■Green Tambourine / Lemon Pipers (Budda / 日本コロムビア)
1968年にアメリカのチャートではトップに輝くほど流行った、これまた「バブルガムロック」を代表するヒット曲のひとつではありますが、甘~いメロディを彩るシタールの響きに象徴されるとおり、その意図的に作られたであろう幻想的なサウンドは見事なサイケデリックロックとして侮れません。
つまり当初はお子様向けのヒットポップスであったはずが、仕上がってみれば永遠のロックアンセムに近いところにまで位置づけられた感があるんですねぇ~♪
まあ、そう思っているのはサイケおやじだけかもしれませんが、ご存じとおり、制作発売元がバブルガムの総本山とも言うべきブッダレコードですから、なかなか深~い味わいがヤバイほど!?
それは未だ過小評価されている職業的幻想詩人のシェリー・ピンズと職人的手腕に秀でた作編曲家のポール・レカがプロの中のプロというコンビネーションで作り上げた、言ってみれば完璧な造作芸術(?)を鑑賞する楽しさに溢れているわけです。
で、当然ながら発売名義グループのレモン・パイパーズはアイヴァン・ブラウン(vo)、ウィリアム・バートレット(g)、R.G.ネイヴ(key)、スティーヴ・ウォルムスレイ(b)、ウィリアム・アルバー(ds) という5人組が実在のバンドとして表立った活動を展開する一方、このデビュー曲「Green Tambourine」は一応はアイヴァン・ブラウンのボーカルを使っているものの、ストリングを多用したアレンジで作られた演奏パートの大部分はスタジオセッションミュージャンの手になるものという、業界の掟がしっかり守られているようです。
そして既に述べたとおり、見事にチャートトップの大成果を達成してみれば、これがブッダレコードにとっては初めての快挙として、同時期に「バブルガムロック」を担った1910フルーツガム・カンパニーやオハイオ・エクスプレス等々と共にブームを牽引したのですから、大衆音楽史には確固たる足跡を……。
ただし、それが怖いんですよねぇ~。
本当はもっとサイケデリックロックの流れの中で楽しまれるべき名曲名演が、これだっ!
と、本日も独善的な断言をぶちかますしかありません。
実際、これほど良く出来たサイケデリックロックのポップス曲は、例えばビーチポーイズの「Good Vibrations」やビートルズの「Strawberry Fields Forever」あたりと続けて聴いたって違和感は薄いはずで、まあ、そこまでの重量感は無いにしても、決して劣るべき仕上がりではありません。
お疑いの皆様は、好きな表現ではありませんが、騙されたと思って聴いてみて下さいませ。
結果として「騙された」と憤慨されたとしても、それなりに素敵な音楽であることにはちがいないはずと、最後に居直らせていただくのが、本日のサイケおやじのとるべき態度であります。
そして如何にものジャケットデザインに免じて、どうか暴言ご容赦、お願い致します。