OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

グレッグ抜きでもオールマン兄弟バンドは始まっていた

2020-09-29 20:47:36 | Allman Brothers Band

Jacksonville Beach 1969 / Allman Brothers Band (Leftfield Media = CD)

  01 Don't Want You No More
  02 Rock Me Baby (imcomplete)
  03 Crossroads (imcomplete)
  04 Born In Chicago
  05 Willie Jean Jam (imcomplete)
  06 Born Under A Bad Sign
  07 She Has Funny Cars
  08 Hey Joe
  09 New Shoes Blues (imcomplete)
  10 Travellin' Music Jam

掲載したのは、オールマン・ブラザーズ・バンド名義の音源としては、最も古いというか、オールマンズがオールマンズと名乗ったばかりの頃、つまり暫定的な歴史としては、グレッグ・オールマンが未だ合流していない時期だった、1969年3月30日のライブギグが聴けるというだけで、ファンにとっては歓喜悶絶!

もちろん、これまでもブートの世界ではお馴染みの音源であり、ネットでも流通してはいるんですが、あらためてハーフオフィシャルとはいえ、プレス盤CDになっていたもんですから、サイケおやじは速攻ゲットさせていただきました。

しかも、内容が全長版と申しましょうか、部分的には様々に収録したブツもあったんですが、今回ご紹介するのは、それなりに音質が安定している様な気がしています。

なにしろ基本的にはライン録りのステレオミックスになっているんですねぇ~~♪

ただし、それでも楽器の定位はグラグラしていますし、ボーカルが全体的にオフ気味……。

ところが、それゆえにデュアン・オールマンのギターが相当に迫ってくる鳴り方でして、まあ、このあたりの感想は十人十色と思います。

で、肝心の演奏メンバーはデュアン・オールマン(g,vo)、ディッキー・ベッツ(g,vo)、ベリー・オークリー(b,vo)、ブッチ・トラックス(ds)、ジェイ・ジョニー・ジョハンソン(ds,per)、リース・ワイナンズ(key,vo) とされていて、そのリース・ワイナンズこそが、後にスティーヴィー・レイ・ヴォーン&ダブル・トラブルに加入するという歴史を鑑みても、なかなか興味深く聴けると思いますし、その饒舌なオルガンプレイは失礼ながら、グレッグ・オールマン以上の力量が聞き取れるはずです。

しかし、逆にグレッグ・オールマンが不参加ゆえのボーカルパートの弱さは否めず、だからこそ歴史的な意味合いを求めての聴き方になってしまうのが、偽りの無いサイケおやじの本音です。

そこで、サイケおやじの知っている範囲だけではありますが、あらためてオールマンズ結成までの道程を要約すれば、やはり最初はデュアンとグレッグのオールマン兄弟が地元フロリダでのセミプロ活動を基盤として、1965年頃にオールマン・ジョイスと名乗るバンドを結成し、ブルースロックやR&B等々に根差した幾つかのレコーディングを残したあたりが最初のスタートと思われます。

ちなみに、この当時の音源はオールマンズが大ブレイクしてから纏めてLP化されたり、所謂アンソロジー盤等にも収録されているので、興味のある皆様には、ぜひとも聴いていただきたい貴重な資料(?)であります。

そして、1967年頃になるとオールマン兄弟はローカルツアーやライブセッション等々で意気投合したジョニー・サンドリン(ds)、ポール・ホーンズビー(key)、メイブロン・マッキーニー(b) と共にアワ・グラスと名乗る新バンドを結成し、リバティレコードと契約!

ついにLAに進出してメジャーデビューを果たすのですが、1969年初頭までに制作した2枚のアルバムと数枚のシングル盤は何れも売れず、その要因は当時流行のサイケデリック風味のロックとオールマン兄弟以下の面々がルーツとしていたアメリカ南部丸出しのブルースやR&B、あるいは創世期カントリーロック風味の歌と演奏が馴染まず、またレコード会社側からの要請で白人アイドルバンドっぽい雰囲気を求められたから!?

なぁ~んていう、今となっては失笑するしかない現実の壁にブチ当たったらしいのですが、後にサイケおやじが実際に当時のアワ・グラスのレコードを聴いてみたら、確かに中途半端な印象はありますが、グレッグ・オールマンのボーカルは、かなりイケていると思いましたですねぇ~~~!?

ただし、肝心の演目がキャロル・キングの作品だったり、ジャクソン・ブラウンの初期作品を強引にソウルっぽく演じてみたりして、このあたりは現在、容易にCDで聴けますので、ご確認いただきたいところです。

そして結局のところ、アワ・グラスは消滅し、デュアン・オールマンは地元へ帰郷したんですが、グレッグ・オールマンだけは、やはりボーカリストとしての才能をレコード会社に認められていたらしく、そのまんまハリウッドに残留したのも、実はアワ・グラスとしての契約が残っていた所為という説も有力です。

つまり、デュアン・オールマンが単独行動でスタジオセッションや様々なバンドでトラをやりながら、再起を目指して集めた面々が、今回ご紹介の音源で確認出来るというわけで、歴史的観点からすれば、グレッグ・オールマンが兄から新バンド結成の連絡を受けたのが、1969年3月だったそうですから、兄弟が実質的に揃わないうちから既に「オールマン・ブラザーズ・バンド」を名乗っていたというのは、ど~にも不思議な気がするわけでして、もしかすると、この音源のステージには当初、別のバンド名で出演契約を結んだのかもしれませんし、当然ながらオールマンズがロックの歴史に名前を残している今となっては、「オールマンズ」で売られても納得するしかありません。

そして、ここでの演奏は実際に楽しめるんですよ、ファンにとってはねぇ~~♪

もちろん、普通のロック好きにとっても、興味深々の音源という事実は変わりません。

そこで肝心の演目について、まずド頭「Don't Want You No More」は言わずもがな、オールマンズのデビューアルバム、その初っ端に収められていたミディアムテンポのブルースロックで、有名なのはスペンサー・デイビス・グループのバージョンではありますが、オールマンズのインストバージョンも侮れませんねぇ~~♪ デュアン・オールマンのギターにサイケデリックロック風味も強いオルガンのアドリブ、そして芯の強いベースの蠢きっ! たまりませんねぇ~~♪

そして続く「Rock Me Baby」はフェードインでスタートしますが、アップテンポで炸裂するオルガンソロが熱く、ボーカルが物足りないとはいえ、デュアン・オールマンのスライドも聴けますし、ちょいと期待してしまうのがクリームの決定的な大名演がある「Crossroads」には、それと同じリフを使っての展開の中で、デュアン・オールマンとディッキー・ベッツのギターユニゾンやアドリブ対決もありまして、これがフェードアウトしてしまうのは残念無念……!?

しかし、これまたバターフィールド・ブルース・バンドでお馴染みの「Born In Chicago」は思わせぶりな導入部からテンポアップしての演奏に熱くさせられますし、再びテンポチェンジしてからのデュアン・オールマンのギターが如何にもの「節」全開で嬉しくなりますよ♪♪~♪

ですから、曲タイトルどおりにジャムセッションっぽいアドリブ合戦が繰り広げられる「Willie Jean Jam」は最後がちょいと尻切れトンボではありますが、それは18分超の長丁場であっても、なかなか興味深く楽しめますし、アルバート・キング畢生の「Born Under A Bad Sign」におけるデュアン・オールマンのギターにサイケおやじは悶絶!

また気になるツインドラムスの見せ場と申しましょうか、それこそが「She Has Funny Cars」でして、まだまだ確定された展開ではありませんが、以降のオールマンズを予想させる演奏でありながら、実はアワ・グラス時代のサイケデリック~ビートポップスの味わいを引き継いだ雰囲気は面白いと思いますし、ジミヘンバーズでお馴染みの「Hey Joe」にしても、未だ自らの進む道を模索しているオールマンズという聴き方が出来るとすれば、中途半端なコーラスやグイノリのギターの凄み共々に、やっぱりファンには嬉しいトラックだと思います。

う~ん、特に11分近い熱演の「Hey Joe」は個人的に大好きになりそうですよ♪♪~♪

その意味でフェードインして始まる「New Shoes Blues」はボーカルが妙にグレッグ・オールマンっぽい雰囲気のスローブルースで、この思わせぶりと暑苦しさこそがオールマンズの土台なのかもしれません。

こ~して迎える大団円は「Travellin' Music Jam」がアップテンポのシャッフルブルースってのは、お約束!

ちなみに全体的に左チャンネルのギターがデュアン・オールマン、右チャンネルがディッキー・ベッツという定位かと思っていたんですが、この演奏に関しては左チャンネルから両者のギターが鳴っている感じでして、だとすれば、ここまでのサイケおやじの聴き方にも大いに問題があるわけですが、それが途中から右チャンネルからもギターが聞こえたりして、なんだか分からなくなるという……。

しかし、それはそれとして、あれやこれやと最初期のオールマンズを楽しめる事は請け合いです。

それでも、これは録音の状態にもよりましょうが、未だツインドラムスの存在感が希薄だったり、ボーカルパートは主にディッキー・ベッツかもしれませんが、デュアン・オールマンが歌っている様なところもありますので、皆様にご確認願いたところです。

ということで、気になる音質は現代のレベルからすれば劣悪かもしれませんが、サイケおやじと同世代の皆様であれば、全く普通に聴けるはずですし、音割れとか定位の不安定さも含めて、これが往年の「ロックの音」とご理解いただければ、結果オ~ライと思い込んでおります (^^;)

オールマンズ、永遠なれっ!

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