■Hot Guitar Licks / Nokie Edwards (RJ Productions = CD)
01 Alabama Jubilee
02 Nokie Boogie A
03 I Got a Woman
04 Guitar Boogie
05 Classical Gas
06 Steel Guitar Rag
07 Exodus
08 Keep Searchin'
09 Swat
10 Cuando Cuando
11 Brazil
12 Fools Rush in
本日ご紹介するのは、2018年に出たノーキー・エドワーズの未発表セッション音源から作られたCDで、ということは、この偉人のラストレコーディング? と思われがちですが、実は中身は、1996年にフィリピンに招かれたノーキー・エドワーズが地元のミュージシャンとスタジオで録音した演奏集になっています。
もちろん、説明不要とは思いますが、ノーキー・エドワーズはベンチャーズのリードギタリストとして大活躍し、その影響力は我が国ばかりか、世界中に及んでいますので、フィリピンにも信奉者は夥しく、ここに聴かれるセッションを企画したラモン・RJ・ジャシントなる人物も、そのひとりとして、現地では放送局や様々なスタジオを経営する、ある意味では「芸能界の顔役」と云われているらしいんですが、それはそれとして、やはりベンチャーズにシビレた体験からギタリストとしても活動し、ノーキー・エドワーズとは古くから親交があったそうですから、ここに聴かれる演奏がリラックスした中にも躍動感に満ちている事には納得して歓喜悶絶 ♪♪~♪
しかも、上記した演目をご覧いただければ、これまたコアなファンならずとも期待でワクワクさせられる名曲ばかりだと思いますが、いかがなものでしょう。
もちろん全曲でノーキー・エドワーズが十八番のリックを全開で披露し、バックを担当したのは前述のラモン・RJ・ジャシント(g) 以下、ボロロン・エラハ(g)、ベン・テソロ(b)、ロリー・ロルダン(b)、エドニコラス(ds) という、おそらくは地元のセッションプレイヤーと思われる名前がジャケットに記載されておりますが、他にもキーボードやホーンセクションが入ったトラックもありますから、かなり周到な準備もあったのでしょう。
しかし、そんなこんなは考える必要が無いほどに、ここのでノーキー・エドワーズは親指に装着したサムピックに神業のフィンガーピッキングを絡ませて全篇で弾きまくりですし、バックの面々のリズムセクションとしての役割に徹したサポートには敬意すら感じさせる素晴らしさですよっ!
それはカントリー&ウエスタンのスタンダード曲にしてアップテンポのド頭「Alabama Jubilee」、スタジオリハーサル的なノーキー・エドワーズのオリジナルとされる「Nokie Boogie A」、レイ・チャールズの代表曲というよりも、今やR&Rの定番にもなっている「I Got a Woman」、そしてロカビリーやジャズ系の有名ギタリストが数多く名演を残している「Guitar Boogie」と続く4連発で、既にリスナーの皆々様にしても、絶対に震えて浮かれるんじゃ~ないでしょうか (^^♪
あぁ~~、このビート感と十八番のリックの乱れ打ちは、カントリーロックの醍醐味はもちろん、ベンチャーズサウンドのひとつのキーポイントをノーキー・エドワーズなりに表現した、全く自由な天才性の証明と思うばかりです。
しかし、だからこそ、ベンチャーズではノーキー・エドワーズの後任を務めたジェリー・マギーが代名詞的に弾いていたメイソン・ウィリアムスの大ヒットカバー曲「Classical Gas」が、ここでは幾分考え過ぎてしまった感が……。
なぁ~んていう不遜な思い、どうか……、ご容赦くださいませ <(_ _)>
そして中盤、「Steel Guitar Rag」では、これぞっ! やっぱりノーキー・エドワーズならではの凄いギタープレイが堪能出来ますし、有名な映画音楽として「栄光への脱出」という邦題がある「Exodus」は哀愁が滲むテーマメロディを活かしたアレンジと演奏がニクイばかり ♪♪~♪
さらに、その意味でサイケおやじが大いに気に入っているのが、デル・シャノンのヒット曲のひとつにして「太陽を探せ」の邦題がお馴染みの「Keep Searchin'」で、原曲のキモだった泣きメロと解放感に溢れたサビの展開を前半は低音弦をメインに、中盤からはベンチャーズ風味を入れた、本当に世界中のファンが望むところを存分に聴かせてくれるんですねぇ~~♪
終盤のアドリブプレイもイイ感じ♪♪~♪
ちなみに、この「Keep Searchin' / 太陽を探せ」はテンプターズの「エメラルドの伝説」やシャネルズの「街角トワイライト」のネタ元になっているとサイケおやじは思い込んでいるんですが、いかがなものでしょう (^^;
閑話休題。
こ~して、この音源集も後半に入って、うっ!?
と、思わず呻かされるのが日本でも人気が高かったアメリカ制作のアクションテレビドラマ「Swat / 特別狙撃隊S・W・A・T」のテーマ曲で、なんとっ! これまでの演奏の流れとは一変したファンキーなリズムとビート、さらにホーンセクションまでも導入した、ある時期のベンチャーズもやっていたサウンドの再現を狙った様なトラックなんですが、流石はノーキー・エドワーズ!
ニューソウルなリズムギターをバックにしながらも、カントリーロック由来の泥沼ファンキーなフレーズを積み重ねて山場を作る職人技が冴えまくりですよっ!
もう、このあたりになると、ファンとしては端座して聴き入るのみの心境なんですが、続く「Cuando Cuando」、そして良く知られたラテンの名曲「Brazil」における南国グルーヴの心地好さは格別で、これはフィリピンでのセッションという環境が関係しているとしたら、結果オーライの大正解と思うばかりです (^^♪
そして、いよいよの大団円と申しましょうか、泣きメロが胸キュンのスタンダード曲「Fools Rush in」は、ライトタッチのカントリーロックにアレンジされていますから、ノーキー・エドワーズの十八番のリックがテンコ盛り ♪♪~♪
こりゃ~~、やっている当人達だって、楽しいに違いないという仕上がりで、羨ましくなるばかりです (^^♪
ということで、ベンチャーズやノーキー・エドワーズのファンならずとも、音楽好きならハナからケツまで楽しめる音源集ですよ、これはっ!
特にギター好き、ギターを少しでも弾いた事のある皆様には、一度は聴いても後悔しないはずと、激オススメです。
なにしろ、殊更前半はシンプルなリフとアドリブフレーズ主体の曲ばかりですから、ノーキー・エドワーズも手練れの技を存分に披露しておりますし、語弊があるかもしれませんが、ちょいとばかりシバリの多いベンチャーズでのプレイよりは、相当に自由に弾いている様に感じるんですが、いかがでしょうか (^^♪
あぁ……、現世では永遠にノーキー・エドワーズの新しい演奏は聴けませんので、今後も同様の未発表音源の登場を心待ちにしているのでした。
あの時代のエレキ・ブームの盛り上がりは、少し前のバンド・ブームの比ではなかった。エレキ・ギターは、小学生から50代の方々まで、幅広い年齢層に支持され、受け入れられていた。
ポップスとひとくちに言っても、50年代~60年代は、ラテンやジャズもポップスというフィールドに組み入れられていた。そういう意味では、この時代をリアル・タイムで過ごして来た人達は、今でも色んなジャンルの音楽を分け隔て無く楽しむ術を知っているのだと思う。
ぼくらにエレキ・ギターというメガトン級のダイナマイトを持ち込んだ張本人ノーキーは、ジャズ、ラテンに加え、クラシックさえも巧みに消化し、ギターの調理人さながらにポップスで包み込む。右手の正確なフィンガーリングの素晴らしさは相変わらずだが、彼のギター・スタイルも少しずつ変化しているようだ。
今のスタイルの特長は、マール・トラヴィス、チェット・アトキンスのギャロッピン奏法とジェイムズ・バートンのチキン・ピック奏法をノーキー流にうまく組み合わせたものである。ギャロッピングする時はフィンガーリングなので、親指にサム・ピックをしてることが多いが、やはりこの辺りはカントリー・ルーツのギターリストだなあと思わせる。もちろんノーキーの目はカントリーだけに向けられている訳ではなく、スタンダード(ジャズだけでなくラテンも含めて)にも注がれている。
解説の一部より
92年11月3日は青空が広がる秋空の下、目黒ブルース・アレイは多勢のノーキー・フリークで盛り上がった。ファンの中にはDR.Kでおなじみ徳竹弘文氏の姿も見られた。
演奏曲目
1.イエロー・ジャケット
2.クルーエル・シー
3.若さでゴーゴー
4.ウォーク・ドント・ラン’64
5.アラバマ・ジュビリー
6.オレンジ・ブロッサム・スペシャル
7.9月になれば
8.ダイアモンド・ヘッド
9.ブルドック
10.テネシー・ワルツ(セミー・モズレーに捧げる)
11.ベンチャーズ・メドレー
12.モア(果てしなき慕情)
13.ホンキー・トンク
14.素顔のままで
15.ミスティ
16.ナッティ
17.星への旅路
18.オリーブの首飾り
19.ノラ
20.クラシカル・ガス
21.パイプライン
22.キャラヴァン~ブルースA
22曲を熱演!
7と16そしてブルースA~ノーキーカントリー節炸裂(おまけ)