分類 : 村
力自慢のナンバーワン 坂本 直政
鹿島町下矢田にある 真浄院 の境内に繭(まゆ)型をした石があります=写真下。
まだ鹿島村だった大正17~18年頃に遡るが、青年たちは毎月の農休日には寺に集まって相撲や力比べをしたそうだ。その時にこの石が「力石」(ちからいし)として登場した訳です。石の重さは32,3貫(約120キロ)といわれ簡単に持ち上げられないが、それでも数人が成功した。力比べは更にエスカレートしていろいろ試されたが、最終的には力石を山門まで転がし、そこから担いで石段を上ることになり、見事に成功したのは直政ただ一人だった。
御代部落の八坂神社の鳥居そばにも力石があるが、これは真浄院の石よりも一回り大きいと耳にしたから早速この石に臨んだ。角ばった石で手がかりがなく挙げにくかったが、全精神力を石に集中してついに胸のあたりまで持ち上げたという。 昔は各地に 「力石」 は存在していたようで、四日市大学健康科学研究室の資料によると、全国で132を数える。(2010年) 労働力を人に頼らざるを得ない時代に体力を養うのを目的とした石だった。
直政が17~18歳ころの実話であり、生前、彼自身の語り草であった。 一句:初詣 語り草聞く 力石