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サイケおやじの生活と音楽

アラン・パーソンズ・プロジェクトの胸キュンソング

2016-09-11 18:19:02 | Rock
Don't Answer Me / Alan Parsons Project (Arist / 日本フォノグラム)
 
大衆音楽は分かり易さが大切な要素なので、楽曲もそうですが、演じている側に大上段に構えた印象が最初っからあろうものなら、それは所謂聴かず嫌いに陥るなんてことは少なくありません。
 
例えば本日掲載のシングル盤の主役たるアラン・パーソンズ・プロジェクトは、我が国ではプログレに分類されていた時期もあったほど、ある意味では誤解された存在であり、また発売されるレコード、殊更アルバムには大袈裟な邦題が附され、そのジャケットデザインも勿体ぶった感じの作品が多かったというマイナス要因(?)があった事は否めません。
 
しかし、そりゃ~、確かにアルバム全体の構成とか、凝った音作りにはそれなりの威厳のようなものが感じられ、何よりもロック&ポップスグループの形態を標榜していながら、バンド名(?)に「プロジェクト」なぁ~んていう親しみの無い単語が用いられているのであれば、致し方ないという理解もありますが、実際に提供されていた楽曲は素晴らしく良く出来た温故知新な作品が多かったのも、また揺るぎない真実だったわけで、それを世に知らしめたのが、例えば本日掲載のシングル盤A面曲「Don't Answer Me」です。
 
なにしろこれが1984年の発表でありながら、そのメロディはオールディズ風味の胸キュンフィーリングがいっぱいですし、音作りそのものが往年のフィル・スペクターが十八番の「音の壁」を強く意識したものなんですから、たまりません♪♪~♪
 
皆様ご存じのとおり、その頃は音楽のビートそのものがデジタル化へ進行しており、それに伴って曲メロそのものからもハートウォームな感じが薄れていった中にあって、この「Don't Answer Me」が実はライブ活動をやらず、極言すればスタジオに「引き籠り」で作品を出し続けて来たグループによって提供されたというのは、産業ロックの素晴らしさを逆説的に証明してしまった感がありましたですねぇ~♪
 
それはアラン・パーソンズ・プロジェクトが本職はレコーディングエンジニアのアラン・パーソンズと裏方のソングライター兼ボーカリストだったエリック・ウルフソンの出会いからスタートし、最初はプロデュース業に関わるアラン・パーソンズを企画やマネージメントでサポートするエリック・ウルフソンという役割分担だったそうですが、そうやって進めていく仕事の中でパイロットやアンブロージア等々の諸作がヒットした実績から、いよいよ1976年に自分達の最初のアルバム「怪奇と幻想の物語 / Tales Of Mystery And Imagination」を発表するや、以降約10年間に充実したレコードを出し続け、そこにはアラン・パーソンズ(key)、エリック・ウルフソン(vo) の他に前述したパイロットからデヴィッド・ペイトン(b)、ビリー・ライオール(key)、また後に10CC に参加するスチュアート・トッシュ(ds) やイアン・ベアンソン(g) 等々が助っ人に入り、このあたりはアラン・パーソンズ・プロジェクトの個性(?)のひとつであるビートルズっぽさの秘密かもしれませんが、それというのもアラン・パーソンズはキャリアの重要なポイントにビートルズのアルバム「アビイ・ロード」と「レット・イット・ビー」の制作現場にアシスタントとして関わっていたのです。
 
それと凝った音作りについてはピンク・フロイドの大ベストセラーLP「狂気 / The Dark Side Of The Moon」への参加が大きいようで、しかし逆に言えば、そうした才能と技量をアラン・パーソンズがしっかり持っていたという証でしょう。
 
さて、そこであらためて「Don't Answer Me」は正直、決して新鮮な試みではないところに深味があるというか、間奏でメル・コリンズが吹いてくれるサックスの音色やフレーズ、エコー過多寸前の音の壁から自然に浮き上がってくるようなアコースティックギターの響き、さらにはオールディズな曲メロに心温まるボーカルの節回し等々、この雰囲気作り(?)の本気度の高さに元祖フィル・スペクターの胸中は如何ばかりかと!?!
 
なぁ~んて不遜なことまでも思わざるをえないのが、サイケおやじの本音ですよ♪♪~♪
 
そして、これは常々言われ続けているんですが、ジェフ・リンが率いるエレクトリック・ライト・オーケストラとの親近と相違については、もちろんリスナーやファンの十人十色の感性が優先されるとはいえ、個人的にはサンダ対ガイラというか、どちらがどっちと決めつける事は致しませんが、それぞれに永遠の命たるビートルズの遺伝子を受け継ぐ存在なればこそ、宿業の深さや重さが魅力の一端になっているんじゃ~ないでしょうか。
 
当然ながら、我が国には「Don't Answer Me」をパクった楽曲がかなり出されていることは言わずもがなでしょう。
 
ということで、なんだか道を踏み外した暴言戯言へ話が進んでしまって、我ながら焦っています。
 
でも、そんな気分にも、このアラン・パーソンズ・プロジェクトが演じる「Don't Answer Me」の癒しは絶大♪♪~♪
 
実は歌詞の内容は相当に不条理な愛情というか、煮詰まった恋愛から逃げ出したい男と何とか続けていきたい女の擦違う感情が歌われているみたいなんですが、「Don't Answer Me ≒ もう言わないでくれ」と泣きそうになっているとしか思えない、その男の流され方にこそ、サイケおやじは強く感情移入したくなりますねぇ……。
 
う~ん、今日は胸キュンです。
コメント (1)
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