OLD WAVE

サイケおやじの生活と音楽

アイドル&アダルトな南陽子

2011-11-20 16:07:53 | 歌謡曲

噂の天使 c/w 二十歳の恋 / 南陽子 (RCA)

今日は南陽子です。

もちろん「南野陽子」じゃないんですねぇ~~。

南陽子は昭和48(1973)年にデビューしたアイドル歌手で、しかもテレビオーディション番組の「スター誕生!(日本テレビ)」の優勝者ですから、その実力も最高だったんですが、結果的に大きなヒットは出せずに引退しています。

しかし当時を知るアイドルマニアはもちろんの事、昭和歌謡曲が好きな皆様にとっても、なかなか強い印象を与えられているんじゃないでしょうか。

中でも、おそらくは3枚目のシングル盤であろう、本日ご紹介の1枚は、収録の2曲共が何れも素晴らしい傑作だと思います。

ちなみに「アイドル歌手」と書きましたが、当時の彼女は既に二十歳の大人の女性でしたから、必然的にアダルトな方向性も含んだ楽曲を歌うことはデビュー盤「赤い花まつり」からの既定路線だったようですが、それでもナチュラルなアイドル性は絶対の持ち味だったところが、南陽子の魅力のひとつでした。

それはA面「噂の天使」から全開で、森田公一の書いた中華風メロディのニューソウル的な展開を見事なアレンジで実践したのは高田弘という、まさに当時のヒットメーカー! そこに吉田旺の作詞が激ヤバなんですねぇ~♪

 蜜を求めて 集まる蝶々に
 あゝ 薔薇はいつだって、いやといわない

 あたなにあげましょう 噂の恋を
 あたながよければ 私もしあわせ

なぁ~んていう、実に思わせぶりな勘繰りが働いてしまう歌詞をジワ~っとした節回しで表現する南陽子は、アブナイですよねぇ~♪

まあ、このあたりはサイケおやじが稚拙な文章を弄するよりも、実際に聴いていただく他はないんですが、それでいて未だ大人になりきれていない女性アイドルとしてのフィーリングも濃厚なんですから、このアンバランスな魅力は今日でも充分に通用するはずです。

ただし当時は山本リンダ安西マリア夏木マリ等々のイケイケセクシー路線の歌謡曲が大きなブームになっていましたから、そういう「儚い危うさ」はイマイチのインパクトに欠けていたのも、また事実……。

そこでB面「二十歳の恋」は、そうした激しく熱い分かり易さを狙ったのでしょうか、A面と同じ作家陣によるファンキーなブラスロック歌謡がど真ん中! もちろんキャッチーなイントロからチャカポコのパーカッションとワウワウ使用のリズムギター、流麗なストリングをバックに歌う南陽子は、微妙に粘っこい情熱のコブシ回しが絶品ですよっ!

う~ん、こっちがA面でも良かったんじゃないですかねぇ~~~♪

ちょいとアルトボイス系の低いキーの声質を彩るヘヴィなビート感も良い感じ♪♪~♪

そして、この「赤」のイメージを貫き通したジャケットも素晴らしいでしょう。

当然ながら、当時の彼女は衣装も「赤」をメインにしていましたし、確か早乙女愛の主演映画「愛と誠(松竹・昭和49年・山根成之監督)」にちょい役で出た時も、赤いパンタロンかワンピース姿だったと記憶しています。

ということで、既に述べたように、残念ながら南陽子はブレイクすることなく、引退していますが、風の噂では所属していた事務所の社長(?)と結婚されたらしいですよ。

そのあたりも含めて、もう少し長く活動して欲しかった事もありますが、きっと今日ならばコンプリートの音源集が復刻可能かもしれませんし、そうなればアイドルらしからぬ変幻自在な歌唱力も評価されると思います。

そして、またまたそんな願いを込めて、この文章を綴っているのでした。

コメント
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