左:嵯峨塩鉱泉、嵯峨塩館正面 右:宿の前にある渓谷を見下ろせるテラス(東屋)

チェックイン時の記帳では、初めての泊りなのか、複数回なのかに〇をするようになっている。何度もお泊りにくる常連客が多いようで、2度目以降なら風呂場や食堂の説明などを省いているようだ。人気の宿ぶりがここでもわかる。


左:客室 右:掛け軸が右翼っぽい。藤田東湖の「正気の歌」の一節「正気(せいき)時に光を放つ」

客室は、空いていた最後のひと部屋を抑えたこともあり、いちばんこぢんまりした部屋だったが、それでも山の神と2人で泊まるには十分すぎる広さがあった。


左:次の間 右:なんとも味がある部屋の照明

次の間もあって、椅子とテーブルが置かれているから、風呂上がりにくつろぐにはいいスペースだ。持ってきたスコッチを宿の強アルカリの冷水で割ってここで飲んでいた。


客室から見える渓流

客室からは眼下に渓流をみることもできる。渓流沿いでは、例年この時期に桜が咲いているそうだ。でも今年は早々に咲いてもう散ってしまったのだとか。翌朝この渓流沿いの道を散歩しようと思っていたのだが、朝風呂に浸かってまったりしてしまったせいか、桜も咲いていないと聞いていたせいか、億劫になってやめてしまった。

風呂はそんなに広くはないが客室数が11と少ないので、混むことはない(たぶん。現在はコロナ禍で稼働している客室は9。食堂に人を詰め込みすぎない配慮のようだ)。小さいながら貸し切り風呂もある(空いていればいつでも入浴可能)。露天風呂もあるので、悪くはない。


左:ワインで育った牛の朴葉焼き 右:締めの炭水化物

夕食は有機栽培の自家製野菜や山菜をふんだんに用い、多くの料理を少量ずつ供する贅沢なものだ。ビールを飲みながら、工夫された前菜の膳に箸をつけるだけでもう満足。鴨鍋や牛の朴葉焼きは極上。締めのごはんもほどよい量でおいしかった。

なるほどリピーターが多いのはよくわかる。ちょっと高めなので、若者グループや小さなお子さん連れがいないのもいい。山奥の静かさを演出している。そんなことも人気の理由のひとつなのだろう。

登山道が整備された源次郎岳へ戻る
笹原とカラマツ林を抜けて小金沢山へに戻る

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登山道が整備された源次郎岳

2021-05-30 | 山行~中央線沿線・大菩薩

源次郎岳 標高 1476.6m 山梨県

2021年5月2日(日) 晴れのち雹 →ひょう

メンバー 山の神と私

コースタイム 嵯峨塩鉱泉9:50--11:11源次郎岳11:25--12:25嵯峨塩鉱泉

源次郎岳は、昔の山地図では常にルートが点線になっていたけれども、ここ何年か(もっと前か)で整備されて一般の登山者も気兼ねなく登れるようになった。山梨百名山に入っていることからだいぶ前から行ってみたいと思っていたところ、このコロナ禍で近場にしか行きにくい状況となって、奇しくも実現することになった。


左:山の神、宿の強アルカリ水をボトルに詰める 右:登山口。後ろが嵯峨塩鉱泉嵯峨塩館入口

前泊は嵯峨塩鉱泉嵯峨塩館。9:30頃チェックアウトし、車はチェックインタイムの14:00までに出すことを約して宿にそのまま置かせてもらうことにした。山の神と登山靴にはき替えて9:50出発した。


左:日が差して明るい雑木林 右:カラマツの新緑が目にやさしい

いきなりの急登で息もはずむ。畑付近まで来ると、富士山がよく見えた。写真を撮ろうかと思ったが、ちょうどその場所で年配の方2人が立ち止まって息を整えていたので、後でいいやと通過してしまったのが運の尽き。この後二度と富士山の全貌を拝むことはできなかった。


左:未舗装の林道に出ると道標 右:樹木が切り払われた広場の横を進むと林道が目の前を横切る

新緑のカラマツ林を抜けていくと、やがて樹木をきれいに切り払った広場に出た。何か大規模な施設でもつくろうというのか、かなりの広さがある。そこに未舗装の林道が通っている。登山道はその林道を横切り、林の奥へと続いている。

 2本目の林道(舗装路)を横切る

落ち葉を踏んでいくと、2本目の林道、嵯峨塩深沢林道に出る。道幅は狭いながらも、きれいに舗装されている。近くに駐車スペースがあって2台停まっていた。この後山頂で会ったファミリーのものか。意外とここまで車で上がって来られるというのは知られていないかもしれない。


左:牛奥峠。中央の石に「山神」と刻まれている 右:苔むした蛤岩

2本目の林道を越えるとすぐに牛奥峠と標示された場所に出る。そこには蛤岩(はまぐりいわ)と呼ばれている、中央を鋭い刃物でばっさり切られたかのような岩があった。


左:下日川峠と源次郎の分岐 右:源次郎への下りは予想以上に長い(中央の点は山の神)

下日川峠に出ると、快適な森歩きも終わりだ。ちょっとしたピークから下りに入る。こんなに下るのかといいつつ、私が写真を撮っていると、寒い、寒いといいながら、山の神が私を追い越してどんどん先へ進んでいった。やたらと谷筋から冷たい風が吹いてきて、山の神を追い立てたのだ。


源次郎岳山頂の広場

しばらく下って、気持ち登り返すと源次郎岳のピークだ(11:11)。山頂はやりすぎではないかというくらい、ものの見事に木が切り払われた広大なスペースがあり、眺めもいい。先着さまは7、8人のファミリーで、われわれを途中で追い抜いていった単独登山者の方との会話がもれ聞こえてきたところによれば、帰省してきた子や孫たちと登ってきたという。ちょっとしたハイキングで楽しそうだ。コーヒーを沸かしてくつろいでいた。


富士山は雲に隠されていた

山頂の上空は青空が出ているものの、白い雲がもくもくと広がっており、富士山頂は隠れたままだった。前日の小金沢山からの富士山がまったく姿を見せなかったのに比べれば、よほどましだが、残念な感じは否めない。登りはじめの時に見えていた富士山の全貌を堪能しなかったのは悔やまれる。


金峰方面を一望する

11:25山頂で一服して下り始める。往復で2時間くらいと思っていて12:00には下山するつもりだったのだが、予想外に時間がかかっている。往路ではヤシオの花(下の写真)を愛でていたが、復路は早く下ろうとわき目もふらずに通過だ。


左:ヤシオがところどころで咲いていた 右:もうすぐ下山というところで雹が来襲 

最初の舗装された林道を横切ったころ、いつの間にか曇天に変わっていて、ポツンと冷たいものが落ちてきた。雨か? そのうちパラパラと来て、思わず山の神と目を見合わせた。ヤバい。地面を見ると直径1ミリ程度の白い粒が枯葉の上ではねている。なんと雹(ひょう)だった。山の神は脱兎のごとくスピードアップし、小走りで下っていく。私もその後に続いた。

嵯峨塩鉱泉にたどり着いた12:25には、直径2~3ミリの雹に変わっていて、しばらく宿の前の東屋で雨宿りならぬ雹宿りをした。その間、雹の降り方は激しさを増していく。しかしそんな天候急変も、数分であっけなく何事もなかったように収まった。

やれやれと宿を出て、道の駅甲斐大和に移動し、休憩&ワインを購入(前々回の記事一升瓶の甲州ワインを買ってみる)。昼飯は笹子トンネルを越えて大月に入ったところにある和食レストランか、近辺の食堂に入ろうとしていたのだが、、、コロナのせいかあちらもこちらも休業中だった。道の駅でソバを食べればよかったと臍をかむ。結局中央道にあがって談合坂SAに入り、14:00過ぎにようやく焼きそばにありついた。その後は順調で渋滞に巻き込まれることもなく帰宅した。

笹原とカラマツ林を抜けて小金沢山へに戻る

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田中陽希、酒田停滞期のインタビュー本『それでも僕は歩き続ける』

2021-05-17 | 山・ネイチャー・冒険・探検の本

田中陽希『それでも僕は歩き続ける』平凡社
 
田中陽希さんの日本3百名山ひと筆書きの旅は、コロナの非常事態宣言で一時中断し、山形県の酒田市で3か月ほど停滞を余儀なくされた。その間フリーライターの千葉弓子さんがロングインタビューを行い、まとめられたのがこの本だ。
 
田中陽希さんの今までの番組を見たり、本を読んだりしていれば、新しい情報が少なくて残念な感じは否めないが、ほほえましい子供時代の写真を見られるし、大学時代やアドベンチャーレースのスナップ、もちろん百名山ひと筆書きから現在までの、茶目っ気たっぷりの陽希さんらしい山登りカットも多く収録しているので永久保存版としての価値がある(?)。ついでにいうと、陽希さんのあの独特なイラストも要所要所に入っていて陽希ワールドを演出している。
 
それはさておき、本のなかで最も印象的なのは、2百名山のときに大勢のファンに追いかけられ、精神的に追い詰められた顛末。これは「グレートトラバース」の番組内でも紹介されていたけれども、もっと詳細な状況が書かれている。ファンが一人、二人来るなら、うれしいだろうけど、行く先々に大挙押し寄せ、山はおろか沿道にもいて、好物と公言したポテチをもってくる。話かけられて立ち止まり、一緒に写真をと言われてポーズをとり、サインをくださいと言われてペンを執る。それが連日時間や所かまわずとなると、さすがに気が休まらない。さらには行程の遅れにも結び付き、途中からGPSのリアルタイムの位置情報公開をやめることになる。いやはや。
 
行動食の選び方も紹介していて興味をそそった。行程が長いからだろうけれど、同じ重さならカロリーが高いほうを採用するという。よく食べるのは、焼き菓子でカロリーは高い。フィナンシェがベスト、マドレーヌやバームクーヘンもいいという。ただし菓子パンは、高カロリーではあるけれども、高所で袋がパンパンになったり、添加物を多く含むことから控えているとのことだ。冬場は、亀田製菓の柿の種、明治のアーモンドチョコレートを開口部の大きな500ミリリットルのペットボトルに詰め替えて持ち運ぶ。歩きながらでも取り出しやすく便利なのだとか。
 
総じてわたしのような年配者ではなく、若者に向けてのメッセージが多くつまっているのがこの本の特徴だ。読む人によって、印象が変わるだろうけど、陽希さんの人となり、人生への向き合い方、考え方がよくわかる本であることは間違いない。「グレートトラバース」を見ている人は手にとって損はない本、ぜひご一読のほどを。
 
 
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笹原とカラマツ林を抜けて小金沢山へ

2021-05-09 | 山行~中央線沿線・大菩薩

小金沢山(雨沢の頭)標高 2014.4m 天狗棚山 1957m 山梨県

2021年5月1日(土) 晴れのち雨のち晴れ 

メンバー 山の神と私

コースタイム 7:50甲州市市営駐車場--上日川峠8:10--小屋平--9:06林道登山道入り口9:16--石丸峠--10:06天狗棚山10:15--11:06小金沢山11:17--12:40林道登山道入り口手前の旧道分岐(昼食)13:15--小屋平小休止--14:10上日川峠--14:25駐車場

5:15山の神とマイカーで自宅を出発した。勝沼で中央道を下りた後に通り道にコンビニがないとわかり、上がる前にコンビニに立ち寄り、昼食と行動食を購入。高速道に上がると、非常事態宣言が出ている割には、われわれと同じように近場ならOKと考える人が多いのか、渋滞にはならずとも、それなりの交通量があった。朝食のため談合坂SAに入ると、同様にそれなりに車も人もいる。

順調に進んで勝沼ICが近づいてくると、南アルプスの峰々が前方に見えてきた。おお、だいぶ雪が多いねえ、あの真っ白なのは甲斐駒か? おっと違うなと話していると、目の端に勝沼の出口がちらっと見えた。やってしまった。勝沼ICを通過。仕方なく次の一宮御坂ICで下りた。せっかく遠回りにならないように地元のコンビニに寄っていたのに台無しになった。


左:甲州市市営駐車場 右:上日川峠登山口(公衆トイレ直下)

大菩薩ラインに入って、事前にカーナビに入力しておいた目的地「ロッジ長兵衛」(ロッヂ長兵衛の登録はなかった)に向けて走っていくと、途中で見慣れぬ道に曲がれと指示が出る。はて?近道かと思いながら、その通り走っていくと、「一葉のみち」と標示がある。間違いじゃないかといぶかしんでいると、変な場所で案内が終了した。使えないカーナビだ。

ちょっと遠回りしたものの、7:50上日川峠の甲州市市営駐車場に到着した。昨年の夏に訪れたときに比べれば、停まっている車の台数は少ない。峠の公衆トイレに寄って8:10山の神とともに出発した。


左:なだらかな笹原の道を下っていく 右:山の神、レイヤー調整

上日川峠から福ちゃん荘へ登っていく人は続々とやってきたが、石丸峠を目指す人は皆無だった。しばらく静かな山歩きとなる。気温は11℃くらいだが、陽射しがあってポカポカ陽気。歩いていいるうちに瞬く間に汗が噴き出す。さっそく山の神は一枚脱いでレイヤー調整をした。


左:親水広場界隈 右:小屋平バス停

少し下っていくと、沢を横断することになる。流れの下方に目をやると、優雅にも奥のほうに1張ピラミッド型テントが見えていた。そこからなだらかな斜面を登っていくと、小屋平のバス停(林道大菩薩初狩野線。上がっていくと上日川峠)に出る。道を横断し反対側の斜面に取り付く。結構登りでのある道で長く感じる。


左:林道を歩いて次の取り付き点へ 右:気持ちのいいカラマツ林が続く

やがて上部の林道に突き当たる。道を挟んで反対側にあった登山道は台風で崩れたため、この林道を150mほど奥へ移動することになる。そこでザックを下ろして休憩だ。出発するころ、家族連れがやってきて、さすがは連休だと思い知らされる。

再び歩き始める前にクマ注意の看板を見て、クマ鈴を装着。斜面を登っていくと、カップルが下山してきた。もう下山なのかと思いつつ、気持ちのいいカラマツ林を横移動していく。すると今度は前方に7,8人の家族連れがいた。意外に人は多いのかもと思いながら先へ進んだ。


笹原の向こうに小金沢山

そのうちカラマツ林がなくなり、バーンと開けた場所に出る。これから登る小金沢山が遮るものなく、目の前に現れた。


石丸峠

やがて大菩薩峠からの道と合わさる石丸峠にたどりつく。


左:いずれは縦走したい牛の寝通りへの分岐 右:天狗棚山

石丸峠からすぐのところに牛の寝通りへの分岐に出る。牛の寝通りは、いずれは歩いてみたい草原の尾根だ。そこから指呼の間で天狗棚山に到着する。反対側から単独者が来る。


左:地図に書かれていた通りの悪路 右:小金沢山山頂

10分ほど休憩して狼平に入る。この頃から徐々に風が強まり、予報通り天気が崩れそうだと山の神が心配気に足早になる。

地図に記載されている通り根方が張り出し、また岩場もあって非常に歩きにくい道になる。天候もどんどん怪しくなり、青空は姿を消し、冷たい風が頬を刺し始めた。

やたらと長く感じるこの稜線を進んでいくと、最後のひと登りのところでトレランっぽいパーティに抜かれた。あっ、もうそこが山頂だと山の神のほうを振り返る。小金沢山の標柱が見えた。


左:富士山は裾野ビュー 右:冷たい風にさらされて山の神爆走中

11:06小金沢山の山頂に到着。秀麗富岳12景の一座なのだが、富士山は裾野をうっすらと見せるのみで、雲に包みこまれていた。

ここで昼食にするには冷えすぎだと、行動食として買った安納芋パイだけを食べて11:17下山に入る。石丸峠辺りまでは暑くて汗をかいていたのが、まるで嘘であったかのように冷え込んでいる。谷をなめてくる風がすこぶる冷たく、しかも強く吹いて真冬のような厳しさだ。時折雨粒も落ちてくる。たまらず山の神は飛ぶように下山していく。


左:昼食ポイント(撤収中) 右:上日川峠に戻ると青空

昼食どころじゃないねえと、食べるタイミングを逸してひたすら下ることになった。12:40林道に出る手前まで来て、ようやく風をしのげて落ち着けるポイントに出た。ここでレジャーシートを広げてメシにありついた。山の神はもうクタクタのようで、持ってきたみそ汁はいらないという。ここで昼食を済ませ、午前中に歩いた道を戻る。

小屋平を過ぎるころから、下り坂の予報を完全に裏切って晴れてきた。上日川峠に出ると、何事もなかったかのようにおだやかな晴天に変わっていた。

(冒頭の写真は登山道の傍らで咲いていたタチツボスミレ)

登山道が整備された源次郎岳へつづく

 

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一升瓶の甲州ワインを買ってみる

2021-05-05 | 山雑記


主役は甲州ワイン、まるき。あてはサーモンのマリネ、マッシュルームオリーブオイル炒め、鳥ささみのから揚げ

GWは予定通り(!)1泊2日で大菩薩界隈を歩いた(山行報告は後日)。山のぼらーのあなたも近場をどこか登られただろうか。

さて今回の報告は甲州ワインだ。大菩薩といえば山梨。山梨といえば甲州ワイン。その昔会社の山の会でロッヂ長兵衛に泊まり、一升瓶の甲州ワインを皆でガブ飲みしていたのを思い出す。

宿の夕食では、まず瓶ビールを山の神と1本開け、その後甲州ワインに移行した。最近の甲州ワインは、ぶどうの品種改良に加えて品質もどんどん進化しているようで、おいしくなったとの評価が高まっているけれども、昔ながらのすっきりとした味わいを求めていただいた。和食との相性もいいのでお勧めだ。

けっこういけるねと気をよくして、翌日の帰途、道の駅甲斐大和に寄り家飲み用のワインを買おうとなった。せっかく山梨に来たのだから、やはり一升瓶だろう。独特の〇にキのラベルが目を引いて、思わず手に取った。それは日本最古のワイナリーを標榜するまるき葡萄酒株式会社のワインだった。嬉々としてそのままレジへ。

その後地元のスーパーに立ち寄り、サーモンやマッシュルームなどを買い込み、ワインのあてに。その夜さっそく封を切って味見をした。山梨県民になったつもりで、一升瓶からワイングラスへ白ワインを注ぐ。辛口でライト、スイスイ飲めて飲みすぎに注意なワイン。山の神と2人で飲んだら、もうなくなっていた。

参考:当ブログ一升瓶の甲州ワインをガブ飲み


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コロナ禍で高まる「低山登山のリスク」

2021-04-29 | 山雑記


イメージ画像 2006年静岡県の白水山で山の神とともに道に迷った。

NHKの「ニュースセンター9時」を見ていたら、コロナ禍で低山登山のリスクが高まっているので注意と警鐘を鳴らしていた。

最近山行記録を検索をすると、よくヒットするのがヤマレコと並んでYAMAPであるが、そのYAMAPのデータサイエンティスト、斉藤大介氏が発言していた。コロナ禍以降、自社の登山記録を解析すると、自宅より100Km超の距離にある山へ行くことは減少、50Kmくらいの距離にある山へ行くことが増加しているという。すなわち近くて低い山に行く傾向が顕著であると。たしかにコロナ禍で遠くに行ってはいけないという縛りがかかっているので納得のデータだ。

そこで起きているのは遭難リスクの高まりだという。「ニュースセンター9時」では、2パターンをとり上げていた。一つは、経験の浅い人の無知から来ているケース、もう一つは経験があっても油断禁物であるというケース。

無知から来ているケースは、丹沢の大山に14:30に入山、17:00下山予定だったのが、膝を痛めて思ったように歩けなくなり、それでも自力で19:00に下山したというもの。山に入れば、何が起こるかわからない。通常午前中に入山するのが山の鉄則であって、昼食をとったあとに思い立って行くものではない。装備も不十分で、軍手と水くらいしか持っていなかったようでまったくの論外だ。まさかの時のためのヘッデンや予備の食料、突然の雨に対応するために雨具は最低限必要だ。

次のケースは、豊富な登山経験者ではあったけれども、山をなめていたケース。10か月ぶりの登山だったという。久々の登山のため下山時に足がつり、40分ほどマッサージしたのち這う這うの体で下山したということだった。事前に少し歩かないとね。

前にもちらっと書いたけれども、コロナ禍で地元の山岳会や自治体、山小屋関係者が登山道整備を行っていないことが予想される。そのせいもあってか一昨年の巨大台風で崩れたままの登山道、倒木が横たわったままというところもある。手入れしない登山道は、あっという間に草ぼうぼうで道ではなくなるので注意が必要だ。

また低山は、手軽に登れるけれども、道標が未整備なところも多い。林業関係者が作業道をつくり、テープをはっていたりすると、登山道と勘違いして道迷いの原因にもなる。地図で充分に確認するのはもちろんのこと、事前にWebで最近そこを登った人の記録をチェックしておくことに越したことはない。

参考:当ブログ ルート不明瞭な白水山

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