アジアと小松

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小松基地問題研究会

極右勢力(軍人)の世界観

2014年01月26日 | 軍事問題(小松基地など)
極右勢力(軍人)の世界観

 東京都知事選に田母神俊雄(元航空幕僚長)が立候補した。石原慎太郎が支持している。極右勢力(軍人)が現代日本の政治と軍事をどのように考えているのかを知っておくべきと思い、「真・国防論」(田母神俊雄)を読んだ。2009年に初版が出され、東日本大震災(福島原発事故)後の2011年に「修正をする必要がない」としてそのままの内容で文庫本として発行された。

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(1)田母神は「内局はなくてもいい…。自衛官と大臣や官邸との距離を近くして、自衛隊と政府がいまよりも密な連携…」と書いている。「真・国防論」では、様々な主張が展開されているが、田母神は内局をなくし、軍の要求を防衛省や首相官邸にストレートに反映できるシステムに変えたいとしている。

(注)防衛省において、内部部局は「内局」と通称される。防衛省の組織上、内局は主に政策的・行政的な面から防衛大臣を補佐するものとされている。その構成員は大半が文官(自衛官以外の防衛省職員)であるが、自衛官も少数であるが配属されている。また、内局は、組織の単位であるが、それと同時に内部部局所属の文官及び長官直属の文官を指すことがある。これが「制服組」と「背広組」というときの「背広組」に相当するものである。

(2)田母神は「こうした法律(機密保護法、スパイ防止法)が整備された場合には、一般国民がスパイ罪で厳しい刑罰を受けることになる」「防衛機密にかかわる事件を裁く際に、機密性が担保される軍法会議が必要」と書いている。

 昨年の特定秘密保護法の成立過程で、政府は一般国民は対象外であるかのように誤魔化してきたが、極右軍人は、公務員はもちろん一般国民も特定秘密保護法の対象であり、しかも誰もが傍聴できる普通裁判所ではなく特別裁判所(軍法会議)の秘密法廷で裁判を進めたいと考えているのだ。

 また、「(情報公開請求者の)リストを作るのは当たり前であり、…請求者がスパイだったらどうするんだ…。軍をつぶそうとする人物がいるおそれもある」として、情報公開制度を使って公文書の公開を請求する人を「スパイ」とみており、リストを作って、監視し、必要とあらば弾圧しようとしている。

このように田母神は軍を聖域に置き、絶対的な権力を確保したいと考えている。特定秘密保護法がその第1歩であり、次には軍法会議をつくり、情報公開法の「防衛省除外」規定まで考えているのではないか。

(3)田母神は「日本は核武装するべきだと思う」と語り、「(日本では)第1に、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)だと考えている」と具体的に配備の順序まで提案している。広島、長崎、ビキニ、ネバタ州、イラクの人々そして米軍兵士の被ばくについて真摯に向きあったことがあるのだろうか。

 日本の核武装を担保するために、田母神は「原発を引き続き活用」(都知事選挙)と主張している。しかも、「(原発に)ジャンボジェット機が突っ込んできても核爆発事故が起きることはない。原子炉の核分裂反応は大きな衝撃で起きたり、容器が壊れても起きない」と書いているが、3/11福島原発事故が起きた後も、この主張を変更していない。

(4)田母神は「戦時中の日本が行ったよいことまで塗りつぶし、なかったことにしてしまうのは間違い」「日本を白人国家が追いつめ、首を絞めてきたので、死ぬ寸前にやり返したのが先の戦争なのだ。…卑下する必要は何もない」「日本の侵略についてあれこれいうのは…中国、韓国、北朝鮮のわずか3カ国だけ」という歴史認識に立っている。

 田母神は石川護国神社に立てられている「大東亜聖戦大碑」の護持会の会長であるが、聖戦大碑には先の侵略戦争を賛美する文言があふれている。これらの歴史認識は安倍首相とも共通している。

(5)田母神は「国家は…性悪説で働く」「悪ガキのような国々を抑えるために必要なのは力なのだ」「秩序を乱す国には、…騒いだら承知しないぞと警告」とくりかえしているが、このような子どもじみた「論理」しか持ち合わせていない自衛隊幹部に、攻撃用兵器や核を持たせたら、そこには戦前の侵略国家の姿しかない。

 しかも、「金持ちの国が、貧乏な国をいじめて何かを奪うということはなくなった」などと、現代資本主義(帝国主義)の現実さえ見ようとしない。戦後世界は帝国主義による朝鮮、ベトナム、イラン、イラク、アフガニスタン、フォークランドなどへの侵略戦争がくりかえし起きているではないか。

 戦争が起きる原因を国家=性悪、悪ガキなどといっているような極右勢力(軍人)に軍事はもちろん政治まで任せるわけにはいかない。
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