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サイケおやじの生活と音楽

自粛の友 其の弐:梅図かずお 美少女コレクション

2020-04-08 20:08:39 | Book

梅図かずお美少女コレクション (玄光社)

梅図かずおは説明不要、我が国を代表する天才漫画家のひとりであり、殊更恐怖漫画の第一人者という評価ばかりか、その裏側に隠しようもない人間の宿業をシュールに表現出来た前衛芸術家という側面も認められ、しかも繊細にして大胆な画風には怖いほどの美少女が多数登場し、その彼女達が恐怖に怯え、狂おしいばかりのサスペンスに翻弄される姿には、大いなる不条理感が溢れ出ている事は、あらためてサイケおやじが述べるまでもないと思います。

で、本日のご紹介は既に昨年発売されたものですが、タイトルどおり、梅図かずおの諸作に登場し、読者を魅了した美少女の決定的な姿ばかりを集めたコレクション ♪♪~♪

その夥しい作品群の中から、特にここで柱に据えられているのが、名作「おろち」と「洗礼」からの扉絵やカラー画であり、他にも思わず唸る人気作からの名場面がテンコ盛りですから、何時までも眺めていたいのがサイケおやじの本性です。

なにしろ物心ついてから今日まで、ロリ趣味を自覚していないサイケおやじが、ここに登場している梅図かずおの美少女には、我知らず妖しい魅力の虜にさせられてしまうのですからっ!

ご存知のとおり、梅図かずおの人気が沸騰したのは、所謂少女漫画雑誌に連載した「紅グモ」「へび少女」「赤んぼ少女」等々の諸作であり、それが読みたさに男子が女子に件の漫画雑誌を借りていたという風景(?)が、昭和40年代の日本の小学校には確かにありました。

もちろん、同時期には少年漫画雑誌にも「笑い仮面」とか「猫目小僧」等々はあったんですが、やはり少女漫画という体裁の中で繰り広げられる恐怖は、男子にとっては無自覚にひとつの倒錯性を呼び覚まされていたように思いますし、少なくともサイケおやじが後に梅図かずおの世界を探求するほどに、少年時代からの性癖に気がついたという、聊か理屈っぽいレトリックを弄したくもなるのです。

そして時の流れの中で、明らかに大人の世界も包括した「おろち」「洗礼」「神の左手悪魔の右手」等々のディープな大傑作を発表するのと並行して破天荒なギャグが満載の「まことちゃん」、子供から大人への成長と不条理を絶妙に描いた「漂流教室」や「わたしは慎吾」等々、その何れもが怖さと裏返しの希望を読者に感じさせる狙いがあったとすれば、そこにはミステリアスで純真な美少女が歪められるほど精神的に虐められなければならない必然性も許されるのでしょう。

ですから、梅図かずおが描く美少女は無表情でありながら、感情の起伏が「顔に出る」という描写をサイケおやじは愛でるのです。

ということで、ご紹介の画集には駆け出し事態の作品からのカットや簡単な解説も掲載しており、なかなかに楽しめます。

ただし、個人的には各界のファンへのインタビューは不必要だったと思う事を付け加えておきます。

つまり、本篇の美女画だけをじっくりと眺めて、満足というわけでした。

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