OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

この歌を聴ける運の良さ

2013-11-13 15:23:58 | 歌謡曲

運がよければいいことあるさ / 堺正章 (日本コロムビア)

最近はそれほど言われませんが、堺正章のボーカルこそ、歌謡ソウルのひとつの典型と確信させられるのが、本日掲載のシングル盤A面曲「運がよければいいことあるさ」だと思います。

もちろんコテコテに真っ黒じゃ~ありませんし、特段のブル~スフィ~リングを打ち出してはいませんが、アーバンソウルというか、ちょうどこれが発売された昭和47(1972)年初夏には世界的流行になっていたニューソウル、そしてプレAORのサウンドが見事に歌謡曲へ変換転用されたのが、この歌に聴かれる堺正章ならではのソフトな語り口の節回しです。

と書いてしまうと、何がソウルフル=黒人歌謡なのか?

等々、混迷する文章はサイケおやじの欠点が露呈するところではありますが、そもそもスパイダース時代から堺正章は黒人R&Bのカパー曲を演じては、GS屈指の黒っぽいお洒落感覚を表現していたボーカリストであり、所謂クールでイカシた歌唱がハートウォームな味わいとして伝わるところに真骨頂!

ですから、AORと言うよりも、むしろニューミュージック的な味わいが堺正章の歌謡曲の持ち味であるとすれば、作詞:橋本淳&作編曲:筒美京平という、まさにリアルタイムのヒットメーカーコンビが書いた作品がジャストミートするのは当然が必然でしょう。

そして極言の元ネタ探しに勤しめば、おそらくはモータウン帝国から独立したソングライターチームのホーランド=ドジャー=ホーランド、通称H-D-Hが子飼のハニー・コーンが同時期に大ヒットさせていた「The Day I Found My Self」が、それじゃ~ないですかねぇ~。

なにしろイントロ~Aメロが言い訳無用のモロパクリですし、ホーンセクション&オーケストラのアレンジそのものだって、クリソツですからねぇ~、流石は筒美京平先生が自らの趣味性を吐露した、確信犯的傑作と思えば失礼千万は百も承知、ただただ感服するのみなのがサイケおやじの変わらぬ立場です。

うん! だからこそ、好きなんですよっ! この時期の堺正章の歌がっ!

ということで、ジャケ写に登場している堺正章のファッションや髪型が懐かしの雰囲気を増長させている事も含め、なにか甘酸っぱいような感覚が蘇ってくるのが、この「運がよければいいことあるさ」です。

派手さはありませんが、こういう歌こそが何時までも親しまれていく昭和歌謡曲の良さの証明かもしれないと思うばかりです。

コメント (2)
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