OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

オールマンズ上昇期の発掘音源

2010-02-14 15:06:42 | Allman Brothers Band

American University Washington, D.C. 12/13/1970
               / Allman Brothers Band (TABB Recording Company = CD)

所謂アーカイヴ物と呼ばれる発掘音源シリーズは、例えば先日ご紹介したグレイトフル・デッドの「ディックス・ピックス」シリーズのようにミュージャン側主導で発売されることが多く、他にもドアーズ、ニール・ヤング、そして本日の主役たるオールマン・ブラザーズ・バンド等々は、何時の時代のファンからも熱心な注目を集めています。

で、中でも特に熱くさせられるのが、早世した天才の遺産に接することでしょう。

オールマンズで言えば説明不要、1971年10月のデュアン・オールマン、そして翌年のベリー・オークリーの度重なる悲報によって、その上昇期に水をさされた時代こそが、ファンにとっては永遠の思い出になっているはずですから、未発表音源の登場はノー文句!

本日の1枚は、その本格的な第一弾として、確か2002年頃からオールマンズの公式ホームページでネット通販されたものですが、これが歓喜悶絶の熱血ライプ♪♪~♪

録音は1970年12月13日、メンバーはデュアン・オールマン(g)、ディッキー・ベッツ(g)、グレッグ・オールマン(vo,org)、ベリー・オークリー(b)、ブッチ・トラックス(ds,per)、ジェィモー(ds,per) という公式デビュー以来の熱血6人組ですから、ブルースとソウル、カントリーやラテンからモダンジャズまでもが寄せ鍋状態で煮詰められ、もちろんサイケデリックロックの隠し味も効いた、なかなか美味しい演奏が楽しめます。

しかも気になる音質が、荒っぽいモノラルミックスながら、丁寧なリマスターによって低音域もガッチリ固まったド迫力! 全く普通に聴き易いのです。

 01 Statesboro Blues
 02 Trouble No More
 03 Don't Keep Me Wonderin'
 04 Leave My Blues At Home
 05 Stormy Monday
 06 You Don't Love Me
 07 Whippin' Post

上記演目は、あの超絶の名盤「アット・フィルモア・イースト」や「イート・ア・ピーチ」と共通するものがありますから、聴く前に騒ぐ血を抑えきれないわけですが、もちろんここでも濃厚な演奏は期待を裏切りません。

お馴染みのキメのリフからデュアン・オールマンのスライドが「空飛ぶ犬」状態の「Statesboro Blues」は、粘っこいグレッグ・オールマンのボーカルに絡みつく終盤の勢い共々に、何度聴いても唸る他はありませんし、そのスライドがギリギリの高音域まで飛翔した「Trouble No More」は怖いほどです。

そして「Don't Keep Me Wonderin'」における激ヤバに躍動するバンドアンサンブル、その間隙でハードに唸るスライドのテンションの高さは、流石にあの「レイラ」セッションでエリック・クラプトンを震撼させた実力の証明でしょう。

いゃ~~、全く、凄いです!!!

しかし、もうひとりのギタリスト、ディッキー・ベッツの頑張りも特筆もので、「Leave My Blues At Home」のツインリードやフレーズの掛け合いからは必死さがダイレクトに伝わってきて憎めません。

もちろん随所でデュアン・オールマンに押されまくっているのは否めませんが、それでも不滅の天才に対抗する意気地は「You Don't Love Me」で見事に実証され、中盤からのドラムスだけをバックにしたアドリブ合戦ではヤケッパチの居直りというか、相当に感情的になったプレイが高得点♪♪~♪

ちなみにこの音源は既に述べたようにモノラルミックスですから、ふたりのギターがどっちがどっちなのか、初めてオールマンズを楽しまれる皆様には区別が難しいかもしれませんが、当然ながら野太い音で閃きに満ちたフレーズを連発するのがデュアン・オールマン! 幾分細い音色で常套のスケールを使うのがディッキー・ベッツでしょう。

しかし、それにしても、ほとんど神の領域に近づいているデュアン・オールマンに、ここまで堂々と対抗し、協調出来るディッキー・ベッツの実力も凄い思いますねぇ。ここでの「You Don't Love Me」を聴いていると、本当にそう思う他はなく、あくまでも個人的な感想では、前述した「アット・フィルモア・イースト」のバージョンを超えているように思うほどです。

あぁ、白熱の15分48秒! 随所に仕掛けられた「お約束」にも、嬉しくなりますよ♪♪~♪

その意味でブルースの伝統に忠実な「Stormy Monday」は、苦みばしったグレッグ・オールマンのボーカルに対し、意外にも幾分甘いフィーリングで泣くデュアン・オールマンのギターが、これまた素晴らしすぎて、震えがくるほどです。ただし録音テープの関係でしょうか、それが途中で途切れてしまうのが残念無念……。

しかしオーラスで、なんと20分半以上の熱演が完全収録された「Whippin' Post」は圧巻! もしこれが途中で終わっていたら、モヤモヤが高じて精神衛生に悪影響は必至でしたから、感謝するばかりです。

実際、地響きの如く躍動するリズム隊の暴虐や力んだグレッグ・オールマンのボーカル、さらにラフなところが逆に凄いバンドアンサンブルがあってのアドリブ合戦には、絶句ですよ。このあたりはモノラルミックスで団子状で迫ってくるサウンド作りが完全に良い方向に作用した、所謂結果オーライでしょうねぇ~♪

本当に大波の如く押し寄せてくるオールマンズのド迫力の演奏には、圧倒されてしまいます。もちろんボリュームをガンガン上げてしまっても、誰にも責任はとれないわけです。

ということで、やっぱり凄い発掘音源なんです!

時期的にはデビューアルバムを出してから約1年後であり、また前述したとおり、エリック・クラプトンとの「レイラ」セッションを経て、バンドがますますの自信をつけた頃の演奏ですから、まさに止まらなかった勢いが感じられて当然だと思います。

またこの後、1971年3月に録音された傑作公式ライプ盤「アット・フィルモア・イースト」との比較では、纏まりという点では劣るかもしれませんが、逆に言えばラフ&ハードなこちらを聴いていると、「アット・フィルモア・イースト」は綺麗すぎて……、というような不遜な暴言を吐いてしまいそうです。

まあ、実際には言ってしまったわけですから、ご容赦願うとしても、それだけの熱気と興奮が、この復刻CDには収められています。

ですから、最初はネット販売だけだったものが、確か後には日本盤としてレコード会社が発売しているはずですから、容易く聴けると思いますので、機会があれば、ぜひっ!

そして同シリーズはもうひとつ、デュアン・オールマンが生前の1971年9月19日の演奏を収めた2枚組のセットがあって、それも熱いですよ。また当然ながら他のレコード会社からも発掘音源盤は幾つか出ていますから、良い時代になったものです。

そのあたりは今後も、追々に書いていきたいと思います。

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4 コメント

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Unknown (TK)
2010-02-14 17:27:57
ディッキーが実はシブいですよね。

内田裕也がやった2回目のワールドロックフェスティバルにディッキー時代のオールマンズを呼ぶ話があって、結局ポシャったけど残念だったな~
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好きですね~ (Kate)
2010-02-15 00:46:08
オールマンズはたびたびブログに登場しますね(^^

この人らって、この時20代前半なんだということに今更ながら衝撃を受けます。ブルースは若者の音楽だ!
返信する
ディッキーの無念 (サイケおやじ)
2010-02-15 14:53:13
☆TK様
コメント感謝です。

ディッキーがオールマンズの一時解散の後に結成したグレイトサザンも、けっこう好きなんですよ♪ そして再編オールマンズでも頑張っていましたけど、デレク・トラックスが入ってから自分のギターに限界を感じたんでしょうか、再び自分のバンドをやっていますよね。

本当に実際のライブステージが見たかっです。
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三十過ぎてもロックはロック (サイケおやじ)
2010-02-15 14:56:53
☆kate様
コメント感謝です。

いゃ~、オールマンズは好きといって憚りませんよ♪

当時は三十過ぎたら、ロックは出来ん!

なんて言われていたんですよね。それが今では、ほんどんのバンドが伝統芸能化しつつ、がんばっているのは嬉しいです(苦笑)。
まさに拙プログ「OLDWAVE」に相応しいかと(笑)。
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