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毎日バッハをきいていこう!

一日一バッハ




クリストフ・ヴォルフ著・礒山雅訳『バッハ ロ短調ミサ曲』が、春秋社から発行されました。同書の原著を入手しようか迷っていたのですが、グズグズしているうちに、翻訳本が出るという訳者の情報(「『ロ短調ミサ曲』翻訳します」)をえて、春秋社から発行されるのを待って入手しました。

まだ興味のあるところをひろって読んだだけですが、特筆すべきは「≪ロ短調ミサ曲≫における世界の最新の研究の一大集成であると言っても、過言ではない」(『バッハ ロ短調ミサ曲』訳者あとがき)ということ。日本語参考文献に訳者の未発表の論文が掲載されているところなど、たしかに最新です。

同書で特徴的なのは、ラテン語のドイツ式発音の表記。演奏実践でのドイツ式発音はありますが、「ザンクトゥス」とカタカナ表記されると、ちょっとした違和感はありますね。といっても慣れの問題でしょうし、訳者が著者と相談の上きめたのであれば、これは見識ある判断だったといえると思います。

バッハ ロ短調ミサ曲

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Amazonで予約しておいた、講談社学術文庫の『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』が届きました。このバッハ評伝は、1985年に出版された磯山雅著の『バッハ=魂のエヴァンゲリスト』(東京書籍)の「改訂新版」というべき入門書。学術文庫版で改訂された可能性が高いところ(第2章の「整備された教会音楽への意欲」など)だけをざっと読んだだけですが、ここ4半世紀の研究成果が反映され、「新しい情報がしかるべく補われた」(あとがき)ものになっているようです。なので、すでに東京書籍版をお持ちのかたも、購入する価値はじゅうぶんあるかと。価格は1155円です。

以下は、著者が「I教授の談話室」で、紹介として引用した「あとがき」の一節の再録です。

古い革袋はなるべく残し、酒はできるだけ新しいものにする、という作業が、原著の生命力を損わなかったかどうか。その判断は、読者にお委ねするほかはない。改訂は、章によっては、ほとんど書き直しに近いものとなった。その意味で文庫版は、私の現在のバッハ観をはっきり示すものとなったと言えるのだが、それが初版時のバッハ観と重なり合う面が想像以上に多いことも、また事実である…

バッハ=魂のエヴァンゲリスト

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先日放送された「クラシックミステリー名曲探偵アマデウス」で、「ゴルトベルク変奏曲」がとりあげられていました(「“ゴールトベルク変奏曲”上司に殺される!」)。30の変奏曲が一定の規則で配列されていることなど、なかなか興味深いものでした。実演は熊本マリだったのですが、「ゴルトベルク」全曲を、日本人の演奏家としてはじめて録音したと、演奏者を紹介されていたので、「あれっ」と。

仕事をしながら、ちらちらみていたので、ききまちがいがあったのかもしれませんが、「ゴルトベルク」なら、熊本以前に、高橋悠治が1976年に録音していたはず。もちろん、そんなことはどっちでもいいことなのですが、高橋悠治の「ゴルトベルク」については、興味深い評論があったのを思いだしたので、確認がてらその評論を書棚からひっぱりだしてみました。

その評論は「高橋悠治の音楽」で、1978年に出版された柴田南雄『名演奏のディスコロジー』(音楽之友社)に収録されたもの。で、思いだしたのは、「ゴルトベルク」がどうとか、高橋悠治がどうとか、そういうことではなく、そのエッセイの最後の部分です(以下に引用)。「ゴルトベルク」にまつわる逸話の真偽はともかく、いまでもきくべき警告を含んでいると思います。

十九世紀後半以来、文学者や音楽学者たちがいかにバッハをあまりにも神格化し、演奏家たちから発想の自由を奪って来たか、ということだ。学説が学説にとどまっているうちはよいが、解説者をへて善意の鑑賞の態度を規定するのはいけない。天才の職人芸、誰かの眠られない夜を満たすための、手をかえ品をかえてのヴァリエーション。そうした、きわめて日常的な市民生活との密着から引き剥がされて、精神主義に密封されたバッハに日本人はあこがれを持っている。(『名演奏のディスコロジー』144頁)



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早めに昼休みをとり、今日の一バッハを楽しんだついでに、『ルネサンス・バロック名曲名盤100』について。

この『ルネサンス・バロック名曲名盤100』は、昨日の『バロック名曲名盤100』の大幅改訂版で、同書からヘンデルとバッハをのぞいたものです。音楽之友社から、ON BOOKSとして1992年に発刊され、こちらもやはりベストセラーだったようです。

この本も、『バロック名曲名盤100』と同じように、最近はまったくご無沙汰だったのですが、昨日の発見に触発されて、探しだしてみました。バッハがのぞかれてしまったので、当ブログとは直接無関係なのですが、いまパラパラみてみると、ピリオド楽器による推薦盤が増えたような感じがします。

こういう推薦盤が掲載された本というのは、発刊されて2、3年もすると、あっというまに情報が古くなってしまいます。その情報を、臨機応変にリフレッシュできるネット上の情報源にくらべて、本はあきらかに不利。考えてみれば、最近読んでいなかったのも、当然といえば当然です。

もちろん、ルネサンス・バロック名曲名盤100』にしても、推薦盤の情報をのぞけば、推薦曲の簡潔な説明など、読むに値するとは思うのですが……。

ルネサンス・バロック名曲名盤100

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ある本を探して書棚の奥のほうをのぞいていたら、ほこりをかぶった『バロック名曲名盤100』という懐かしい本を発見。この『バロック名曲名盤100』は、「バッハ以前の古い音楽を愛好される方がたのためのレコード・ガイド」で、音楽之友社から、1977年に発刊された、皆川達夫著のベストセラーです(手持ちのは1981年の第5刷)。

仕事の手をちょっと休めて、手にとってパラパラめくってみると、推薦された名盤では、時代を感じさせる、懐かしい演奏家・演奏団体がズラリ。100曲の名曲では、バッハは、数えてみると、25曲で最多。バッハでは、やはりリヒター盤が、名盤として数多く推薦されています。もっとも、それは、いまでも不変で、なにはなくともリヒターという状況が、良くも悪くも続いています。

バロック名曲名盤100

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昨日紹介した、『J.S.バッハの音楽宇宙』とよく似たタイトルの書籍があったので、紹介してみます。丸善ライブラリー115として出版された、『バッハの音楽的宇宙』がそれ。

筆者の大村恵美子は、東京バッハ合唱団とともに、40年をこえる演奏活動を続けてきた指揮者。この種の書籍としてはめずらしく、カンタータ、ミサ曲、受難曲、オラトリオだけを抽出して解説。まとめかたも、「歴史」「生活」「国家・政治」「宗教」というふうで、ある意味、異色の解説書といえるかもしれません。

こうしたアイデアは、「日本語でバッハを歌う」という実践とつながっているのかもしれず、実践家としての主観にあふれていて、興味深い読みものになっています。

バッハの音楽的宇宙

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以前紹介した『不朽の名盤1000』と同様、雑誌の整理で出てきた『J.S.バッハの音楽宇宙』(芸術現代社)。バッハ生誕300年に、音現ブックス11として刊行された雑誌で、20年以上も時が経過したことになります。巻頭の対談(「音楽現代」記事より転載)が、皆川達夫・早川正昭というのが時代を感じさせます。

巻末に近いところにある、「これだけは聴いていきたい~42枚のディスク」という、推薦盤を紹介する記事。推薦盤は、作品ごとに2枚づつ紹介されているのですが、一部をのぞき、ピリオド楽器とモダン楽器を1枚づつ推薦。当時としては、このような扱いはめずらしかったと思うのですが、筆者が佐々木節夫ということで納得です。

J.S.バッハの音楽宇宙

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