■Ohio c/w 自由の値 / Crosby, Stills, Nash & Young (Atlantic / 日本グラモフォン)
ロックもアルバム単位で聴く時代になったればこそ、シングル盤でしか発売されなかった曲が後に貴重になった事例は数知れません。
例えば本日ご紹介のシングル盤両面に収録された2曲は、発売された1970年初夏以降、言われるほどヒットしていませんでしたし、クロスビー・スティルス・ナッシュ&ヤング=CSN&Yにとっては大名盤アルバム「デジャ・ヴ」を出し、その人気絶頂の証でもあった大規模な巡業の真っ只中ということで、特に我国ではちょいと的が絞れていなかったような気がします。
というか、A面に収録されたニール・ヤング作の「Ohio」は、オハイオ州の大学で実際に起きた州兵による学生狙撃事件を歌った内容でしたから、当時は日本でも活発だった学生運動への影響等々を含む、なかなか微妙なものが洋楽マスコミにはあったのかもしれません。
ただしリアルタイムの我国ロックファンは、そこまで歌詞の内容を云々して聴くほど語学力が身についていた者は少なかったと思うんですよねぇ。同じく海外の社会情勢にしても、ネットが普及している現在とは雲泥の差という情報の不足が当たり前でしたし……。
ですから、これが売れなかった理由は、実はもうひとつの推測が可能です。
それは翌年春に発売された2枚組ライプアルバム「4ウェイ・ストリート」に、この2曲がしっかりと入っていたんですねぇ~~。
しかも結論から言うと、それほどシングル盤のスタジオバージョンと変わらない仕上がりだったんですから、サイケおやじは長い間、これはそこからの先行シングルだと思い込んでいたほどのお粗末でした。
まあ、それほどCSN&Yの歌と演奏は完成度が高かったと言えば、全くそのとおりなんでしょうが、それにしても「Ohio」ではイントロからニール・ヤングならではのギターが印象的なフレーズをキメまくり、ずっしり重いビートを土台に歌われる刺激的な曲メロを彩る分厚いコーラスワークの素晴らしさっ!
何度聴いても、当時のCSN&Yの充実が堪能されるばかりです♪♪~♪
またB面の「自由の値 / Find The Cost Of Freedom」はスティーヴン・スティルスが書いた静謐なアンプラグド曲で、前述のライプ盤でもオーラスに収められていたとおり、実際のコンサートでも締め括りで歌われていたほどの自信作(?)だったと思われますが、とにかくここでの前半で聞かれる2本のアコースティックギターによるアンサンブルは、スタジオ録音ならではの緻密さが良い感じ♪♪~♪
そして後半では、まさに心が和むハーモニー&コーラスワークが、CSN&Yの真骨頂でしょう。
2分に満たない短いトラックですが、1970年代ロックの本当の桃源郷が現出しますよ。
ということで、以上の真実にサイケおやじが気がついたのは、1970年代も半ばを過ぎていましたから、このシングル盤を入手するのも相当な根気が必要とされました。
なにせ、売れていませんでしたからねぇ……。
そして最後になりましたが、皆様も既にご承知のとおり、掲載した日本盤のピクチャースリーヴは、当時の日本グラモフォンが十八番のトホホ系!?!?
だってウリのA面はニール・ヤングが主役の曲なのに、スティーヴン・スティルスがどちからといえばファンに背を向けた姿ですし、その奥にいると思われるニール・ヤングの尻出し姿勢も??? もちろん顔が写っていないのは大減点でしょう。
おまけにこんな写真と言えども、一応はライプからのステージショットなんですから、これが前述した「4ウェイ・ストリート」からのカットと思い込んだファンがいても、当然至極じゃないでしょうか……。
そんなこんなから、結果的に幻寸前のこの2曲のスタジオバージョンも、どうにか現在はボックスセット等でCD化されていますが、そうだとしても、なにか消えるべき宿命を負わされているような気がします。
洋楽ファンに罪はないんですけどねぇ。