OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

カーペンターズの最高に有名な歌は、これ?

2012-06-29 15:49:25 | Pops

青春の輝き / Carpenters (A&M / キングレコード)

あたらめて言うまでもなく、カーペンターズは20世紀を代表する音楽界の大スタアで、世界中で愛され続けているヒット曲は数知れずではありますが、その中には当然、時の流れによって変化変容が確かにあります。

例えば本日ご紹介のシングル曲「青春の輝き / I Need To Be In Love」は、1976年の発表当時において、カーペンターズにしては地味なチャート成績しか残せなかった歴史が刻まれながら、今では我国で一番(?)知られたカーペンターズの歌になっているんですからねぇ~!?

それは皆様もご存じのとおり、1996年にTBSで放送されたテレビドラマ「未成年」のラストテーマに使われた事がきっかけであり、CDシングルによる復刻、またこの曲をメインに編まれたベスト盤が百万枚単位で大売れしてしまった現実は、元々根強い人気が続いていたカーペンターズの現役時代を知らない若年層にまで、その魅力を存分に知らしめたのですが……。

さて、それでは「青春の輝き / I Need To Be In Love」がウケてしまったポイントはと言えば、もちろん人気ドラマの毎週の展開の余韻という要素は大きいとは思いますが、個人的には「さりげなさ」じゃ~ないか?

そんなふうに感じています。

実はこの歌が収録されたカーペンターズのオリジナルアルバム7作目「みつめあう恋」が制作発売された1976年当時、カーペンターズの内部事情は最悪で、それは過密スケジュールの巡業やテレビ出演、レコード制作や諸々の現場におけるブレッシャーが積み重なった揚げ句の果ではありますが、妹・カレンの病気や兄・リチャードの悪いクスリ問題が表面化してしまっては、人気に翳りが……。

しかも前述のアルバムそのものの出来がイマイチという評価は、決して業界からだけではなく、ファンにとってもそう感じざるをえないほど、何か虚ろなものがあったと思います。

ただしそれは「カーペンターズという世紀のスーパースタアにしては」という、絶対的な余地があって、流石にじっくりと全篇を鑑賞すれば、なかなか丁寧に作られたポップスの名品集と確認出来るのです。

そこで前述した「青春の輝き / I Need To Be In Love」の最大の魅力になっている「さりげなさ」が、かなり思惑優先主義で作られたであろう件のアルバムの中にあって、これが素敵な清涼剤であり、また同時に絶妙のスパイスの役割も果たしているのですから、あえて出来が良くとも、シングルカットするには些かのアクが足りなくて当然!?

つまり、前述したとおり、ある意味での前段があってこその名曲であり、それゆえにドラマのラストテーマという位置付けは大正解であったのでしょう。

ところが、そう書いていながら、これが何度も聴きたくなる名唱である事も確かであって、ちょい聴きには地味~な曲メロを持ち前のアルトボイスでソフトに歌い出し、サビでジワッ~と盛り上げていくカレン十八番の節回しが、実に感動的なんですねぇ~~♪

ちなみに曲を書いたのはカーペンターズのファンにはお馴染みの兄・リチャードとジョン・ベティスの共作コンビに加え、あの「カリフォルニアの青い空 / It Never Rains In Southern California」等々で有名なアルバート・ハモンドが参画しているのですから、一説によると妹・カレンが最高のお気に入りだったというのも納得されますよ。

う~ん、それを知ってから、サイケおやじは、ますます「青春の輝き / I Need To Be In Love」と妹・カレンの歌が好きになりました。

ということで正直、サイケおやじは「平成」という時代は好きではありませんが、例えなんであろうとも、こういう歌が人気を集めるんですから、捨てたもんじゃ~ありませんねぇ~~♪

それは表面的にはすっかり失われてしまったハートウォームなメロディやムードを強く求める現代人の希求と思い込んでしまうほど、個人的には嬉しい事象です。

輝け、青春!

お若い皆様ほど、こういう再発見に勤しんでいただきたいと思っております。

そして最後になりましたが、実はこの曲のオリジナルバージョンをアルバム収録テイクとすれば、アナログ盤シングルのバージョンはイントロのピアノを編集したものであり、また既に述べたCDシングルはアルバムと同じバージョンであった事から、リアルタイムで楽しんでいたファンからすれば、幾分の違和感は否めません。

さらに後発で何種類か出たベスト盤収録のバージョンにしても、様々な国によってミックスやエディットが異なっている事が今では常識的に知られているのですから、厄介ですよねぇ……。

まあ、そんなこんなも音楽鑑賞の楽しみのひとつではあるんですが、あえて要注意としておきたく思います。

 

コメント (2)
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