OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

にがい涙はソウル歌謡ナンバーワン!

2016-09-30 17:02:53 | Soul
にがい涙 / Three Degrees (PIR / CBSソニー)


R&Bやソウルミュージックは雑食性の高い我が国の歌謡曲には好んで用いられる要素ですから、所謂「歌謡ソウル」とか「ソウル歌謡」とか、まあ、どっちで呼んでも問題が無いほど素敵な楽曲は数知れず、しかし、それをあえて本場の黒人ボーカルグループに歌ってもらうためのオリジナル作品となれば、本日掲載のシングル盤A面曲「にがい涙」は忘れられないでしょう。
 
歌っているスリー・ディグリーズはフィリーソウルを代表する女性ボーカルグループとして、日本でも昭和49(1974)年に「荒野のならず者 / Dirty Ol Man」のメガヒットから人気が爆発し、レコード会社も次々に新譜を出したいという期待があったのは逆に、本国アメリカでは何故かレコーディングが停滞……。
 
そこで我が国で発売権を持っていたソニーレコードは、スリー・ディグリーズが同年に来日した機会に新曲制作の独自企画を立案し、それが実現したセッションの中の1曲が「にがい涙」でした。
 
ちなみにこのレコーディングからは3曲がリアルタイムで世に出ていて、まずは彼女達が全米でも大ヒットさせた「天使のささやき / When Will I See You Again 」の日本語バージョン、次にバックの演奏が鈴木茂(g) や林立夫(ds) を含むキャラメル・ママ~ティン・パン・アレイの人脈で作られた和製フィリーソウル「ミッドナイト・トレイン / Midnight Train」でしたから、いよいよ昭和50(1975)年2月に発売された「にがい涙」こそは、既にして真打の存在感が期待されていたのかもしれません。
 
なにしろ楽曲の制作に携わったのが作詞:安井かずみ&作曲:筒美京平、そしてアレンジが深町純!

しかも既に述べたとおり、レコーディングセッションの時間が限られていた事から、「ミッドナイト・トレイン / Midnight Train」が前述したとおりキャラメル・ママ~ティン・パン・アレイ組であれば、こちらの「にがい涙」は深町純(key)、矢島賢(g)、高水健司(b)、村上秀一(ds) というメンバーがリズムセクションを担当したと言われていますので、楽曲共々、そういうサウンド作りのニュアンスやセンスの違いをあれやこれやと聴きながら推察するのも、リスナーの楽しみでありましょう。
 
そして、そんな裏事情を知る由もなかったリアルタイムのサイケおやじには、この「にがい涙」が完全に日本語で歌われていながら、全く本場のフィリーソウルと遜色が無いという仕上がりに浮かれてしまい、てっきり最初はオリジナルの英語バージョンの存在を疑う事がなかったんですが、実はこのシングル盤収録の「にがい涙」こそが、本家本元のオリジナル!
 
言うまでもなく、当時の筒美京平はモータウンやフィリーソウルを思いっきり取り込んだ歌謡曲を出し続けていた時期で、昭和49(1974)年だけでも例えば朱里エイコの「二時から四時の昼下がり」、リンリン・ランランの「恋のインディアン人形」「恋のバッコンNo.1」、平山三紀の「熟れた果実」、南沙織の「夏の感情」等々がありましたから、この「にがい涙」が傑作となったのも当然が必然だと思うばかりですよ♪♪~♪
 
また、実際にスリー・ディグリーズの日本語歌唱が妙にキャッチーな節回しで、ミテタァ~ハズヨォ~♪ と節回す最初のワンフレーズだけで、気分はすっかりソウルトレイン日本行きってなもんでしょう♪♪~♪
 
伝聞ではありますが、当時の彼女達のマネージャーやスタッフも仕上がった「にがい涙」がとても気に入って、きっちり世界発売のアルバムにも入れてしまったのは、その証だろうと思います。
 
しかし、我が国のコアなソウルマニアは、こ~ゆ~歌謡曲をやらかしたスリー・ディグリーズを白眼視するようになり……。
 
また、悪い事には以降、本国アメリカでも些か人気が落ち目になり、欧州や日本を含むアジア各国での巡業やレコーディングに活路を求めたことから、どんなに素晴らしい歌を出しても、何か二流扱いになってしまったのは辛い現実でしょうか。
 
それでもスリー・ディグリーズは今でも来日公演は続けていますし、もちろんメンバーチェンジは度々あったんですが、世界各国の地域性も考慮した旺盛なサービス精神が満点のステージは、近年2回ほど接したサイケおやじにしても、たっぷり楽しめるものなんですよっ!
 
機会があれば、彼女達が現役で元気なうちに、お楽しみ下さいませ。
 
もちろん、「にがい涙」はお約束のプログラム♪♪~♪
 
ということで、ついに今日で9月も終わり、いよいよ気分は年末へ向かっているのでした。
コメント (2)
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